天正
〇同四年ノ春織田家ハ城ヲ安土ニ築キ居ル、岐阜ヲ長男ニ譲ル、此ノ春加・越ノ本願寺ノ黨等蜂起ス、向ニ桂 安土城完成
田播磨守カ朝倉式部ヲ撃亡セシヨリ、其ノ黨等三国湊ニ聚ル、其ノ酋ハ杉浦壱岐法橋・和田本覚寺・森本照 一向宗徒の蜂起
護寺・荒川興行寺・宇坂本向寺・三国ノ正求・同教順・川尻正光・森田祐儀・高木浄光・小黒西光等也、屋
形及ヒ北畠侍従倶ニ三国ニ対陣ス、七里参河守、藤嶋超勝寺・久末照厳寺等ハ陣ヲ吉崎ノ湊ニ張ル、因テ近
藤山城守・池田勝三郎此ノ手ニ向フ、下妻筑後法橋ハ上□今□(庄)ニ出張スルカ故ニ織田源五郎・山崎源
太彼ニ発進ス、石田西光寺ハ陣ヲ木ノ目峠ニ屯ス、丹羽・瀧川此ニ対陣ス、橋立真宗寺ハ陣ヲ鉢状ニ張ル、
忠興主・稲葉此ニ対陣ス、下妻和泉ハ軍ヲ板取口ニ張ル、佐久間・氏家此ニ対陣ス、大町専授寺ハ杉浦口ニ
出張ス、柴田・神戸此ニ対陣ス、大塩円宮寺ハ兵ヲ池ノ太良ニ屯ス、佐々・氏家此ニ対陣ス、若林長門ハ陣
ヲ河野口ヱ張ル、前田・畑田此ニ対戦ス、三宅権頭ハ陣ヲ府中ニ張ル、羽柴・明智此ト戦ヲ挑ム、此ノ外志
津了珍・鋒ヶ埼ノ祐海・真栗瑞性・南居ノ正泉・江守願行・本田妙円寺等、総計八万余人一揆ヲ起ス、金森
五郎八・原彦次郎ハ秋生笹役ヱ進発シ、遠藤左馬・遠山久兵衛ハ郡上穴馬ヨリ兵ヲ進ム、安土家ハ八千余騎
ヲ帥テ敦賀口ヱ進発ス、躬方総計六万五千余騎ナリ、諸将未タ鋒ヲ交ザルニ忠興主ハ鉢状の一揆の酋及ヒ六
千余人ノ黨ト鑓ヲ合セ、奮撃シテ終ニ其ノ酋真宗寺カ首級ヲ獲リ残黨敗亡ス、忠興主進ンテ湯尾口ヨリ乱入
ス、明智ハ河野口ヨリ府中ヱ乱入シテ龍門寺ノ城ヲ抜ク、屋形ハ陣ヲ足羽川安居ノ渡頭ヲ張出ス事十四町、
有吉・米田・川村・落合・河田等ヲ先鋒トシテ六十挺ノ鉄炮ヲ雨点ノ如ク発セシメ、彼カタヽヨウ処ヲ縦横 細川家臣
ニ馳ケ破テ撃チ、魁西ノ下間筑後ヲ擄ス、其ノ他ノ本覚寺等ノ酋悉ク戦死ス。柴田は池ノ太良杉津ヲ陥テ乱
入シ、功ヲ策ス、残黨降ヲ乞フ、安土家此ヲ容ス。因テ各ニ感帖ヲ与へ地ヲ割テ諸将ヲ賞ス。越前北ノ庄ヲ
柴田ニ、府中ヲ丹羽ニ、加州御山ヲ佐久間ニ、越中富山ヲ佐々ニ、越前東郷ヲ長谷川ニ、丸岡ヲ青木紀井ニ、
能州所ノ口七々尾ヲ前田ニ、越前五分一ヲ忠興主ニ後山城ニテ代地ヲ領ス同安居城ヲ屋形ニ授ク。後丹後ヲ代地ニ授ル、
五分一ハ東郷ニ合シテ長谷川領ス、川北丸岡ノ代地トス、青木ニ江州ノ内ヲ授ク、加州御幸塚ハ徳山五兵衛、大聖寺ハ丹羽ニ、丸岡ハ柴田伊賀守ニ、
勝山ハ柴田三左衛門ニ、大野ハ金森五郎八ニ授ケラルヽナリ。
〇同年細川掃部頭真之主ハ三好長治カ奢侈無礼ヲ厭ヒ、極月五日之夜仁木伊賀守・林喜内其他ハ中間二三人ヲ 三好長治は異父弟
従へ密ニ勝端ヲ出テ、福浦羽州ヲ憑テ井伊谷ヱ遁ル。福浦諾シテ仁字山ノ奥ニ要害ヲ構へ、雄士若干人ヲシ
テ警衛セシム。
〇同年安土家ヨリ書ヲ屋形ニ授テ、泉州狐塚及ヒ長尾ノ一揆ヲ征伐セシム。此ノ二月屋形戦功ヲ樹ツ、安土家
賞帖ヲ屋形ニ授ク。
〇同年三月初三好ヨリ仁宇山ヲ征伐セントシテ帥ヲ出スト云へトモ、山嶮阻ナルカ故ニ日ヲ経タリ、一宮長州
成助・伊沢越前守頼俊等、仁宇山ノ援兵トシテ三好ヲ後巻ス。三好敗亡ス、仁宇ヨリ一宮成助・伊沢頼俊・
吉井左衛門大輔行康・多田筑前守元次等二千余騎ヲシテ今切城ヲ囲ムテ抜ク、藤原首ヲ授ク、三好長治モ遁 三好長治戦死・25歳
ヌレトモ助任川ニ於テ里酋ヨリ真之主ヱ告ルヲ以テ、三月廿八日兵卒ヲシテ囲シム、長治別宮ニ於テ自殺シ
ヌ。
熊本史談会例会では堀内傳右衛門の「旦夕覚書」を取り上げる予定である。
堀内傳右衛門は細川家が赤穂浪士17名を預かった折、その接待役を仰せつかった人物として知られる。
そして赤穂浪士に関しては「堀内傳右衛門覚書」「御預人記録」などを書き残している。赤穂事件研究によく引用されている。
「旦夕覚書」は趣を異にしており、こちらは傳右衛門が子孫のために書き残した記録集で、「花」「鳥」「風」「月」の四巻からなるものである。
今回は肥後文献草書を資料として「花の巻」取り上げるつもりでいるが、32頁に及ぶものでとても一日で終われるものではない。
興味深い事柄をピックアップして取り上げようと思っている。
人物紹介のために略系図なども準備しているところだが、作り始めると「女系」家族であることが判る。
あと8~9日ほど資料の読み込みに明け暮れることになる。
熊野別当・新宮城主27,000石→加藤清正臣・宇土城代
+--安房守氏善 熊本ニて没、宇土市三宝院に葬る
| 三盛
| 三郎兵衛 ‖-----+--三盛-------------------------→(三曎家)
| 池田家家臣 同左 ‖--------+----女 |
+--半介------構之助--------妙庵 | +--喜左衛門--------------------→(謙太家)
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| +--傳右衛門--------------------→(傳内家) |
+----八右衛門--------------------------------→(角平家)
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+----角之允----------------------------------→(軍蔵家)
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+----文右衛門--------------------------------→(卓爾家)