左の刊本は熊本の出版社・(株)青潮社発刊の「肥後細川家分限帳」だが、底本は中島亀友氏所有の「旧藩 御家中知行附」で明治十八年二月十八日写)だとされる。
右は旧藩士・高田家所蔵の「大正十三年二月謹寫 肥後旧藩士録名籍」だが、底本は判っていない。
知行取については御覧の通り内容はほとんど一緒だが、後者においては加えて「寸志」「御扶持方」などが記されており貴重である。
又、先祖武功により「御鏡餅頂戴之家」(△印)が紹介されている。又、〇印が附されているものがあり、これ以外は「一代御中小姓」だとしている。
御中小姓は世禄ではなくまさしく「一代御中小姓」は原則一代限りなのだが、よほどのことがない限り継続家督している。
由緒ある家では「代々御中小姓」という家柄もある。武家の格付けの複雑さがうかがい知れる。
後者は高田家が所有されるものをお預かりしたのだが、破れがひどくその残決を見つけて旧に復したのだが、その際役に立ったのが「肥後細川家分限帳」である。
御覧の通り状態が非常に悪く、紙はしわくちゃではあるが何とか体裁を整えてお返しした。その過程でコピーを取って控とさせていただいた。
「侍帳」としては一番時代が新しい写本だと思われるが、まだこのような史料が存在していて、まだまだ旧家にはいろいろ残されているのではないかと思われる。
ご教示たまわれば幸いである。