当ブログの検索欄に「走者」「走」等と打ち込み「当ブログ内で」を選んで検索していただくと、相当数がヒットする。
走者とは「走り者」であり、主人の所からであったり、又百姓が土地を捨てて逃亡することを指す。
相当数ヒットするということは、頻繁に「逃亡」事件が発生していることが判る。
いろんなケースがあるが百姓の走り者は、年貢が収められなかったり、自然災害で収穫が無かったりということが多い。
一家をあげての逃散ということもある。しかしながらほとんどは国境を越えることはなく、人留の役人に捕まることになる。侍の奉公人や町人なども結構見受けられるが、犯罪が絡んでいることが多くこちらはそれに応じ処罰されている。
一方百姓は大切な米や小物成の生産者であるため、犯罪が絡んでいなければ、元の生活に戻されることが多い。
年貢が絡んでいると、子や兄弟が質奉公に出されたりして金を工面して、納める事にはなる。
又、時折他藩からの走り者が国境を越えてくることが有る。筑前黒田藩などからの場合百姓については戻すことはないようだが、それ以外は話し合いがもたれることなく国境から黒田領に追い払つている。
黒田家と細川家は慶長五年以来関係が非常に悪いためである。
処が、その他周辺の大名家とは好ましい関係が構築されているから、話し合いで解決しているようだ。
しかし、百姓は国境を越えれば逃げ勝ちというような感じがある。なかなかそういう具合にはいかないのだろうが、「走者」の記事が多いのには驚かされる。
「走者」の研究の第一人者は九州大学の宮崎克典氏、著書「大名権力と走り者の研究」に詳しいが、手ごろな所では中公新書に「逃げる百姓、追う大名 ‐江戸の農民獲得合戦‐」がある。
こ難しい話のようだが、読んでみると中々面白い。
内容のほとんどが、豊前時代の細川家領内での出来事であり、時代的には現在ご紹介している「細川小倉藩日帳」あたりが舞台となっているようだ。
肥後入国以前の細川藩の政の一端が伺える。後者は「お安く読める」新書版であり、ご一読をお勧めする。