津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■桃節山が「肥後見聞録」に記す「ぼした祭」

2020-09-12 10:23:48 | 史料

 先にもふれたが桃節山の「肥後見聞録」には、藤崎宮の秋の例大祭に関する記事が見える。
以前は加藤清正の朝鮮征伐に由来する「ぼした祭」と呼ばれていたことが、この記述で証明させている。
今年はコロナ禍の為、馬追いを含む神幸行列は取りやめとなった。祭好きの人たちは憤懣やるかたないことだろうと御察しする。
そんな慶応元年の熊本のお祭り事情を「肥後見聞録」から覗いてみよう。

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〇(慶応元年九月)十五日、晴
今日も安井(左平次)氏ニ滞留、今日ハ當所氏神八幡宮之祭禮也。其祭禮式ハ、清正公朝鮮より御凱陣之節御願解之御式其儘傳ハリ居候由、拙者共儀いまた熊本滞留之願も相濟不申、城下徘徊六ヶ敷候得共、珍敷祭禮ニ候間、極密を以一覧痛し候とて、左平次幷清藤政右衛門世話を以搦手之方番所無之間道より入込、二之勢溜ニ而三千石木下伊織屋敷之表長屋二階へ罷出一覧す。同道ハ安井左平次・同幸太郎・大岩又左衛門・同子供二人・清藤政右衛門、外ニ左平次門人抔四五輩也。晝飯後九時過罷出ル。
                                  (細川慶順)(顕光院)(鳳台院)
八幡宮今朝御旅所江行幸有之。夕方御歸り也。拙者共罷出候而少し間合ありて御當君御母堂御兄婦當時御寡居也。御二方二之勢溜之内御上壇へ被為入、暫ありて御二弟
(細川護久)       (細川護美)
澄之助二十七歳良之助二十四歳両公子も被為入、夫より少し間合ありて 神輿之御通り也。御行列ハ先ツ榊、次二御太刀、次二猿田彦命。三躰神輿之御案内之由。鉾之先ニ鼻高面を懸たる也。それより神馬、白赤黒之三疋駆ヶ廻ル。此馬三疋は則八幡宮三躰之神馬ニ而、御出之節神主 神輿を背ニ負ふ真似して馬ニ乗せ奉る。御歸之節も同断。勢溜ニハ拝禮之人充満して立錐之地もなき様見えしが、其中を縦横ニ駆ケ廻ル。依而年々怪我人も有之由、樓上より見候ニも誠ニ恐しく危く見えたり。此馬ニハ仲間両口ニて神主躰之者數人且數十人、跡より参り、いつれも青竹之さゝらの如きものを以遂立るニ、その囃子ニハ、ボゞシタ/\と申也。此ハ御凱陣之御式故其始ハホロボシタといへしをいつしか言誤りしと也と大岩又左衛門語れり。又茶碗ボゞ/\とも申せり。此ハ大勢群衆之中をかけ廻る儀故ケガナイといふ事を表したる也といへり。此ハ三疋共君侯之御馬を出され候事之由、それより鉾三本計通りて然後 神輿御三躰 景行天皇御親子 御三神之由、其跡ニ勅使光永蔵人、此勅使は始メ清正公之時京都より下り直ニ當地ニ被居、五百石を賜ハり居候由、従四位下なりと又左衛門より承ル。扨右十二人之神主ハいづれも馬上ニ而かけ廻り候譯ニ候得共、左候得は是非落馬抔致し怪我も有之候ニ付、其馬ハ十二疋共飾馬にして馬計跡より引出し又三 神馬之通かけ廻ル也。此馬ハ當藩大名中より出し候由、乍爾右十二疋之馬をかけ候節ハ年々怪我人のみならす、死人をも有之二付、昨年より之被仰出之由ニ而只引通り候のみ也。尤馬遂之者懸聲ハ三 神馬同様ニ而馬甚荒だち居候、右馬ハ都合十五疋共二三十日以前より極荒たち候様畜ひ立置候事之由。それより清正公之行列なりとて晩頭一人馬上、其次ニ百騎之武者、いつれも甲冑なり。此者いつれも作り武者にて、晩頭ハ當藩中小姓組之者、百騎ハ當藩之足軽之由、其跡ニ長柄百筋、いつれも當藩長柄之者之由、陣笠法被也。其跡へ物頭上下着用馬上也。此分ハ實之物頭也。其跡ニ街中より鉾或ハ冑之類一丁ニ一本ツゝ行列を揃而持行く。それより少し間合ありて祭禮珍敷奉行物頭馬上ニ而上下着用、足軽十人計召連通ル。

                  (吉田松花堂)
何様珍敷祭禮なり。右濟而新町へ廻り醫師吉田順齋方へ一統立寄ル。同人ハ安井氏召抱之醫師之由、同家ニ而酒肴心配致し、五つ時頃安井方へ歸ル。
                              
                              (了)

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■細川小倉藩(345 )寛永五年・日帳(十二月五日~八日)

2020-09-12 06:49:28 | 細川小倉藩

                      日帳(寛永五年十二月)五日~八日
 
         | 
         |     五日 安東九兵衛
         |
塩木又丞小倉詰ニ |一、坂根九右衛門・井上長介両人登城候而、申候ハ、塩木又丞事、爰元ニ相詰居申候儀、手前不罷成
手前ナラズ    |  候ニ付、中村左太夫知行所へ参候而、居申度由、申候との理ニて、九右衛門・長介両人ノ請人書       
         |  付持参候事、
長岡孝之鉄炮猟  |一、休斎様ゟ被仰下候ハ、御留守中、大橋ゟ外ニ而鉄炮を打可申由、 殿様御上洛刻被 仰置候、
         |  併、舟を無御所持候間、申付、かし進之候様ニと、被仰下ニ付而、如何可有御座哉と、式ア殿へ
忠利ノ命ハ承ラズ |  切帋ニ而可申入と仕候処ニ、幸、式ア殿被成御登城候ニ付、右之様子申候処ニ、 御諚之通終不
澪木ノ外海ニテ打 |    承候、乍去、休斎様被仰儀、偽ニ而ハ在之間敷候間、御舟申付可然由、被仰候、さりなから、み
ツベキヲ求ム   |  を木ゟ外海ニ而、被成御打可然存通、我等共心得之様ニ可申入旨、御申候ニ付、片山加右衛門を
舟ヲ貸与ス    |  よひ、右之通申渡候、則御舟を渡進之候様ニと、三宅清兵衛ニ申渡候事、
台所人相使    |一、安立與兵衛相使ニ、千手新左衛門与則木忠左衛門と申もの、十一月廿四日ゟ付置候事、

         | 
         |     六日 加来二郎兵衛
         |                          (日比、備前児島郡)
         |一、御船頭南喜左衛門・手嶋茂大夫今日罷下候、 殿様ニひゞにて相申由、申候事、
江戸ヨリ飛脚ノ旅 |一、続亀助与竹久作右衛門、江戸ゟ今日罷下候事、江戸十一月十三日ニ出、大坂ヲ同廿九日之朝、出
程        |  舟仕事、
         
         |
         |     七日 石本三介
         |
中津給人等へ烏丸 |一、当御借米奉行衆中へ、中津御給人衆へ御万様ゟ御銀子、当御借米返上のため、被借遣候間、御借
万ノ貸付銀ヲ貸シ |                      〃
当年借米ヲ返上セ |  米先相渡申間敷候との触状遣候、今日罷帰候事、
シム       |
         |一、上村甚五左衛門尉所へ、不破平太夫百生ノ儀ニ付、遣候書状来候事、
豊後横目等へ音信 |一、豊後御横目衆へ被遣候御音信ノ目録、幷金守形右衛門・宇野七右衛門所ゟ之状、今日参候事、付
目録       |  り、御音信物次夫にて遣候へとの送り状同前ニ来ル、
         |  (島津家久)       (敦行)                                  杉ノ小箱壱つ
島津家久へ使者  |一、松平薩摩守様へ、続平右衛門御使者ニ被遣候、今日罷帰候事、 三斎様へ上ル御状壱通、〇喜入
         |  (忠続)    (村上景則)                       (久元)
         |  摂津守所ゟ、長岡河内所へノ状壱通、 越中様へ上ル御状壱通、喜入摂津殿・嶋津下野殿ゟノ披
使者へ馬等給与  |  露状壱通宛来候事、平右衛門に薩摩様ゟ被為拝領物御小袖五つ・御馬壱疋也、

         | 
         |     八日 安東九兵衛
         |
呼野ヨリ金山奉行 |一、呼野御金山ゟ、沢治吉右衛門・夏間少三郎御金銀御用之由にて、持参候由申来候、則御銀奉行衆
銀ヲ持参ス    |  へ被相渡候へ之由、申渡候、幷御金山にて遣申候はかり目おち候て、御用ニ立不申候由間、はか
金山ノ秤ノ量目落 |  りやニ被仰付候而可被下之由、申候事、
ツ        |
病気ニヨリ城番欠 |一、伊崎半丞所ゟ書状来、来ル十日ゟ、御城御番にて候へとも、此中永々相煩候故、罷出候儀不相成
勤届       |  由、被申越候、無由断養生あるへく候段、返事候事、
遠坂越後欠勤届  |一、遠坂越後守所ゟ使、一昨日明後日ゟ御城御番ニて候へとも、此中相煩、いまたしか/\とも無御
         |           〃〃〃
名代ハ不要    |  座候間、名代ニ関内成共さし上可申哉と被申候、御煩ニ候ハヽ、無是非候、御名代ハ入申間敷由、
         |  返事申候事、
         |      (郎脱)
島津家久書状三斎 |一、御小人源三ノ与作助ニ、松平さつま様ゟ 三斎様へ被進之御状幷一箱、中津へ持せ上申候、但、
宛        |  さつまゟ続平右衛門被持帰候事、
         |一、大坂ゟ、元田彦丞・臼杵半左衛門・矢野勘右衛門・上村理右衛門・可児小七郎・住江四郎兵衛・
         |  佐田吉左衛門罷被下候事、
時計ヲ奈良鍛冶ニ |一、時計壱つ、ならかちニ渡置候事、
渡ス       |

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