津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■講談社『メチエ・メール』Vol.194 から「鷹将軍と鶴の味噌汁」

2021-08-15 14:28:29 | 書籍・読書

 講談社からのメール「メチェ・メール Vol.194」は、8月12日発売の大変興味深いこの本「鷹将軍と鶴の味噌汁」を紹介してくれた。
10数年前古文書に親しみ始めたころ、「鷹の鶴」とか「鷹の鴨」とかいう文言に出会いこれがなかなか理解できずにいたが、古文書を読む能力が付くにつれて「鷹狩りで捉えた鶴(鴨)」ということが理解できた。
貴重な鶴を食するということに大いに違和感を感じたし、熊本辺りにも盛んに鶴が飛来し熊本の百貨店「鶴屋」が、鶴屋敷と呼ばれた某氏の屋敷跡であることに由来することなどを知るに及び、豊かな自然が存在していたことを知る事となった。
そして鶴をはじめとする鳥類が上級武士の「鷹狩」という行事によって捕獲され、また鷹匠が勤めの一部として捕獲に努めるなどして食膳に上っていた。
特に鶴は珍重されて、将軍家はじめ重要幕閣や懇意の大名間で贈答の一級品として扱われていた。

このような事実にふれ、これらの詳しいことを知りたいと兼ねがね思っていたが、今回この本の刊行によりいろいろな疑問が氷解すると喜んでいる。
早速注文をし、コロナ禍の中の貴重な時間活用にしたいと思っている。久しぶりに読みたい本に出合った感じがする。          

                         
                    講談社選書メチェ 単行本(ソフトカバー)1,980円

【内容】
おいしい野鳥が食べたい!――幕府の権力をもってしても、江戸のグルマンの食欲を抑え込むことはできなかった。失われた食文化の全体像を、初めて描き出す異色作!
江戸時代の人々は、多くの「野鳥」を多彩な調理法で食していた。鶴、白鳥、鴨、雁、雉子、雲雀、鷺、雀、鳩・・・それらは、食のみならず政治や経済、儀礼などをめぐって、魚やほかの動物たちには見られない、複雑で高度な文化の複合体を形作っていた。鳥は、日本文化そのものを理解するうえで欠かせない重要な動物だったのである。
歴代の徳川将軍は、鷹狩で野鳥を狩り、鶴を天皇に献上し、また大名や家臣に獲物を分け与えた。中・下級の武士たちは雁鍋や鴨鍋を楽しみ、裕福な町人は料亭で野鳥料理に舌鼓をうち、庶民は鴨南蛮や雀焼といった素朴なファストフードを頬ばった。幕府によって野鳥流通が厳しく統制され、日本橋の水鳥市場は活況を呈し、その大きな利権を狙ってアウトローたちがうごめいていた。しかし、江戸時代に隆盛を極めたこの食文化は、明治以降、衰退してしまう。そして今、数千年の歴史をもつ野鳥を食べる伝統文化が、日本から消滅しようとしている。
さまざまな野鳥料理のレシピ、江戸に鳥を送っていた村のフィールドワークなどから、語られざる食文化を総合的にとらえたガストロノミー(美食学)の誕生。

【目次】
序章 鳥の味にとりつかれた美食家たち
第一章 鳥料理の源流――京料理から江戸の料理へ
  1 日本人はいつから鳥を食べていたのか?
  2 中世の鳥料理
第二章 江戸時代の鳥料理と庖丁人――鶴の味噌汁、白鳥のゆで鳥、鷺の串焼き
  1 江戸の町から出てきた大量の鳥の骨
  2 『料理物語』のレシピ
  3 庖丁人――一流シェフの伝統と技術
第三章 大衆化する江戸の鳥料理――富商、貧乏武士、町人の味覚
  1 鶏鍋、雁鍋、鴨鍋――中級・下級武士の食卓
  2 料亭・名店の味――富裕層、文人墨客の贅沢
  3 鴨南蛮と雀焼――庶民の素朴なファストフード
第四章 闇の鳥商売と取り締まり――せめぎあう幕府と密売人
  1 「生類憐れみの令」による危機
  2 アウトローたちの鳥商売の手口
  3 鳥商売と大岡裁き
第五章 侠客の鳥商人 ――東国屋伊兵衛の武勇伝
  1 日本橋・水鳥市場の男伊達
  2 幕臣と侠客との親密な関係
第六章 将軍様の贈り物――王権の威光を支える鳥たち
  1 鷹狩と贈答による秩序維持
  2 「美物」の使い回し――中世の主従関係
  3 「饗応料理」の鳥の意味
第七章 江戸に鳥を送る村――ある野鳥供給地の盛衰
  1 手賀沼の水鳥猟
  2 西洋的狩猟の浸食
  3 カモが米に負けた
終章 野鳥の味を忘れた日本人
 
【著者】
菅 豊
1963年長崎県生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。博士(文学)。国立歴史民俗博物館助手、北海道大学文学部助教授、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授などを経て、現在、東京大学東洋文化研究所教授。専門は民俗学。著書に『修験がつくる民俗史――鮭をめぐる儀礼と信仰』(吉川弘文館、2000年)、『川は誰のものか――人と環境の民俗学』(吉川弘文館、2006年)、『「新しい野の学問」の時代へ――知識生産と社会実践をつなぐために』(岩波書店、2013年)、編著書に『人と動物の日本史3――動物と現代社会』(吉川弘文館、2009年)、『パブリック・ヒストリー入門――開かれた歴史学への挑戦』(北條勝貴と共編著、勉誠出版、2019年)ほか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■水害のお見舞いを申し上げます。

2021-08-15 10:08:15 | 徒然

 各地で被害を受けられた皆様にお見舞いを申し上げます。

 今回の大雨では、熊本でも昨年大被害があった県南・球磨川水系周辺市町村や、県北の山鹿市や和水町などで被害がみられ、九州では福岡・佐賀・長崎の被害がひどいようです。
幸いなことに今日は前線が南下して雨も小康状態になってきましたが、明日以降の予報ではまた雨が降り出しそうですから、一安心とはいきません。

 丸四日雨が降りつづき、あまりのひどさに外出もままならず一歩も外に出ずに過ごしましたが、今日は五日ぶりに散歩に出てみました。
熊本では連日コロナ感染者が増加の記録を更新しながら増え続けていますから、雨も相まって、町の中を歩いている人など殆どといっていいほど見受けられません。
どちらのご家庭でもお盆の帰省なども控えられ、この夏はお寂しいお盆であったことでしょうし、子供さんがおられる家庭では楽しいはずの夏休みも、その声さえ聞こえず、まるでお正月の静けさのように思えます。
蒸し暑さと、変らぬせみ時雨の中を50分ほど歩きましたが、ずっと椅子に座りずくめでしたから股関節が痛くて、歩くのにスピードが上がらず飛んだお笑い種した。
今週はずっと雨模様の予報ですが、多分先の梅雨明け宣言は嘘だったのでしょう。今年の梅雨明けは異例の8月下旬になりそうです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■今日の「ポツンと一軒家」

2021-08-15 07:47:49 | 徒然
 今日8月15日(日)の午後7時58分からのテレビ番組「ポツンと一軒家」では、なんと荒木村重のご子孫の家がでてくるそうですよ。
https://www.asahi.co.jp/potsunto/

ご厚誼いただいております山梨在住の村重のご子孫でお医者様のMA様(荒木村重のイニシャルではありませんよ・・)からご連絡いただきました。
交流がお有りなのかもしれませんね・・・


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■「丹後三家物語」3・米田監物弓木の城に向ふ事

2021-08-15 06:24:02 | 史料

      米田監物弓木の城に向ふ事
 
 忠興兼て監物に密談せられけるは、一色五郎を打とめば、汝ははやく弓木に馳向ひ、五郎が室を請取べ
し、若城内の侍共少も疑義する族をば一々に頸を刎、城を破却し歸べし。出馬の相圖は狼煙なりと云合、
騎馬十四五騎に足輕従ておかれける。宮津より西に當てのろしが嶽とて高山有、此山に兼て煙の役人付置
れ、一色を討とひとしく城内に煙を上れば、山上にものろしを立、彼十騎餘の兵ども方々の一味の者此の
煙を見るよりも、監物に随て弓木に押よせて城内へ云入けるは、御内室の迎として米田監物是迄來り候
也、此の上は子細なく渡し給へと申つかはしたりけれども、城内曾て返答にも不及、中々稠敷鐵炮を打出
す。城中には天下無雙鐵炮の上手稲富伊賀と言ふ者籠居て、分釐を打ける間、よせて忽死人多かりけれ
ば、監物先野出の橋づめ迄引取て重て使者を以城中へ申遣けるは、内室だに渡給はゞ、面々には子細有べ
からず、只今率爾の働し給ふ故、味方に手負少々有之といへ共それは武士の作法なれば何苦ふ候べき。藤
孝前をばよろしく取成可申と念比に申遣たりけれども、城内評議區々にて、とやかくといふ間に傍の者ど
も内室を人質に取て、うしろの山より忍び出、但馬をさして落行ける、監物是を聞よりも、諸鎧にて追縣
たり、但馬の國藤の森にて追付、無恙内室を取返し米田は宮津へ歸ける。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする