漱石の句に 大和路や紀の路へつづく菫草 があるが、やはり菫は野原や道端に咲くものが愛らしく思える。
そんな道端に咲いていた菫を頂戴して、バルコニーに置いているプランターに植え付けたが、今では実生の「菫」が生い茂っている。
その菫の今頃は、可憐な紫色の花が次々に咲いて騒がしいほどだが、これが小さい種を抱え込むように丸い球を作る。
これが三又にはじけるのだが、種は乾燥してから落ちるので、はじけてすぐ摘み取り、プラスチック・ケースに入れて乾燥させている。
それを、植木鉢に蒔いたり、マンションの植え込みに蒔いたり、それでも余れば道のわきの植え込みに蒔いたりもしている。
そして私の部屋の前のベランダには、小さな鉢に「肥後スミレ」の種を蒔いてみたが、随分古い種子だから発芽するか心配していたが、二つほど芽を出している。
「肥後スミレ」は白い花弁がかわいくて、随分以前鉢物を買って育てていたが、夏の暑い日に水やりを忘れて枯らしてしまった。
さて今年白い花を見ることができるか楽しみではある。
かわいいと思う齢や菫かな 津々