11月5日、今年も恵泉女学園大学生が稲刈りとや脱穀体験などにやって来ました。やって来たのは先生1人に生徒5人の6人でした。大学で長靴などに着替えてから、大学のマイクロバスに乗って来たそうです。稲刈りする場所は、6月末に田植えをした田んぼです。田植えをしてから4ヶ月あまり、小さな苗は今や稲穂を重く垂らして収穫時期を迎えていました。まず最初に稲刈りをしてもらいました。
みんな笑顔で稲刈りを開始
大学生達は皆稲刈りが初めてです。最初、稲刈り専用ののこぎりガマの使い方,刈る時の姿勢,稲茎の刈る位置,刈り方などを教えました。次に、刈った稲束のちょうど良い太さ、ワラを使っての縛り方などを教えました。あとは実際にどんどん稲刈りしてもらいました。
腰を落として低い姿勢で刈り取り 刈り取った稲を束ねる
昔、稲束を縛るための稲ワラを腰に付けて稲刈りしていました。稲刈りしたその場で、即座に背中に付けた稲ワラを数本抜いて稲束を縛っていました。しかし、大学生達にそのような熟達した技術はありません。近くに置いた竹竿の上に刈り取った稲を順番に置いてもらい、規定の量まで稲を積んだら縛ってもらうようにしました。
竹竿に積んだ稲束を、稲ワラで縛っている大学生
稲を刈り取る動作はとても簡単です。しかし、規定の太さになった稲束を縛ることは最初難しいようでした。特に、稲ワラで稲束を縛るためには、それなりの指使いと力が必要です。稲束の結び方も独特です。
笑顔で稲束を縛る 縛り方に慣れたかな
稲束を縛ると、今度は竹竿に架けて稲束を干します(はさ架け)。彼女達が来る前に予め組んでいた竹竿に次々に縛り終えた稲束を架けてもらいました。架ける直前に稲束をX字形にして竹竿に乗せるよう架けます。
予め組んでおいた竹竿に、縛った稲束を干す(はさ架け)
一時間ほどで稲刈りを終えました。続いて、脱穀体験をしました。今日稲刈りした稲はまだ干したばかりで脱穀できません。10日前に小学生が稲刈りして干した稲を使って脱穀体験をしました。まず最初に江戸時代に使われた千歯こぎを使って脱穀してもらいました。
千歯こぎの組み立て方を一緒に考えている大学生
千歯こぎを使う前に、彼女達にノーヒントで千歯こぎを組み立ててもらいました。最初わいわい言いながら組み立て方を相談していました。そして、いろいろ組み立ててみたり外したりしながら考え込んでいました。しばらくして無事にノーヒントで組み立てることができました。
この棒はどの穴に入れるのかなあ?? 無事組み立て終わり、脱穀開始
千歯こぎを使いこなすにはちょっとしたこつが必要です。例えば、一度に稲穂を鉄櫛に入れないで少しづつ稲穂を入れて引くと用意に脱穀できます。一度に稲穂を入れると、ワラ屑がでたり、稲束がバラバラになりやすくなります。また、千歯こぎを押さえる人が必要など、適度なチームワークが不可欠です。
数人が千歯こぎを抑え、一人が稲穂を引く
千歯こぎの次に、足踏み脱穀機を使って脱穀してもらいました。脱穀ドラムを回転させると「ガーリン ガーリン」と快適な音が出るので、また適度なリズムで足を踏む心地よさのためか、彼女達のお気に入りでした。
快適なリズムで足踏み脱穀する大学生
千歯こぎも足踏み脱穀も、脱穀された籾をかき集めて網で選別しなければなりません。脱穀後、ブルーシートに落ちたワラゴミと籾とを一緒にみんなでかき集めました。そして、丸い網の上に乗せて、ぶるぶる網をゆらしてワラゴミと籾を選別しました。
ワラゴミと籾を手でかき集める 丸い網を使って籾だけを選別
去年の稲刈り・脱穀体験では千歯こぎと足踏み脱穀機だけを使いましたが、今年はそれに加えて新たに発動機で動かす脱穀機,押し切り,手回し式ワラ細断機を体験してもらいました。なお、2007年秋の稲刈り・脱穀時に体験した唐箕と縄ない機は時間がないため搬入できず体験しませんでした。
まずは、今から50年前の昭和30年代に使われた発動機で動かす脱穀機を使って脱穀してもらいました。この機械は稲穂を差し込むだけであっと言う間に脱穀完了、そして自動的にいワラゴミと籾を選別し、さらに自動的に籾が米袋に入ります。
発動機を使った脱穀機で脱穀、緑色の米袋に自動的に籾が入る
この脱穀機を使ってもらった瞬間に「すごーい!」と感嘆の声が彼女達から上がりました。千歯こぎや足踏み脱穀機の大変さを知ったからこその感嘆の声だったのではないかと思いました。この機械は千歯こぎの何十倍もの速さで脱穀・選別をすることができます。
ただし、ものの功罪(一長一短)があることも話しました。千歯こぎは効率はとても悪いのですが軽くて簡単に移動して使うことができます。一方、発動機を使った脱穀機は効率は確かに圧倒的ですが、重くて移動は大変です。さらに、燃料を使うので費用がかかりますし空気を汚します。
脱穀の順番を並んで待つ とても暖かい日差しの中、脱穀作業
脱穀後の稲ワラはその昔、むしろに編んだり、縄にしたりと、いろいろなワラ細工にして日常に役立てていました。しかし、今は稲ワラはほとんど使われなくなりました。このため、今は稲ワラは細断して田んぼや畑にばらまきます。その稲ワラの細断を体験してもらいました。
押し切りを使って、稲束を細断する大学生
まず最初に押し切りを使って稲束を切ることをしてもらいました。そして、次に手回し式のワラ細断機を使ってもらいました。手回し式の細断機は次々にワラを切断できるのでとても効率的です。しかし、回すには力が必要ですので、実際に使ってもらった結果は彼女達に不評でした。
手回し式のワラ細断機を使う とても力がいるので、なかなか切れない
実はこの手回し式のワラ細断機は発動機を使って動かすことできます。実際に発動機を使ってこのワラ細断機を回すと、ワラを投入口に入れるだけで簡単にワラを細断することができます。手回しで苦労していた彼女達はびっくりした様子でした。今回の体験は、農機具が歴史的にどのように進歩したかを体験することも兼ねていました。2時間ほどの稲刈り・脱穀体験はあっと言う間に終わってしまいました。
ワラ細断機の投入口へ稲束を入れている笑顔の大学生
17日早朝、今年も別所小学校の5年生達が田植え体験のため田んぼにやって来ました。田んぼ最寄のバス停でバスで来て、そのバス停から田んぼまで歩いてきました。かつては、小学校から田んぼまでの約4Kmを歩いてきたこともありました。しかし、ある年に炎天下を歩いて小学校まで帰る途中で、子供達数人が暑さでダウンしたそうです。その次の年から、田んぼ最寄のバス停までバスで来るようになったとか。
田植えを始めた1組と、それを指導している保護者の方々
私一人では2組もの子供達全員の田植えを指導することは無理です。このため、最初に保護者の方々に田植えの方法を教えました。そして、この保護者の方々が小学生達に田植えを教えました。私は子供達の田植えを見回ることに徹しました。
田植えを始めた2組と、教えている保護者の方々
田植えは、1組と2組がそれぞれの田んぼで同時に始めました。1クラス全員が一度に田んぼに入れません。1クラスの半分が最初に田植えして、残り半分が後半に田植えをしました。
1組と2組がそれぞれの田んぼで同時に田植え開始
田植えを教える保護者は大きく三つの係を分担してもらいました。一つは号令係一人です。田植え全体の流れを把握して号令をかけます。もう一つは田植えひもの両端を持つ係2人です。号令係の声で田植えひもを動かします。もう一つの係は苗を子供達に渡す係です。子供達が持っている苗が少なくなると、子供達に苗を手渡しします。
1組後半の田植え 後ろに山の木々が迫る
ほとんどの子供達は田植えが初めてです。また田んぼに入ること自体が初めての経験です。畦まではサンダルで来ますが、田んぼ内は素足で入ります。田んぼの泥に足を入れる感触に最初はキャーキャーを声を上げていました。
2組後半、苗を渡す保護者 みんな仲良く並んで田植え
この田んぼは一切農薬を使っていません。また化学肥料を入れていません。このため、お米の収量は多くありません。しかし、たくさんの小動物が住んでいます。田植えをしている子供達も田植えしながら、タニシ,いなご,ザリガニ,かになどに気が付いたようです。特に男の子達はかにやザリガニなどを捕まえていました。
夏らしい日差しの中、5年生後半組の田植え
田植えが終わると田んぼ脇の小川に直行です。小川には、山から流れ出た水が走るように流れています。飲むには適さない水ですが、泥で汚れた手足を洗うには十分です。水は坂になった岩を流れ落ちています。その岩で即席の滑り台を楽しめます。
田植えが終わると小川に直行 手足を洗うと、滑り台を楽しむ
この小川にたくさんの生き物が暮らしています。子供達は誰が最初に始めたのか、岩をはがし始めました。そして、出てきたカニを捕まえていました。カニを捕まえて見るのはいいのですが、決して持って帰らないように言いました。
流れ落ちる小川の水で、汚れた手足を綺麗に洗う
小川で手足を洗うと、田んぼ近くに生えているクワに実が成っているのを発見した子供達がいました。手を伸ばして実を取って甘い味を楽しんでいました。山クワのため実は大きくありませんが、黒い実はお菓子の甘さに慣れた子供達にも美味しいようです。その後、先生の合図で集合した子供達は、列を作って田んぼを去っていきました。
田んぼ前に垂れ下がったクワの実を取って食べている子供達
田植え体験をした5年1組の子供達
田植え体験をした5年2組の子供達
18日別所小学校のおにぎりパーティーに行ってきました。午後1時半に京王堀の内駅に大学生達と待ち合わせてから別所小学校に向かいました。このパーティーは何年も前からの年中行事のようなものです。このパーティーに来るのは父母と私のように子供達にお米作りを教える方々です。
最初父母の作った豚汁を配膳 招待された大学生にも豚汁
食べるのは子供達が一年を通じて田んぼで、下見して,田植えして、雑草取りをして、稲刈り脱穀して収穫したお米です。今日のパーティーは、小学校で推奨されている農業体験の成果発表のようなものです。
自分達が作ったお米で、日本文化の一つであるおにぎりを
もともと小学校では稲を校庭で作っていました。そのころ、その稲の苗を先生に差し上げていました。しかしながら、校庭の田んぼは狭い上に水がすぐ抜けるようでした。田植えは数人の生徒しかできないとのことでした。
1組は楽しくおにぎり作り 父母も同席しておにぎり作り
何年か前に稲の苗を差し上げた時に、私が先生に「本物の田んぼに子供達全員を呼んで田植えしてはどうか」と提案したことから毎年のお米作りが始まりました。小学校から田んぼまで約3Kmの距離にありほど良い距離です。
大学生も父母に混じっておにぎりを楽しむ
ところで、今日来た大学生達は子供達が農業体験している田んぼの近くで米作りをしている薬科大学環境サークルのメンバーです。地域の子供達を呼んで泥んこ大会も毎年企画しています。このメンバーが時々来て小学生の農業体験を手伝ってくれています。お米作りは、小学生と大学生の交流の場としての意義もあります。
小学生と同席して楽しんでいる大学生
今回はおにぎりパーティーでしたが、過去には体育館でもちつきをしたり、お米作りの演劇をしたり、先生の発案でさまざまなお米作りに関わる取り組みがなされました。子供の数もだんだん減り、数年前は5年生で4クラスもありましたが去年からは2クラスに減りました。4クラスの子供達にお米作りを教えた時は、田んぼの数,準備時間,教える人数の確保など大変でした。
2組も楽しくおにぎり作り そろそろ食べ終わったかな
このおにぎりパーティーで私がお話しをしましたが、今回のおにぎりに使ったお米つくりには化学肥料を使っていません。厩肥,落ち葉,枯れ草が主の肥料です。このため、田んぼとしての収量は多くありません。
元気いっぱいの2組の子供達、美味しかったかな
また無農薬のため発生したカメムシなどが汁を吸った米粒があります。このため変色した米粒が混じっています。見た目は少し変でも、自然いっぱいの美味しいお米です。
食べ終わり、感想は? 照れながら話をする大学生
おにぎりパーティーが終わって小学校から出ると、近くのレストランで大学生達と反省会を兼ねていろいろお話をしました。大学生が作っているお米の脱穀や藁切りなどを手伝う一方で、大学生にはお米作り以外の麦の収穫や砂糖作りなどを手伝ってもらっています。今後の協力を約束して分かれました。
小学校前で私を除く参加者(Yさんと大学生3人)
肌寒い曇り空でしたので、今日は田畑での農作業をやめました。そこで、今月18日にある小学校5年生のおにぎりパーティー用白米のための精米をしました。このおにぎりパーテイーは毎年この時期に別所小学校で行われます。去年は2月12日に行われました。私の家に保管していた籾を籾摺りして玄米を作り、次にその玄米を精米機で精白して白米にしました。
籾摺りに使った籾摺り機、玄米を作ると同時に籾殻を採取
出来上がった白米は、小学生達が農業体験として田植えして、草取りして、稲刈りして収穫したお米です。農家ではありませんが私はその農業体験のお手伝いをしています。この18日小学生達は、このお米を小学校の家庭科室で炊飯しておにぎりにして食べます。以前はお餅つきパーティーの時もありました。なお父兄もお味噌汁などを作るなどして参加します。私も招待されています。毎年のことですがとても楽しみにしています。
精米機で玄米を精白中 籾殻は集めて野菜作りに使用
一昨日の22日、明治大学大学院理工学研究科で都市計画を研究しているS氏のインタビューがありました。主に、ユギ・ファーマーズクラブでの学校農園の活動についてです。このインタビューのきっかけは、毎年続けている別所小学校5年生のお米作り体験です。その小学校の副校長からの紹介でした。
Y氏と明治大学大学院生のS氏
私もインタビューについて答えましたが、一番良く知っているY氏にも来てもらってインタビューを受けました。S氏は学校農園について調査をしているとのことでした。学校農園はほとんどが農家のボランティアで成り立っていることが多く、その農家の方の意欲が無くなったり,後継者難,農地の相続などの問題で学校農園が継続できないことがままあるとのことでした。過去30年にさかのぼっていろいろとお話をしました。S氏は来年から横浜市で同様な問題に関わる仕事をするとのこと。ぜひ、より良い住民の生活,後世に残すべき自然や農住環境を作って欲しいと思います。
インタビュー後、S氏と歩いた田んぼのある里山環境
S氏の研究内容とインタビュー内容(メールから抜粋):
私は大学院の修士研究で東京都内の公立小学校にて行われている学校農園
(授業で子どもたちが近隣の農地にて栽培体験をするもの)について調べております。9月に学校宛てに学校農園の実施についてアンケートを行い、別所小学校から回答をいただき、指導にあたっているのがユギ・ファーマーズ・クラブさんであるとお伺いしました。
研究としては、農地の利用という点と学校農園の継続性に着目しております。実際のところ、学校農園は長続きしないという例も多く、指導者(多くが農家)のボランティア精神で成り立っているという側面もあります。
この研究を通じて、学校農園をもっと活発に、継続的にやっていくためにはどのような要素が必要かを明らかにし、各方面に提案していきたいと考えています。そこで、指導者にとってのメリットや問題点、望ましい支援体制などについて実際にお話を伺いたいと思っています。
案内した体験学習用田んぼ 下見に来られた担任の先生
今年も小学生達と楽しく交流できるといいなと思います。別所小学校の周りには自然が少なく、マンション住まいの子供達が多いと聞きます。この田んぼでいろいろな自然体験をしてもらえると良いと思います。
28日朝、別所小学校の5年生達が田んぼに稲刈りにやって来ました。6月に自分達が田植えした稲を今度は稲刈りしました。ほとんどの子供達は稲刈りが初体験です。しかも、お手伝いをお願いしたお母さん方も稲刈りは始めてのこと。
田植えの時と同じように、子供達が稲刈りする前にお母さん方に稲刈りの方法を覚えてもらいました。私一人ではとても教えきれないため、お母さん方にも子供達に教えてもらいたかったからです。
さあ稲刈りの開始、おぼつかない手でカマを使って稲を刈り取る
田植えと違って稲刈りでは刃物であるカマを使います。絶対に事故があっては困ります。このため、最初にカマの使い方や人への渡し方、置き方を何度も教えました。そして、刈る時の姿勢や稲の刈り方も教えました。
初めてカマを使う子供達 しっかり腰を落として稲刈り
私が子供の頃、10歳(小学4年生)になるとほとんどの農作業を大人に混じってこなしました。田植え,稲刈り,カマ研ぎ,風呂たき,木材の切り出しなどです。農業機械もまだ少なく、牛を使って農作業する姿も珍しくありませんでした。
二人並んで仲良く稲刈り 一人が稲を持ち、もう一人が刈る
稲を刈り取ると、今度は刈り取った稲を束にしてワラで縛ります。このワラで縛ることが小学生にはやや難しいようです。稲が乾燥しても解けないように、きつく縛らなくてはなりません。
子供達同士で教えあいながら稲を縛る
稲は乾燥すると縮んで束に隙間ができてしまいます。きつく縛っていないと、その隙間から稲がするすると抜けるように脱落してしまいます。そして、稲束がバラバラになってしまいます。
稲を縛っている子供達、うまく縛ることができたかな
稲をいり取るカマは各組に4個しかありません。このため、稲刈りは常時4人しかできないことになります。稲を刈り取った子供自身が、その刈り取った稲を束ねて縛るととても時間がかかります。このため途中から稲刈りする子供と、稲を縛る子供のグループに分かれました。一種の分業です。これで稲刈りの進行がやや早くなりました。
刈り取った稲を並べる 縛った稲束を積み重ねる
刈り取った稲をワラで縛ると、その稲束を竹ざおに架けて干します。稲束をX字型にして穂が下になるように竹ざおに架けます。このときにちゃんと稲をワラで強く縛っていないと、稲がバラバラと抜けたり外れたりします。
縛った稲束を竹ざおに架けて干す
稲を干して乾燥させる事は、稲を収穫するために欠かせないとても大切な工程です。ちゃんと乾燥されていないと、脱穀がきれいにできなかったり、精米時に熱を持って固まってしまい精米機が故障することがあります。
今では乾燥機があるため乾燥に時間をかけることが少なくなりました。しかし、竹ざおに稲を架けて天日で干す風景は、日本人には昔からなじみ深い光景です。いつまでも日本に残したい情景です。
お母さん方に稲束をチェックしてもらって竹ざおに架ける
1組は刈り取って束ねた稲束を一箇所に積みました。ある程度集まると、今度はみんなで竹ざおまで運んで架けて干しました。稲を刈り取る人,稲を束ねる人が分かれて作業しました。そして、みんなで協力して竹ざおまで運びました。
稲束がだいぶ高く積まれました、そろそろ竹ざおに運ぶ時
各組は稲刈りと脱穀の二つのグループに分かれました。一つは、稲を刈り取って束ねて干す係り。もう一つは、干された稲束を脱穀する係りです。脱穀する係りはブルーシートに置かれた二種類の脱穀機を動かして脱穀を体験しました。
なお、今回脱穀した稲は先日ボーイスカウトが稲刈りして干したものを使いました。今日稲刈りして干した稲は、後日別のグループが引き継いで脱穀します。
ブルーシートの周りでは二種類の脱穀を体験
脱穀では二種類の脱穀作業を体験しましたが、一つ目は江戸時代に発明された千歯こぎを使った脱穀です。櫛のように等間隔に並んだ数十の鉄杭の間に、稲穂をひっかけて籾だけを取る方法です。
千歯こぎの歯に稲穂をひっかけるように通して籾を落とす
鉄櫛の隙間は、稲ワラは通しますが籾は通ることができない間隔になっています。一度に稲を通すととても力が要るため、少しずつ稲を通して籾だけを落とします。稲を通す人、千歯こぎを押さえる人が協力して作業しなければうまく脱穀できません。
少しずつ稲を千歯こぎに通して脱穀します
最初はお母さんに手伝ってもらいましたが、要領が子供達に分かると途中から子供達にバトンタッチしました。千歯こぎは微妙に力加減が必要です。この微妙な力かげんを子供達は楽しんでいたようです。
声をかけ協力しながら脱穀 「気合だあ!」の声で脱穀(笑)
この千歯こぎは日本独特の脱穀機でしょうか。外国ではあまり例を見たことがありません。東南アジアでは、稲刈りではなく穂刈りが多いからなのでしょうか。古い時代の日本も稲を刈るのではなく穂を刈っていました。鉄製のカマができてから稲刈りに変わったようです。稲を刈り取ることができるようになってから、稲ワラを草履,籠,縄などに利用するようになったのではないかと思います。
楽しそうに千歯こぎを使って脱穀
大きなブルーシートを広げて、千歯こぎと足踏み式の脱穀機を置きました。脱穀する人はブルーシートを囲むように並び、脱穀機を押さえたり脱穀する籾を集めることはブルーシートの中に靴を脱いで入りました。
脱穀体験する人はブルーシートの周りに順番に並ぶ
もう一つの脱穀機は足踏み式の脱穀機です。この脱穀機はつい50年ほど前までに使われていました。私も子供の頃に見たことがあります。「ガーコン、ガーコン」と音をたてながら脱穀している光景は今でも思い出します。
お母さんも初体験の足踏み脱穀機を体験
この足踏み式脱穀機は、ペダルを足で往復するように強く踏み込んで脱穀ドラムを回転させて使います。最初、この往復の要領を覚えるのが大変のようでした。脱穀する稲をドラムに当てると回転が落ちるため、回転が落ちないようにさらに強く足で踏む込む必要があります。この足踏み作業と脱穀作業を同時にしなければならないのが、子供達には大変のようでした。
足踏みしながら同時に回転ドラムに稲を当てて脱穀
稲を取られないように強く握る 回転が落ちないように足踏み
千歯こぎも足踏み脱穀機も一度に一人しか体験できません。このため、稲を手に持って並ばなければなりません。待つ間、みんな脱穀機の方を興味津々で見ていました。生まれて初めて見る不思議な機械はとても興味を引くのでしょう。
脱穀機を見つめながら並んで順番を待つ
脱穀されて稲から取れた籾はブルーシートの中に飛び散ります。すると、待機していた子供達がその籾を手ですくい取ってふるいの中に入れました。ふるいを持った子供がそのふるいをゆすって籾だけを選別しました。そして、選別された籾を米袋に入れました。これでお米の収穫ができました。
脱穀して飛び散った籾を、手で集めてふるいに入れる
去年は稲刈りや脱穀の他に縄ない機械も体験してもらいました。動力脱穀機も用意しました。しかし、今年は天候不順などで機械を用意できませんでした。しかし、去年のものより新調した足踏み脱穀機は今の農業機械であるコンバインにも内臓されている基本的な機械です。それを体験できたことは良かったと思っています。
5年1組の生徒、少し疲れて学校に帰って、給食は美味しかったかな
5年2組の生徒、いつも食べているお米、少しは見方が変わったかな
その代わり、近くの牧場を見学したりしました。最初田んぼ脇の小屋で高校生活やごはんCUPなどの話をして、小雨になった頃を見計らって牧場に行きました。
田んぼ近くにあるS牧場を見学
今日来た高校生二人は瑞穂農芸高校の生徒です。高校でも牛を飼っていますが、民家で飼われている牛を見ることは少ないと思います。S牧場に行くとたくさんの牛が寝そべっていました。
高校生達が一番びっくりしたのは、天井付近を伸びまわっていたハトです。雨が降っていたせいもあってたくさんのハトがいました。このハト達は牛が食べる濃厚飼料のおこぼれを食べて生活しているようです。そして、ハト達は牛舎の二階に備蓄している濃厚飼料袋をつついて穴を開けて食べてしまうそうです。
牛に見入る高校生 大きな牛を手でなでる
一時間ほど牧場を見学してから田んぼ脇の小屋に戻りましたが、雨はなかなか上がりません。仕方がないため小屋の中で昼食をとりました。小屋内に置いてあるカセットコンロを使ってお湯を沸かしてコーヒーも作りました。そして、雨の中をわいわい言いながら、進学の話,将来の話,学校の話,ごはんCUPの話などを話しました。dしかしながら、このまま待っても雨は上がりそうもないため午後2時前には農作業を諦めて帰ることにしました。高校生達は10月に稲刈り,2月頃に餅つきかおはぎ作りにやって来る予定です。
農作業を諦めて帰る高校生達、今日は残念でした。
30分近く暑く晴天の中を歩いたせいか、子供たちの額は流れるような汗。でも、みんな元気そうでした。到着すると、荷物を置いて水分補給し着替えです。簡単に挨拶すると、すぐに田んぼの除草の開始です。
畦を伝って、自分達が田植えした田んぼに向かう
重点的に草取りをした田んぼは、5年1組が田植えした田んぼです。この田んぼは、モグラが開けた畦の穴から水が抜けてしまって、しばらく水深が浅くなってしまいました。このため、雑草のコナギが足の踏み場もないほどびっしり生えてしまいました。
びっしり生えた雑草のコナギを除草
このところの日照りで、田植えの時と比べて水がとても少なくなっています。このため、粘土のようになった田んぼに足を踏み込まなければなりません。その粘土のような泥に足をいれるのが苦手な子供が何人かいました。でもそのうち、友達に誘われるようにしてキャーキャー大声を上げながら田んぼに入りました。
友達に誘われ泥中に足を入れる 泥に慣れると草取り開始
最初は草取りをしていましたが、子供たちには草取りよりも昆虫や小動物の方が気がかりのようです。クモを嫌がったり、カエルを追いかけたり、どじょうを捕まえたりと忙しく田んぼを歩き回っていました。
草取りそっちのけで、捕まえた小さな虫を手渡し
東北地方では大雨予想ですが、この南関東ではほとんど雨が降りません。このため、雨水がほとんど流れ込まず田んぼは粘土状態です。歩き回ると、粘土をこねているような感触です。草取りと言っても実際は、抜いた雑草を田んぼの泥中に押し込みます。両手で雑草を抜いて足で押し込めたりしながらの除草です。
水が無いため、粘土を足でこねているような田んぼ
この酷暑の中では、腰をかがめながらの草取りはとても辛い作業です。昔はこの辛い作業を毎日のようにしなければなりませんでした。今の子供達には農作業の辛さは昔の物語に過ぎないと思います。しかし、その一端でも体験できたことは食べ物を作る大変さを実感するに良かったと思います。
ザリガニかなドジョウかな? 捕まえた小動物はバケツに入れて観察
ビルに囲まれた地域に住んでいるためか、田んぼに住む小動物は図鑑でか見たことがありません。ドジョウやカエル、ザリガニやヤゴ、そしてカエルは珍しくて仕方がないようです。何か捕まえると友達同士で手渡ししたり見せあいます。田んぼの草取りと言うよりも、田んぼの小動物観察会かな。
オケラと小さなアオガエルを手に取って嬉しそう
田んぼの草取りが終わると、汚れた手足を洗うために田んぼ沿いに流れる小川に行きました。お目当ての川遊びもできます。草取りした田んぼから一列になって小川に向かいました。
田んぼ脇の小川に向かう 草が生えた畦を伝って小川へ
1分も歩かないで着いた小川では、足を洗う前にさっそく川遊びです。誰も教えたわけではないのに、自然にできたスロープを水とともに滑り落ちます。流れる滑り台、またはウォータースライダーでしょうか。みんな足を洗うのを忘れて水遊びです。
自然にできた小川の水溜りと滑り台
ここの小川の底は硬い岩盤ではなく、粘土質のやわらかい岩でできています。このため、手で強くこすると薄く粘土がはがれます。このため、はがれた粘土で常にぬるぬるとしています。子供達が滑り落ちるにはちょうど良い硬さです。
水しぶきをあげて滑り台を流れ落ち、気分壮快
田植えの時は70人ほどの子供たちが来ました。このため、この滑り台を流れ落ちるのは順番待ちでした。しかし、今日は人数が少ないためほとんど順番待ちしないで滑ることができました。この夏一番の気分爽快な一日だったのではないでしょうか。
男の子は、力強く滑り落ちる 女の子はおしとやかに滑る
滑り台で遊ぶ一方で、田んぼの草取りで泥んこになった手足も洗いました。また、田んぼで泥だらけになったたサンダルも洗いました。手が届かない所は友達に手伝ってもらい綺麗に洗いました。
滑り台直下の自然の水溜りでサンダルを洗う
ほとんどの子供達は、手足を洗うのを惜しんで自然の滑り台で遊びました。二人肩を組んで滑ったり、顔を前にのぞけるように滑ったり、いろんな滑り方を試していました。子供たちは遊びの天才ですね。子供たちの歓声が小川に響いていました。
飽きるまで小川を滑り落ちる お母さん方もニコニコ見守り
12時頃になって帰る時間です。汚れた服を着替えて、水分や栄養の補給です。酷暑中の太陽の下、汗をかきながらも子供達は元気いっぱい。テレビゲームもいいけど、それ以上に自然の小川のすばらしさが分かったのではないでしょうか。成長途上の子供達にとって、自然の中で思い切り声をあげてと体を動かすことは、心身共に健全な大人になるための欠かせない要素だと思います。
真夏の太陽の直下、疲れた様子は全くなく、楽しく話し合っている子供達
私が子供の頃、自然は当たり前のようにありました。夜になるとカエルの大合唱でうるさいほどでした。今の子供たちにとってはカエルの鳴き声は騒音なのでしょうか。今、子供達を取り巻く環境は良いとはいえません。ここの田んぼがある里山は、昔も,今も,そして未来の子供達の宝物であり財産ではないでしょうか。いつまでも残していきたいものです。
田んぼの草取り,川遊びにやってきた別所小5年の子供達,先生,保護者
子供達が帰って静かになった田んぼを前に休憩しました。その後、Yさんはスズメなどの害鳥から田んぼを守るための網を張りました。これまた、暑い中での辛い作業ですが、お米を収穫するためには欠かせない作業です。
子供達が去った田んぼで、防鳥用の網を張るYさん
梅雨にしては朝からとても良い天気でした。今回、私が勤める病院の同僚の家族とその友だち家族が田んぼにやってきました。9時頃から大豆畑で雑草を取っていると、10時前に車でやって来るのが見えました。そして、ほどなく子供達のにぎやかな声が聞こえてきました。
最初は先日田植えした田んぼの草取りです。雑草はまだそれほど増えていませんでしたが、今退治しておかないと後で伸び放題になってしまいます。
大人に混じって子供達も草取りに参加
田んぼの2大雑草はコナギとヒエです。今年はヒエはほとんど発生していませんが、小さなコナギがたくさん繁茂していました。コナギはホテイアオイの仲間で紫色の花はとても良く似ています。しかし、そのまま繁茂させてしまうと稲の栄養を横取りしてお米の収穫量が減ってしまいます。
手でかき混ぜるようしてコナギを根ごと水面に浮かせれば除草完了です。だらだらと歩いていると水が濁ってしまいその雑草の場所が見えなくなってしまいます。このため、濁る前に手早く除草する必要があります。
子供たちは草取りに飽きたのでしょうか、水に浸かって遊ぶ
自分達が田植えした田んぼだけ草取りしないで、大学生,ボーイスカウト,小学生,そして高校生が田植えした田んぼも草取りしてもらいました。田んぼの泥は太陽に照らされて暖かく、しかもぬるぬるして子供達には格好の遊び場のようです。
小学生が田植えした田んぼも草取り ここは特に雑草が多い田んぼ
田植えしてからまだ3週間程度しか経っていないため、それほど稲は生長していませんでした。しかし水面上にしっかり葉を出しており、これから分げつを繰り返して、茎の本数が増えるはずです。
草取りされて水面に浮いた無数のコナギ、いずれ枯死して肥料に
田んぼの草取りが終わると子供達の出番です。田んぼ脇の小川に行って水遊びしました。滑り台のような小川からダイビングしたり、水を掛け合ったりしておおはしゃぎです。
水が流れ落ちる自然の滑り台で水遊び
同じ水遊びでも、プールは管理された人工の遊びです。しかし、この小川には自然の湧き水が流れおり自然に岩が削れてできた滑り台があります。見渡すと、自然の木々に囲まれた涼しい木漏れ日、石の下にはカニなどの生き物がいます。また、岩を這っている巻貝を手にとって見ることもできます。
水を掛けあってはしゃぐ子供達
子供たちが水遊びに興じている間、畑に行ってニンジンを収穫しました。まだ、大きくなっていませんが、かじると甘みと苦味が交じり合ったとても美味しいニンジンです。そのまま口に入れてポキポキ食べることができます。
お母さんと一緒に、畑で収穫したばかりのニンジンを洗う
水遊びが終わるとバーベキューです。お父さん達は街まで車で買出しです。そして、火をおこして肉や野菜などを焼いていました。お母さん達は子供達といっしょにいて汁物を作っていました。
料理ができあがるまで少し時間がありましたので、私は大豆畑に行って雑草をとりました。そして、子供たちの呼ぶ声で私もバーベキューに参加しました。
火をおこし鉄板で肉や野菜を焼いているお父さん達
私と田んぼ仲間のYさんもバーベキューに参加して料理をいただきました。美味しい料理に、楽しいお話、一緒に食べながらのんびりしていると体から疲れが取れていきます。目を横にずらすと、風に吹かれて稲の苗が涼しそうにたわんでいます。
料理が出来上るのを待っている子供達
昼食のバーベキューが終わると麦の粉引きをしました。昔は粉引きに石臼を使っていました。しかし石臼は重い上にとても能率が悪いため、私は手回し式の製粉器を使っています。今回はその手回し式の製粉器で麦を粉にしました。
手回し式の製粉器、上に入れた麦が粉になって下に落ちる
この製粉器は手で回さなければならず、とても腕が疲れます。このため、私はあまりこの製粉器を使っていません。年に数回しか使っておらず、そのうちモーター式の製粉器を購入したいと思っています。
この手回し式の機械がとても珍しいのか、回す動作が面白いのか、粉になる過程が不思議なのか、子供達に思わぬ人気でした。
製粉器を見つめる子供達 力をいれて製粉器を回す子供
子供達は、手回し式の製粉器にすぐ飽きると思っていました。ところが、とても気に入ったのかいつまでも回していました。一人で回すのが疲れると二人で協力して回していました。
一生懸命回す女の子と、製粉されるのを不思議そうに見つめる女の子
私が同僚家族とその友達家族と麦の製粉をしている間、田んぼ仲間のYさんはたんぼに防鳥用の網を張っていました。最初、網を張るための紐を田んぼにくまなく張りました。そして、その紐の上に防鳥用網を張りました。
田んぼに防鳥用網を張っているYさん
麦の粉引きと平行してジャガイモの収穫を楽しみました。櫛のようなシャベルでジャガイモ畑の土をよいしょと起こします。
櫛状のスコップを突き立てて、ジャガイモの畝を掘り起こす
土を掘り起こすと黄色いジャガイモが姿を現します。子供達はジャガイモを見つけるとうれしそうに「あったー」などと言って、土の中に覗いた芋を掘り出しました。
うれしそうにジャガイモを手に取る子供達
ジャガイモを収穫したり麦を製粉していると、空がだんだん暗くなりました。そして、遠くのほうから雷鳴が響くようになりました。午後もだい過ぎていましたし、雨が近いと思われたので、残念ながらこのまま解散することにしました。
参加した同僚家族とその友達家族の方々
今年も別所小学校の元気な5年生達が田植えにやってきました。かつては4クラスもの生徒がいて、2日に分けて田植えをしていました。しかしながら、団地世代が多い地域のためか急激に生徒数が減って、数年前から3クラス、そして今年からは2クラスになりました。
今回24日は晴れた良い天気でしたが、汗ばむような蒸し暑さもなく梅雨の時期にしては過ごしやすい一日だったように思います。しかし、到着したばかりの子供達の顔は紅潮して汗ばんでいました。学校から約一時間かけて徒歩でやって来たためです。
簡単に挨拶してさっそく田植えの開始です。毎年のことですが、最初に保護者の方に植え方を教えた上で作業分担してもらいました。私から保護者に植え方を教え、保護者から子供達へ伝える方法で田植えをします。保護者の作業分担が決まると、いよいよ田植えの開始です。まず、子供たちに田んぼの泥の感触を知ってもらうため、田んぼを歩いてもらいました。
初田んぼに戸惑う5年1組の子達 少しは泥の感触に慣れたかな
子供たちの生活環境には自然と言えるものがほとんどありません。小学校の周りにはマンションやスーパー、飲食店ばかりです。自然と言えるのは、コンクリートの隙間に生えた雑草や人間が作った公園ぐらいではないでしょうか。または、少し離れたところにある神社ぐらいではないでしょうか。
多摩ニュータウンの一角のこの地域には、森や林,草原、ましてや田畑はほとんどありません。一時間歩いてやって来たこの場所にようやく広い林や田畑があります。初めてやって来た子供たちは最初どう思ったでしょうか。
田んぼ内の歩き方,苗の持ち方,植え方を丁寧に教える
最初、私が一列になった子供達を前にして、苗の持ち方や植え方などを教えました。そして、その見本をお母さん達に見てもらい交代しました。お母さん達には大きく三つの作業を分担してもらいました。一つは子供達の前に立って植え方を教えたり全体の進行を見て後ずさりの号令をかける役目です。二つ目は子供達の前に引っ張られた田植え紐をずらしたりささえる役目です。三つ目は苗が足りなくなった子供に苗を供給する役目です。参加したお母さんにとっては、子供達の学校生活を知るよい機会でもあると思いました。
田植えの指示をするお母さんと5年1組の子供達
田んぼの感触に戸惑っていた子供達もだんだん慣れて、田植えにチャレンジです。まずは苗の持ち方を教えました。ほとんどの子は苗の持ち方を知らないためです。切花しか手に持ったことがないためか、ほとんどの子は最初は葉の下部(茎とおぼしき部分)を持ちます。しかし、その葉の下部を持ったまま植えると、苗が曲がって植えられ根が浮いてしまい活着しません。根の部分を指で摘んだまま泥に差込むようにして植えるのが正解です。
青空の下、隣の子を見よう見まねで田植えにチャレンジ
次に苗の植え方(移植)を教えました。田んぼは子供達がいるため濁っています。その濁った田んぼの泥上への植え方です。泥に上手に差し込まないと植えられません。泥を汚ながっている子はたいてい苗を置くようにします。すると、ちょっとした波ですぐに苗が浮いてきます。根ごとちゃんと泥の中に差し込んで、根の周りを泥で包むようにします。
だんだん上手になりました そして、早く植えられるように
1クラスは35人ぐらいです。一度に全員は田植えできません。半分田植えが終わると次のグループと交代して田植えしました。交代すると初めと同じように苗の持ち方や植え方を教えながら田植えを続行しました。
後ずさりしながら田植え紐にあわせて苗を丁寧に移植
2クラスがそれぞれ隣同士の田んぼで平行して田植えしました。高い所から田んぼを見下ろしました。すると、田植えの号令をかけたり,田植え紐をささえたり,苗を供給したりするお母さんの働く姿がよく見えました。田植えは子供達とお母さんの合作作業といったところでしょう。できうればお父さんの姿もあればよかったと思います。しかし、平日のためお父さんの姿は残念ながらありませんでした。
小高いところから田植えを見下ろす
隣の田んぼでは5年2組が田植えです。ここの田んぼはやや水深があります。初めて田んぼに入る子供にとっては驚きの体験のようでした。毎年のことですが、男の子は田んぼに比較的ずかずか入り、女の子はためらいがちに入ります。概して、勇気のある男の子と慎重な女の子。また女の子は手をつないで田んぼに入ることが多いです。生まれつきのためなのかこれまでの生活習慣のためなのか分かりませんが、こんなところにちょっとした性差が表れます。
ずかずかと入る5年2組の子 先生と手をつないで慎重に
苗を植える場所には一本の紐が引いてあります。その紐の前まで行って苗を受け取ります。毎年植える一株分の苗は2,3本です。しかし、今年は苗作りがうまくいかず、さらに高校生や小学校に苗を贈ったこともあり苗の数が足りません。数年前に一株一本にしてそれほど減収しなかった経験があるため、今年は一株一本にしました。
田植え紐の一列になり、お母さん達から苗を受け取る5年2組
保護者に田植えの方法を教えた後ずっと、私は全体の進捗を見るため全体を歩き回りました。そして、子供達やお母さん方を見守りました。植え方が悪くて浮いてしまった苗を植えなおしたり、上手くできない子供をその場で個別に教えました。
紐を引っ張るお母さん 進行を見守るお母さん
小学生とは言え子供たちは小さな大人です。最初はお母さん方に教えてもらいながらも、お互いに教えたり教えあったりしながら田植えをしていました。また、苗が足りなくなった子供同士で苗を融通する姿もありました。田植えをすることは小さな社会活動です。お互いに助け合わなければ全体が進行しません。古くから日本人が続けてきた米作りは日本人の社会規範の原点ではないかと思います。
隣同士で田植えの方法を教えあったり確認しあう子供達
田んぼと言うと、コシヒカリなどの産地である新潟県などを思いおこします。しかし、自給率1パーセントのこの東京にも田んぼがありそれなりの米作りがあります。東京の農協でも米作りに必要な種籾を売っています。
今回田植えしたお米の品種はキヌヒカリです。コシヒカリより背が低くて倒れにくい品種です。私はこの田んぼでコシヒカリを作ったことがありますが、台風で全部倒れてしまい稲刈りに往生したことがあります。それ以来キヌヒカリを作っています。販売を度外視すれば、その土地の風土に合ったお米が一番作りやすいですね。
遠くに多摩テック遊園地の観覧車を見ながらの田植え
田植えが終わるとみんな手足が泥だらけです。これでは学校に帰ることができません。泥を落とすために田んぼの脇を流れる小川に行って手足を洗い落としました。その小川はちょっとした滑り台のような滝があります。子供達はもうおおはしゃぎでした。
滝を水と一緒の滑り落ちたり,水をかけあったり,石をはいでカニなどの小動物を探してみたり。子供達の好奇心がどっと湧き出したようです。
滑り台のような小さな滝を滑り落ちたり、水溜りで手足を洗う
この小川での一番人気は、滑り台のような滝を水と一緒に滑り落ちることです。滝の右端に誰がくりぬいたのか小さな足がかりがあります。その足がかりを登って、滝の上から滑り落ちます。最初は男の子だけでしたが、そのうち女の子も滑るようになりました。水しぶきをあげて、さながら遊園地のウォータースライダーです。
水しぶきをあげて楽しいウォータースライダー
この小川は滝だけではありません。小川に沿っていろいろな小動物が生息していまし。一番多く目に付くのはカニです。そして、カワニナなどの巻貝やカゲロウの幼虫などの昆虫です。どの子も田植えなど忘れて小川の探検です。先生達やお母さん方は、子供達が怪我しないかどうか,羽目をはずさないかどうかなど注意深く見守っていました。
自然の小川に親しむ子供達 小川の小動物を探す
時間が来ると先生のホイッスルが鳴りました。残念ながら今日の田植えは終了です。子供たちは学校に帰らなければなりません。田植えしたばかりの田んぼの畦を通って、荷物が置いてある畑に戻りました。
田植えしたばかりの田んぼの畦を通って荷物置き場に戻る
学校に帰る前に私の方から挨拶をしました。今後行う夏の雑草取り,田植え,そして収穫祭などについて話をしました。いつものことながら、明るい子供達を見ていると何か元気をもらったような気持ちがします。
暗いニュースが飛び交うこの頃ですが、額に汗するさわやかなこの子達を見ていると日本もまだまだ捨てたものではない思います。
元気で明るい5年1組の生徒達
さわやかで活発な5年2組の生徒達
元気な子供たちの喧騒が遠ざかると急に静かになりました。今年の田植えがすべて終わってほっとしました。あとは、子供たちが植えた苗を育てる作業が待っています。また、スズメなどの害鳥が来ないように網を張る作業も待っています。
ところで、田植えと平行して雑誌「東京人」のインタビューもありました。カメラマン1人と記者2人が来ました。私達へのインタビュー以外にも今回田植えした学校の先生,保護者,子供達へのインタビューもあったようです。
田植えが終わった頃はすでにお昼。記者の方々と一緒に昼食をとりました。昼食と言っても付近にレストランはありません。春に植えたジャガイモを掘って、そのまま調理して食べました。白,赤,黒のジャガイモを掘り、さっきまで子供たちが水遊びしていた小川でそのジャガイモを洗いました。
雑誌記者の方々と一緒に昼食の食材のジャガイモ掘り
食事をしながらも、食料自給率など昨今の食糧事情などの世間話をしました。私はかつてはテクニカルライターをしていたので、昔の手書きによる紙面作りなどの話もしました。またミャンマーの話など、いろいろなニュースを話題にしながら、ほかほかジャガイモなどの即席料理を楽しみました。
掘りたてのジャガイモを味見しながら世間話を楽しむ
これからますます暑い季節になります。田植えは米作りの次の始まりです。これから、水深の管理,害鳥避け網張り,雑草取りなどの作業が待っています。今日来た子供達とのお付き合いは来年まで続きます。子供達からこぼれるような笑顔をもらった以上、今後も農作業しなければと思います。
私が勤めている病院の同僚家族とその友達家族が田植えにやってきました。大人に混じって小学生や幼児も田植えに参加です。昼前から大雨が降りだしましたが、雨が降りだすまでの短い時間に田植えをしました。
田んぼに入るのが初めての子供もいましたので、田植えする前に田んぼの泥になじむように田んぼを歩き回って足を慣らしました。
田植えの前に田んぼ内を歩き回って足慣らし
最初は畦を歩くことさえ怖がって泣く子供もいました。生まれて初めて入る田んぼは、いかにも汚くてぬるぬるして怖いのでしょう。しかし、大人が歩いて見せたりしながら安全で楽しいことを教えると恐怖心がなくなったようです。そのうち平気で楽しそうに歩くようなりました。
最初は田んぼを怖がっていた子も、この通り笑顔に
田んぼに慣れたころに田植えを始めました。田植え紐の前に一列になって苗を丁寧に植えていきます。最初、苗の持ち方や植え方などを教えました。前日から雨が降っていたのでやや水深がありました。さらに水が濁っていたため植えた苗が見えづらく、初めての人にはやや難しい田植えでした。
田植え紐の前に一列になって田植え
田植えする前に田んぼの小動物を観察しました。カエルの卵,アメンボ,おたまじゃくし,タニシなどです。あまり動かないタニシは見つけることが簡単です。子供たちは摘んで見ていました。おたまじゃくしはたくさんいますが、すばしこくてすぐ逃げるので捕まえることができません。どじょうもいますが網を使わないと捕まえることができません。残念ながら、途中から雨が降ってきたため小動物をもっとよく見せることができませんでした。
濁る水、もくもくと苗を移植 大人と子供、仲良く田植え
これまでの田植えは、ボーイスカウト,小学生,中学生,高校生,大学生など同じ世代ですることがほとんどでした。今回のように大人と子供の混成での田植えは久しぶりです。大人が子供をいたわりながら丁寧に教えている姿はとてもほほえましいものです。子供も家族と一緒でうれしそうでした。
親達と、親を見よう見真似で田植えする子供達
私が子供の頃は、周りの家族はほとんどが農家だったように思います。田植えを手伝うのは当たり前で、小学4年頃になると小学校に通っている以外の時間は大人とほぼ同じように働いていたように思います。
当時の男の子の仕事の一つは風呂焚きでした。山に行って木を切って薪を作ったり,風呂の水を抜いて新しい水を汲み入れたり,火をおこすのも全部自分でやっていました。雨の日に備えて、余分に薪を作っておくのも仕事でした。大変でしたが、それなりに工夫して楽しかったものです。今ではスイッチポンで風呂が完了する時代になり、男の子が果たす役割が一つ消えてしまいました。
田植えも終盤にさしかかって植える場所がだんだん狭く
子供たちは飽きて退屈に? もう一息で終わりです
この田んぼは長方形ではありません。田植えが進むに連れて苗を植える場所がだんだん狭くなってきます。狭くなるごとに田植え紐も狭めなければなりません。そして、端で田植えしている人から退場になります。
そろそろ田植えも終わり、端の人から順に退場
田植えが終わると汚れた手足を洗います。しかし、田んぼの水は濁っているため洗えません。この頃からポツリポツリと雨が降ってきました。急いで田んぼ脇を流れる小川に行って手足を洗いました。
その場所は子供達の人気のスポット。手足を洗うのを忘れて水遊びです。特に滑り台のように水が流れ落ちる場所ではおおはしゃぎ。登っては水と一緒に滑ってご満悦でした。田植えよりもこちらの方が楽しかったようですね。
流れる水といっしょに滑り、子供達はご満悦
小川の周りは大樹が生えているため、大雨が降っても雨が体にかかりません。気が付くと田んぼは大雨になっていました。急いで畑に行って荷物を片付けました。
田植えが終わったあとは、みんなで昼食をとる予定でした。しかし、この大粒の雨では休憩できません。小屋もみんなを収容するには狭く、残念ですがこれで解散することにしました。私は小屋で軽く昼食をとって家に帰ることにしました。
大雨が降る田んぼを後に解散
恵泉女学園大学の生徒達から13日の田植えの感想文が届きました。
大学生達による田植え(6月13日)
以下、学生達からの感想文です。
**維娜
今日の田植えを通して、いろいろな知識を教えていただました。自然と触れ合いながら、楽しく学ぶことができ、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
今回の貴重な体験はきっと私の留学生活を豊かにすると確信しています。秋の収穫を楽しみにしています。どうぞよろしくお願い致します。すみません、今日は体調がすぐれなかったので、ご迷惑をかけいたしました。
**あすか
今日は貴重なお時間を私たちのために使っていただきありがとうございました!天候にもめぐられて楽しい時間を過ごすことが出来ました。田んぼに実際に入って田植えをして、土の感触や水の冷たさを感じ、とても新鮮な気持ちになりました。
カエルの卵やタニシなど、久しぶりに自然の虫を見れて嬉しかったです。短い時間でしたが、田植えだけではなく、たくさんのことを教わりとても貴重な時間でした。秋にまたお会いできるのを楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました★
**夕貴
今日はありがとうございました。すごく楽しくて、いろいろなことを学べました。桑の実があんなに甘くておいしいことも今まで知らなかったので新発見なことばかりでした。収穫の時期がすごく楽しみです。今日は本当にありがとうございました。
**摩美
今日は貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。苗の植え方のコツを教えて頂いたり、カエルの卵を見たりと自然と触れ合うことができてとても楽しかったです。滑って転んでしまったりとハプニングもありましたが、秋の収穫でお会いできるのを楽しみにしています!
**彩織
今日はありがとうございました!!田植えとっても楽しかったです。いつも時間に追われるような生活なので、自然に触れることができて癒されました。秋の収穫の際もどうぞよろしくおねがいします!!
**綾香
今日はお忙しい中いろいろとご丁寧にご指導していただきありがとぅございました。たんぼの泥の感触にも小川の冷たさにも最初はビクビクしていたけど、だんだん気持ち良くてなってとっても楽しかったです。大学生活の素敵な思い出になりました。
**歩
『田植えは初めての経験でしたが楽しく取り組む事ができました。幼い頃住んでいた埼玉の自然の中で、ザリガニを釣ったり花を摘んだりして育ってきた懐かしい思い出をもう一度体験できたように思います。
今日は本当に貴重な時間を過ごす事ができました。温かいご指導どうもありがとうございました。』よろしくお願いしますm(__)m☆
**陽子
今日は大変お世話になりました!カエルの卵やクワの実など初めて見るものと、田植えもなかなかできない貴重な体験だったので、とても楽しかったです。それと同時に、お米作りの大変さを改めて実感しました。お米一粒に対しても、今までと見方が変わりそうです。
稲刈りが今から楽しみです!10月、またみなさんとお会いできることを楽しみにして
います。本当に今日はありがとうございました!!
**優衣
今日は本当にありがとうございました。10年ぶりくらいに田植えをし、とても楽しかったです。桑の実もおいしかったし、蛙の卵も見れたし、なんか五感をフルに活用でき、とてもわくわく過ごすことができました。秋の収穫のときも宜しくお願いします。
**愛
>高橋さん
今日はとっても楽しく田植えをさせていただきました。私がマーキングの棒を引き抜
くとき高橋さんが一緒に声をかけてくれたの嬉しかったです。ありがとうございまし
た。
>Yさん
今日は未熟な私たちでしたが丁寧に教えて頂いてありがとうございました。まるで課外授業かと思うほどたくさんの自然にも触れることができて本当に楽しかったです。ありがとうございました。
>Oさん
今日は同年代ながらもしっかりした落ち着きでサポートして頂きありがとうございま
した。私もまた行きたいなぁって思ったのでまた機会があったら(笑)。
梅雨にもかかわらずこのところ晴天が続いています。風もさわやかで毎年の梅雨のようにじめじめしていません。今日は高校生3人が田植えなどの農作業にやってきました。先日代かきとお米の種まきにやってきた高校生達です。
最初は予定通り田植えをしました。4月に箱苗に種まきして育った苗を移植しました。一人が苗の間隔を決める田植え紐を棒で支える役で、他の二人は田植えする役です。時々その役を交代しながら田植えをしました。
一人が田植え紐を棒で支え、二人が苗を移植
今日田植えした田んぼは冬からずっと水を浸していました。このため、たくさんの小動物がいました。一番多いのがおたまじゃくしです。田植えする彼女達の足元を避けるように泳いでいました。また、アメンボもスイスイ水面を滑走していました。極めつけはどじょうです。泥の下で足元をぬるりと抜けるように泳ぎます。タニシや小さな昆虫,無数のクモもいました。
無数の小動物を避けるように後ずさりしながら田植え
田んぼの形は長方形ではありません。細長い台形のため、田植えをしながら後ずさりしていると田植え紐がだんだん余ってきます。すると田植え紐の棒を支えている役の高校生は、そのつど紐をほどいて長さを調整します。
田植え紐の長さを調節 時々分担を交代しながら田植え
田植えした苗は二種類のお米です。一つはうるち米のキヌヒカリ,もう一つは古代米の一つである赤米です。赤米の苗のほとんどは他の団体にゆずり渡したので今年は10株程度しか植えませんでした。種を採取程度の株数です。
田植えが終了すると、来週小学生が田植えする田んぼを使って代かき体験をしてもらいました。代かき用の耕運機の使い方を一通り教えた後に操作してもらいました。彼女達にとっても初めての、耕運機による代かきだったのはないかと思います。
初めての耕運機による代かき作業
最初は水が満たされた比較的操作しやすい田んぼで代かきをしました。耕運機の操作に慣れると、今度は水が少なく泥の粘りが強い田んぼを代かきしてもらいました。粘りが強い田んぼではハンドルを常に上にあげていないと、だんだん耕運機が泥の中に沈んでいきます。
泥の粘りが強い田んぼで代かき
今やほとんどの農家ではトラクターを使って代かきをします。トラクターは乗車して操作するため、アクセルやハンドルなどの操作しか必要としません。しかし、耕運機は、田んぼの高低差や泥の粘りにあわせて微妙な力加減が必要です。耕運機はあらゆる農業機械の基本だと思います。彼女達の今回の体験は良い勉強になったと思います。
田んぼの高低差と泥の粘りに合わせて微妙な力加減
畑と違って耕運機による代かきは、長い時間操作しているととても疲れます。高校生3人で休みながら交代して代かきしました。それに、泥に粘りが出てくると耕耘機のロータリーが跳ね上げた泥が顔などに飛んできます。泥だらけになりながらの代かき作業でした。
交代で休みながら耕運機で代かき
代かき作業が終わると、今日の田んぼ作業はとりあえず終わりです。ひざ下を中心にすっかり泥だらけになりました。田んぼ脇を流れる小川に行って、その泥を洗い落としました。木陰を流れる小川には涼しい風が吹いています。その風や小川を流れ下る水で体を冷やしながらの泥落としです。
ひんやりした木陰を流れる小川の水で泥落とし
足を洗い終わると正午です。みんなで木陰に集まって昼食を取りました。各自持ってきたお弁当やコンビニの弁当などを食べました。涼しい木陰でわいわい楽しい話題を楽しみながらの昼食です。数十メールと離れた田んぼでは他の団体が田植えしながらバーベキューをしていました。家族連れの団体のようでした。
木漏れ日の木陰で楽しい昼食
午後からは麦の収穫です。先日から乾していた麦束を脱穀し風選して麦粒を収穫します。発動機を使った脱穀機でもよかったのですが、昔流脱穀を学ぶ意味で今回は足踏み式の脱穀機を使いました。脱穀機のぺダルを踏むことによって歯の付いたドラムが回ります。そのドラムに麦穂を当てて脱穀します。
勢いよく回した足踏み脱穀機のドラムに麦穂を当てて脱穀
脱穀された麦穂は麦粒や殻などがばらばらに散らばっています。これを網で濾します。中には麦粒が外れていない麦穂もあります。麦粒が外れていない麦穂は集めて木の棒でたたいて麦粒をはずします。昔はそのたたく作業は、くるり棒と呼ぶ棒でたたいていました。
網で余分な殻や麦ワラを選別 棒で麦穂をたたいて脱麦粒
麦粒を選別すると、今度は風選してより小さなゴミを取り除きます。より昔は箕と呼ばれる竹などで編んだ手持ち式の籠状のものを使いました。風下に麦粒をさらすようにしてゴミを飛ばして選別していました。この箕による風選は、麦に関わらず、米粒,大豆,小豆などのあらゆる穀類の選別に使われていました。しかし、繊細な技術が必要なため現代人にはとても難しい方法です。
今回はより進んだ唐箕と呼ばれる農具で行いました。手回し式で風を発生させて麦粒を選別する装置です。これも江戸時代後半から使われるようになった古い農具です。
唐箕のハンドルを回しながら麦粒を選別
唐箕で麦粒を選別し終わると、とりあえず今日の農作業の一区切りが終了です。田植えは小学校の総合学習や修学旅行の田舎体験でよく行われています。しかし、麦の刈り取りや脱穀選別の体験はそう多くないと思います。今回の体験は、卒業後に農業関連の大学や仕事に就く彼女達にとって貴重な経験となったと思います。
麦の収穫が終わって休憩中の高校生達
今日は、麦の収穫で農作業は終わりの予定でした。しかし、せっかくの機会なので収穫した麦を食べることにしました。私が個人的に所有している手回し式の製粉機で製粉して、それをホットケーキにして食べてみることにしました。
力と時間に根気が必要な手回し式の製粉機で奮闘中
30分程度回すと5,6人が食べられる量の小麦粉が製粉できました。細かい網を通さないので茶色の全粒粉です。油を引いて熱したフライパンに水で練った全粒粉の麦粉を薄く引きました。焼きあがったものはみかけ上はハンバーグのように見えました。
水で練った全粒小麦粉を焼く まるでハンバーグのよう
皆どんな味だろうと出来上がったホットケーキを試食しました。混ざりけのない小麦全粒粉ホットケーキは皆が美味しいとの評価でした。その触感も評価が高いものでした。肉味を少し付ければ小麦ハンバーグとしても通用しそうです。
自分達が製粉した小麦全粒粉ホットケーキの試食
小麦の製粉とその試食が終わると、大豆の種まきをしてもらいました。大豆は小麦の刈り跡に播きます。まだ蒔いていない刈り跡に蒔いてもらいました。30cmの間隔で手持ちクワで穴を掘りその穴に2粒ずつ蒔きます。大豆の品種は「鶴の子」で遺伝子非組み換え大豆です。
麦の刈り跡に沿って手持ちクワで穴を掘って大豆を播種
高校生達が帰る間際、ジャガイモを収穫して土産として持って帰ってもらいました。男爵を含めて3種類のジャガイモを掘りました。ジャガイモ収穫にはやや時期が早いのでどの位の大きさになっているか分かりませんでした。しかし、大きいもので直径8cm位でやや小ぶりでしたが十分食べられます。
楽しくお土産用のジャガイモを収穫
ジャガイモを収穫して今日の農作業はおしまいです。朝からの農作業でとても疲れましたが、とても心地よい疲れでした。田んぼでの田植えと代かき,麦の脱穀や選別と製粉,製粉した全粒粉を使っての調理と試食,そして大豆の種まきやジャガイモの収穫。とても盛りだくさんの体験でしたが高校生達には貴重な体験であり勉強になったと思います。
田んぼを背景にみんな揃って写真撮影