今年も、年長の知り合いと一緒に注連縄を作りました。去年、一昨年、2年前と毎年のように作っています。使う稲ワラは、田んぼでお米を収穫後に余ったワラを使います。ここ数年、長い古代米の稲ワラを使っています。毎年自作するため市販の注連縄で門を飾ったことはありません。
注連縄を作り始めるYさんと稲ワラをたたいているKさん
以前は数十人もの人を集めて講習会形式で注連縄作りやワラ細工を作っていました。しかし、ここ数年は2,3人で作っています。今年は私を含めて3人集まりました。注連縄を作る手順は大まかには、①稲ワラに軽く水を含ませる②柔らかくするため槌でたたく③余分なワラ屑を取り除く④注連縄を縛る細い縄を編む⑤注連縄本体を編む、です。一番難しいのは⑤です。普通の縄と異なって三本を同時に編んで巻きつけます。
最初2本次に1本を編むKさん 3本同時に編む私
編み方は大きく分けて二種類あります。一つは、最初2本を編み終えてから、次にもう1本を編みながら巻きつける方法てず。もう一つの方法は、最初から3本同時に編みながら巻きつける方法です。私は後者の方法でいつも編んでいます。
2個目の注連縄作りに入るYさんとKさん
私の編み方は少々難しいようです。左手の指で三本を固定しながら徐々にその三本を巻きつけます。左手の指は、ほどけそうになる注連縄をしっかり固定しなければならないためとても痛く疲れます。右手は三本を別々に強く編むことに使います。
注連縄作りを終えて昼食休憩
今年は、麦の種をだいぶ遅れて蒔きました。しかし、その後の天候に恵まれて順調に育っています。去年まではいろいろな麦の種を蒔きましたが、今年は三種類の麦だけ蒔きました。一つは小麦です。小麦はいろいろな用途に使えるため、毎年必ずたくさん作っています。そして、初夏に収穫して粉にして料理に使っています。
一番多く作っている小麦
小麦の次に多く作っているのが裸麦です。この麦は、小麦と同様に殻が容易に取れるため重宝しています。一方、大麦や二条大麦は殻がなかなか取れないため特別の機械を使わなければなりません。そのたち、大麦,二条大麦,ライ麦は今年は作りませんでした。
二番目に多く作っている裸麦
そして、今年初めて作っている麦があります。オートミールとに呼ばれる裸種のカラスムギです。この麦は燕麦とも呼ばれます。普通の麦穂と姿がだいぶ異なります。もともとは牛馬の飼料用だったのではないかと思います。実は細長い形をしています。裸種のため殻は簡単に取れそうです。
今年から作っているオートミール麦
スコップで横を掘った後、里芋を掘り起こす
植えていた里芋は数種類あります。普通の里芋や八つ頭などです。私が子供の頃は里芋をバケツに入れて木でできた器具でごしごし回して皮を取ったものです。里芋は古くからの日本のお正月料理に使われてきたようです。味が染みた里芋はしても美味しいものです。
小芋を次々に収穫 川の水で泥を取る
普通の里芋は粘りがあります。このため調理の範囲が限られてしまいます。また、毎日のように食べていると飽きてしまいます。このため、最近は昔ほどは食べられなくなったようです。害虫が少なく病気に強い里芋はとても作りやすい作物です。食べられなくなったのはちょっと残念です。
水で洗い終わった里芋、これから家で調理
水を入れる前に稲ワラなどを散布
冬水田んぼにすると春先にカエルが卵を産むようになります。そして、その卵からおたまじゃくしが孵ります。すると、今度はそのおたまじゃくしを狙ってサギなどの鳥が来るようになります。いろいろな生き物が田んぼを巡って生存していることが実感できます。また、田んぼを水で満たすと稲株で越冬する害虫の螟虫類(二かメイチュウなど)が死滅する効果もあるようです。
水を入れた田んぼ(田植え準備する4月頃まで水で満たす)
散乱した籾殻と袋に開いた穴
この穴はネズミの仕業に違いありません。数年前にも同じように米袋に穴が開いて同じような被害にあいました。このときはすぐに被害が収まりました。収まった理由は蛇です。被害の数日後にお腹を膨らましている蛇がこの小屋にいました。ネズミを食べてお腹が膨らんでいたのでしょう。今回、蛇を待つわけにもいかないので、穴の開いた袋やまだ開いていない米袋をいったん自宅に持ち帰ることにしました。
ネズミが食い開けた穴、この穴から古代米がこぼれ落ちる
先日脱穀作業した古代米を籾摺りしました。籾摺機の上部受け口に古代米の籾を入れると少しずつ吸い込まれて籾摺りされます。籾摺りされた後の玄米は所定の袋に排出されます。そして、籾殻は外部に排出されます。そして、不良米は籾摺機の横のちょろちょろと排出されます。
古代米の籾摺りに使った籾摺機
籾摺機で一番多い方式はロール式です。一年ほど前に依頼されて修理したことがあります。一方、私が使っているのはインペラ式(衝突式)です。強い遠心力で発生した衝撃で籾殻と玄米を分離する方式です。
ワラ屑が混じる古代米 籾殻は外部に排出
今回籾摺りした古代米は、倒壊して泥がたくさん付着したものを稲刈りしたものです。このため、脱穀してもその籾にまだ泥が付着していました。籾摺りすると泥の煙が籾殻と一緒に排出されました。また、枯れたワラ屑が大量に混じっていたため、籾摺機の中でワラ屑が何度も詰まりました。詰まるたびに電源を落としてその屑を取り出し掃除しました。
ワラ屑が詰まる箇所をはずす 詰まったワラ屑
いろいろ難渋した籾摺りでしたが、なんとか古代米を玄米にすることができました。古代米はややもち性です。また、古代米だけでは食味が欲りません。普通のうるち米と混ぜて赤飯のようにして食べると比較的おいしく食べることができます。
籾摺りされて袋に排出される古代米の玄米
ようやく籾摺り、精米できました。稲刈りや脱穀が遅れたのに伴い、去年より大幅に遅れてしまいました。今回は籾摺機や精米機の調子を見たり調整したりのお試しの籾摺りと精米をしました。最初に籾摺りして玄米にしました。
籾摺りに使った機械は衝突式(インペラ)の籾摺機
籾摺機にはいろいろな種類があります。一番多いのはロール式で籾を擦って籾殻をはずす機械です。今回使ったはこれとは別に籾を衝突させた衝撃で籾殻をはずす機械です。この機械はお米以外の雑穀などにも使えるため重宝しています。先日はタカキビの精白に使いました。なお、排出された籾殻は集めて袋に入れました。来年の苗作りなどに使います。
右の袋に玄米を排出 籾殻は外に排出
籾摺り工程が終わると、今度は精米の工程です。籾摺りされてできた玄米を希望の精白度にします。今回は精白度を80%にしてみました。80%以上あればほぼ白米と言っていいでしょう。
精白に使った精米機(家庭用に近い機械)
精米をすると副産物として胚芽や皮が取れます。これは一般的には糠(ぬか)と呼ばれて、糠漬けなどに使われます。私はこの糠を田植え後の肥料として蒔いています。すると、いろいろな微生物が繁殖するのか一時的に田んぼが濁ります。
精米機上部に入れた玄米 後部に排出される糠
精米機を通った玄米はきれいな白米になりました。去年の春に田んぼを耕し始めて、苗を作って、田植えして、草取りして、稲刈りして、脱穀して、そしてやっと食べられるお米のできあがりです。この瞬間は一年の成果が目に見える一番嬉しいひと時です。大昔の人はこの瞬間に、「これで厳しい冬を越せる。」と安堵したのでしょう。
精米機前の袋に排出される綺麗な白米
稲の脱穀機は初秋に田んぼに設置しました。その脱穀機を再び収納する時がきました。また来年の秋まで倉庫(鈴木牧場の一角)に保管します。そのために、まず最初にぬかるんだ田んぼから脱穀機をクローラ式の運搬機で運び上げました。
運搬機に乗せた脱穀機で坂を上がる
坂を上がったところは道路になっています。その道路でいったん運搬機から下ろします。そして、リヤカーに乗せ換えました。そして、日差しの中を鈴木牧場までリヤカーでのんびり運び、到着すると収納しました。来年の秋まで保管です。その他、脱穀機に使用した発動機や足踏み脱穀機は農作業小屋に保管することにしました。
脱穀機ごしに脱穀作業をした田んぼを見下ろして
先日はさ掛けした古代米(赤米)をようやく脱穀しました。この古代米は、田んぼがぬかるんだ上に倒壊したために稲刈りが大幅に遅れたお米です。今回の脱穀でようやくすべてのお米を脱穀することができました。
遅れに遅れた古代米の脱穀作業
稲に泥が大量に付着していたため、脱穀すると煙のように泥が舞い上がりました。そして、茎が腐った状態になっている稲もありました。そうした稲はワラ屑が大量に出ました。このワラ屑の一部が籾に混ざってしまいました。次工程の籾摺りの時にその屑を取り除くしかありません。とにかく年内に脱穀が終わってよかったです。
青空の下、もくもくと最後の脱穀作業
今年も麦の種蒔き が遅れましたが、その後順調に麦は芽を出しました。今回この冬初めての麦ふみをY氏としました。麦は畝間隔約120cmごとの線に沿って芽を出しています。この線に沿って丁寧に麦を踏みました。子供の頃(昭和30年代)、学校へ行く途中の寒空の中、お百姓さんが麦ふみをしている姿をよく見かけました。今、麦ふみする姿は希少になりました。
麦が育つ線に沿って麦ふみするY氏
麦を踏む効果については実は私はあまりよく知りません。分かるのは、霜柱が麦の根を押し上げて麦が枯死するのを防ぐ効果です。なお、今年種を蒔いた麦の種類は小麦、裸麦、そして燕麦です。大麦とライ麦は蒔きませんでした。
小さな麦を丁寧に踏む 踏まれて倒れた麦
先日ぬかるんだ田んぼで苦労して稲刈りをしました。刈り取った稲は、そのまま畦に置いて乾燥させていました。さらに、はさ掛けして乾かすことにしました。乾いたとはいえ泥が付いた箇所はまだ十分乾いていませんでした。泥を避けながら稲を束ねてワラで縛りました。
泥で汚れた稲を束ねてワラで縛る
束ねて縛った稲はいったん竹竿前に運びました。そして、泥がたくさん付いている箇所を押し切りでカットしました。泥が付いていると脱穀時に泥が籾に混じったり細かい砂が混じる懸念があるためです。カットした稲束は竹竿に掛けて干しました。2,3日すれば完全に乾くと思います。今度の土日曜に脱穀しようと思います。
泥が付いた箇所をカット 竹竿を掛けて乾燥
今年は水がなかなか引かない田んぼがあったため稲刈りがすっかり遅くなってしまいました。年内に脱穀までは済みそうですが、12月まで伸びたのは初めてのことです。溝をさらに掘るか暗渠を作るなど、田んぼから水が早く引かせる工夫が必要だと痛感しました。
12月も中旬、周りの山はすっかり落葉
今年も砂糖作りをしました。砂糖を作ると言うと、一般的にはサトウキビや砂糖大根などを使いますが、私はその実を雑穀として食べることができる砂糖もろこしを使っています。
霜が降りて枯れたようになった砂糖もろこしを切り倒す
砂糖もろこしは先日実を収穫し,脱穀し,精白しましたが、今回はその茎を収穫して砂糖を作ります。最初、枯れたようになった砂糖もろこしの茎を鎌で切り倒します。そして、絞りやすい長さに押し切りでカットします。
切り倒し集めた茎 絞りやすい長さにカット
絞りやすい長さにカットされた茎を、今度はさらに絞りやすいように半分に割ります。茎はとても硬いためそのままでは絞れません。割らずに入れると絞り機が壊れてしまいます。
鎌で茎を半分に割る 絞り機に入れて汁を絞る
沖縄にあるようなサトウキビを絞る大規模な機械はありません。手回し式の古い機械を使って絞りました。この絞り機は昭和初めのとても古い農機具です。去年は絞らずにミキサー粉砕して砂糖作りをしました。この粉砕方式はモーターを使うのですが、モーターが熱をもったり、少し水で薄めたり、粉砕渣に空気が入るなどそれなりに手間がかかりました。今回試みた、手で回す方式のほうが良いようです。
茎をはさんで強く回すと、絞られた汁が落ちる
今回の砂糖作りは3人の分業にしました。一人は、茎を押し切りでカットして余分な皮をむく係、一人はカットされた茎を半分に割る係、そして絞り機を回して汁を絞る係です。絞る係が一番力が要りますし疲れるため、時々係を交代しました。
茎をカットする係、茎を割る係、茎の汁を絞る係
長い時間をかけて絞った汁は、そのままでも甘く飲むことができます。疲れにほど良い甘さです。汁は布で濾してビンに保存します。そして、絞り終わるといよいよ火にかけて濃縮する工程に入ります。農作業小屋にコンロを置いて鍋をかけます。この鍋に絞り汁を入れて熱します。汁は熱くなるとどんどん水分が蒸発します。外気温が低いためさかんに白い蒸気が出ます。
汁を布で濾してビンに保存 鍋に汁を入れて熱すると水蒸気
汁の水分が蒸発するまでには時間がかかりますので、その時間は昼食タイムにしました。米作り、野菜作り、雑穀作りなどの雑談をしながら農作業小屋の中で昼食をとりました。そして、汁が濃縮されるのを待ちました。
煮詰まるのを待ちながら昼食タイム
そして砂糖の完成です。砂糖もろこしの砂糖成分は煮詰めても固形の砂糖にはなりません。水飴のようなねばる砂糖になります。みんなでその砂糖を指に付とけて食べました。やや草の味が残る和菓子のような懐かしい甘さでした。粘る黒砂糖といったところでしょうか。みんなでビンに分けて持ち帰りました。
煮詰まると泡が消えない やっと砂糖の出来上がり
東京薬科大学の一年生と二年生とで最後の稲刈りをしました。もっと早く10月に終了させる予定でした。しかし、なかなか田んぼの水が引かず、しかも稲刈りをしようとした日が雨になる始末でした。例年に無く水が引かず、泥沼田んぼになったのが痛かったです。これ以上稲刈りを遅らせるわけには行かず、七転八倒泥沼田んぼでの稲刈りでした。稲は倒壊して泥に埋まっており、稲刈りと言うよりも稲堀りと言った方がいいくらいでした。
長靴では動けず、素足では冷たく、難渋した稲刈り
一人は素足で田んぼに入りましたが、水が冷たく痛く凍みるような寒さをこらえての稲刈り。もう一人は長靴をはきましたが、身動きがとれず何度も泥上に倒れそうになりました。約一時間七転八倒しながらも稲刈りを終わらせました。刈り取った稲は大量の泥が付いているため、まずは畦に置いて乾かすことにしました。
稲はほとんどが倒れて泥に埋没、稲刈りというよりも稲堀り
雨上がりの田んぼで、東京薬科大学の環境グループASIATOの学生達が今年最後の稲の脱穀をしました。いつものとおり、私はその支援をしました。10月末の学園祭の間に合うように10月末に最初の脱穀をしました。しかし、学園祭の終わった後に脱穀をするチャンスがなかなかありませんでした。学業の予定や天候の不順によってこの日まで延期されました。
今年最後の稲の脱穀をする学生
11月末の脱穀では途中から雨が降ってきたため脱穀を仕方なく延期しました。また、今月初めの脱穀では前日の雨で湿った稲を竹棒に干したままにしました。
今月初めの脱穀時に干した稲 離れた田んぼから運んだ稲
今回は、今月初めに脱穀できずに干した稲を最初に脱穀しました。その稲を脱穀し終わると、離れた田んぼに干していた稲を運び込みました。これですべての稲を脱穀する準備ができました。
快調なディーゼル発動機で脱穀機を作動
今回も前回と同様に前日に雨が降りました。このため、田んぼは水がたまっていました。学生のうち何人かは素足での脱穀作業でした。この寒空の12月で素足では寒かったろうと思います。でも寒さもなんのその、若さで乗り切りました。
濡れた田んぼを素足で作業 来年用の種籾を脱穀
脱穀の最後、来春に種を蒔いて苗にする種籾を採取しました。このため、種籾をい傷めないように発動機の回転数を落としました。こうすると脱穀機の回転が遅くなって脱穀時に籾を損傷することがなくなります。種籾を採取すると、脱穀機から排出された細かなワラくずを田んぼにばらまきました。
脱穀機から排出されたワラくずを田んぼにばらまき
11月に水抜きのために田んぼ脇の溝を深く掘り下げました。このため、晴天が続くと田んぼが乾くようになりました。しかし、昨日の雨でおじゃんです。
水でぬかるんだ田んぼに、倒壊した稲
とにかく年内には稲刈りを済ませなければなりません。今日は長靴をはいて難渋しながらも、倒れたり泥に埋まった稲を半分程度稲刈りしました。明日は、残りの稲を刈り取ろうと思います。しかし、ひざ下で埋まるほどぬかるんだ田んぼのため、さらに難渋しそうです。
半分ほど刈り取り、刈った稲は周りの畦に寝かせて乾燥