すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

その一手間が分かつ

2023年05月20日 | 雑記帳
 隣県での立川談春独演会へ。本当に久々、5年ぶりぐらいだろうか。いわゆるマクラで語ったことの一つに音響へのこだわりがあった。今回は600人程度の中ホールで座席は後方だったが、実にクリアに聞こえる。観客の身になってどう響くか、届くか、伝わるか、それを突き詰めていくことが一流たる由縁と知る。




 足を伸ばしたついでに、まだ全国旅行割も続いているしと、途中にある温泉宿に泊まった。料金もさほど高くはなかったし、まあそこそこでいいと思ってはいた。ところがフロントや置かれている旅行誌などを見ると、〇〇部門1位と掲示され置かれた旅行誌にも数少ない「推し宿」として載っている。期待は高まる。


 歴史ある旅館を大胆にリニューアルし、くつろぐスペースもゆとりがあるし、調度品も結構揃っていた。フロントの対応や案内も丁寧であり、温泉も露天を含め施設として過不足はない。人数調整も計画的だ。ただ、何故か心に響いてこない。ごく稀に行く高級旅館と比べるのは酷にしても、さほどの高評価かと思う。


 夕食時に気付いたことがある。食事のなかみは取り立てて特徴はないが、それは値段相応なのかもしれない。それより添えられた「お品書き」に目がいった。こうした形でコース(的)なイメージを持たせようというねらいは理解できるし評価する。ただ、その紙の使い方(文章のレイアウト、余白)について首を捻った。


 1㎝トリミングして切り落とす手間を省いたとしか思われない。家人の紙もそうだから偶然ではないだろう。機械操作で可能か手作業なのかは不明だ。それにしてもこの出来上がりを良しとする感覚に「美」はない。そうか、この宿に欠けているのは「美」だ。そう理解すると多くの箇所に薄さが透けて見えてきた。