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コインロッカーストーリー

2023年05月30日 | 雑記帳
 「すみませんが、ここにはコインロッカーってありますかね」と、窓口の男性に訊いたら、「ありません」と即座に返されてしまった。口調が強めなので、「はあ」と口をついただけで、問いを重ねる気が失せた。気弱な性格は自覚している(笑)が、ここは県都にある公共施設。訊ねた意図を察することはできないのか。


 「この近くでしたら…」と続けられないのは、知識がないのか。気持ちのありようなのか、定かではない。ただ、県外からいや国外からの訪問客だったら印象が悪いだろう。いや、待て。尋ねられたことに対して簡潔に答えるという合理性の追求と見れば正しい対応か。これは問いの仕方が悪かったのかもしれない。





 「この荷物を預かってくれる所を教えてください。」…そんなふうに、生成AIに尋ねるようにすべきなのだ。そうすれば「残念ながらここにはありません。その大きさであれば、隣の施設の玄関付近にコインロッカーがあります。コイン返還式ですので、気軽にご利用できます」とでも答えてくれるのではないかしら。


 つい、そういう思考になってしまうのは便利さに慣れてしまっているからか。サービス依存症とでも言うべきか。何でも他人に頼り、機器に頼り、自分で解決する習慣をなくしてはいけない、それゆえワシはつっけんどんに振舞う、訊かれたことにしか答えん、いいか、分かったか…と窓口男性の精神になって呟く。


 苦笑しつつ隣接する施設へ。自動ドアから入り検温し、無人の受付を通り、ふと右に目を移す。あるではないか、コインロッカー。大きめのトートバックを入れようと№15の扉を開ける。下段にあるせいか奥の暗さが際立つ。イマ、オマエガアズケヨウトシテイルノハ、オマエノカラダスベテナノダと言われそうな…。