百醜千拙草

何とかやっています

It ain't over 'til...

2008-05-13 | Weblog
アメリカ大統領予備選、地方議会選挙も、何となく帰趨が見えてきたようで、先週のノースキャロライナとインディアナでは、オバマが10%以上の大差でクリントンを下しまいした。インディアナでは2%の差でクリントンが制したものの、ここに来て、super delegatesの中で更に数人が、新たにオバマをendorseした上、一人はクリントン支持からオバマ支持へと鞍替えしたため、選挙で選ばれる一般代議士数に加えて、クリントンの最後の頼みの綱であるsuper delegate数でもオバマがリードすることになりました。メディアの論調も、もうクリントンに挽回の可能性は殆どないのにどうしてクリントンは引かないのか、クリントンがいつまでも残っていると共和党との本戦に悪影響があるのではないか、というような調子になってきています。察するにクリントン陣営の中でさえも、勝つ見込みはないと思っている人も増えてきているのではないでしょうか。2%のインディアナでの勝利を受けて、クリントンは「勝ちは勝ちだ」と述べたらしいですが、一説によると、インディアナでのクリントンの勝利は、民主党候補選挙を長引かせて、民主党を疲弊させようと画策した共和党員の集団工作のためではないかとの憶測もあるようです。共和党はマッケーンで決まっているので、共和党支持者が予備選で、わざと民主党に投票登録してクリントンに投票し、オバマークリントン戦を長引かせようとしているのではという話です。もしそうなら、クリントンは本当は勝ってさえもいなかったのかも知れません。近頃はクリントン自身もおそらくメディアから進退について繰り返し訊かれているのでしょう。しかし、昨日あらためて、まだ撤退の意思のないことを表明し、「It is not over until the lady in the pantsuit says it is」と述べました。これは「It ain't over 'til the fat lady sings」をもじってあるわけです。ワーグナーなどのオペラでは、重量級のプリマドンナが最後にアリアを歌う山場があることが多いので、それまで劇は終わらない、つまり、勝負は最後の最後まで分からないという意味です。パンツスーツを着たクリントンは、自らをオベラのプリマドンナに例えて、「勝負はまだ終わっていない」と言ったのであろうと思います。しかし、穿った見方をすると、fat ladyが歌い終わったら劇は終わるのですから、単に「撤退するかどうかは自分が決める」ということをあらためて言っただけなのかも知れません。何人もの人が撤退のキューを出してきたのに、それを無視し続けたクリントンは、小さな州の予備選での敗退ぐらいでは、引くに引けないという状況に入り込んでしまったように思います。形作りをする機会を何度も逸してしまった今、すこし見苦しくなってきました。あきらめの悪い私が言うのも何ですが、「ダメなものはダメ」なのです。ただ、一般メディアがクリントンのあきらめの悪さが民主党にマイナスではないかという意見を持っているのに対し、当の民主党は、党内に強い候補者が複数いて、しのぎを削る戦いをしているのはマイナスではない、むしろ民主党の力をアピールすることになっているし、一端、戦いが終われば、民主党はより強くまとまると、「雨降って地固まる」効果をポジティブに捕えている人が多いようです。確かに一理あります。クリントンのような粘り強い党員がいるということをアピールする効果はあるかも知れません。ただし、粘り強さは頑固者の裏返しでもありますから、やはりほどほどということが必要なのでしょう。ハワードディーンは6月中には、最終候補をはっきりさせたいと述べており、おそらく、あと二三の予備選が終わった時点で、民主党内部でクリントンの形作りを助けるような芝居が演じられるものと思います。あるいは、ここで大統領選脱落以来、候補者のendorsementを保留しているジョンエドワーズが出てきてクリントンに引導を渡すという趣向なのかも知れません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする