百醜千拙草

何とかやっています

むなしい体面

2008-05-16 | Weblog
ビルマと中国の災害の様子には心が痛みます。阪神大震災の時のことを覚えているので、余計災害にあった人たちの苦しみが迫ってきます。中国での地震で倒壊した学校校舎に下敷きになって亡くなった多くの子供たちのことを考えると、子供たちや生き残った家族の痛みというのはどれほどか、想像するのも辛いです。壊れた学校のがれきの下からスニーカーを履いたままの小さな足が突き出している映像をニュースでみたときには胸がつまりそうになりました。
 しかしその大災害に対するビルマと中国の政府の対応には理解できないというより、憤りさえ感じてしまいます。ビルマはさんざんの非難を集めている軍事政権です。あのサイクロンによる甚大な被害のあとの物資困窮状態にありながら、外国の援助を拒否しました。同様に中国は日本からの人的援助を受入れると発表したのが、地震後三日もたってからです。地震に巻き込まれた人は、災害後一刻も早く手当てが必要なのに、三日もたってからでは助かる者も助かりません。両国政府に共通しているのは、災害の緊急時に外国に入り込まれて、見られたくない部分を見られたくない、という「やましさ」です。困っている自国の国民の命よりも、政治的な体面の方が大切という態度です。特に中国は今年のオリンピックを是非とも成功させて、国力のアピールをしたいという態度から透けて見えるように、国外ばかりをみています。中国ははっきりいって、オリンピックなどやっている場合ではまだまだないと思います。確かに中国には日本人よりももっと多くの億万長者がいますし、国全体としての経済力も上昇してきています。しかし、この国の経済は非常に偏っていて貧富の差が極めて大きく、中国という国家としての成熟にはほど遠いわけです。中国は、オリンピック会場周辺以外の、中国政府の考えている「恥部」を外国に見られるのを極端におそれているように見えます。その態度があからさまなのが、とてもみっともないと思います。三日も経ってから人的援助を受入れたというのは、災害直後の中国政府の緊急時対応のまずしさを隠し、被災者を通じて都合の悪い事を外国に知られたくないという理由でしょう。もう助からないとなれば、緊急対応は必要ないわけですから。世界の人は、中国政府の浅智恵を極めて冷ややかに見ています。中国が一流国として認められたいとアピールすればするほど、皆ひいていきます。どうしてそれに気がついていないのでしょうか。あるいは気がついていても認めたくないのでしょうか。このままだと、中国は世界の嫌われ者に向かってまっしぐらです。オリンピックの競技者の人には悪いですが、近代オリンピックは政治的な道具ですし、今回、妙にオリンピックが成功したりすると、中国政府はまた勘違いするでしょうから、後々のためには私はオリンピックは中止になる方が中国のためにも良いと思います。ほんとうの友達なら、見栄も恥もなく、そのまま自然体でつきあっていける筈です。みな、同じ人間なのですから。それが国というレベルになると、突然メンツとか威信とかなんとか、本来存在しないものが最優先となってしまうのですね。情けないです。
コメント
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