百醜千拙草

何とかやっています

サマーズと日本の金

2009-11-17 | Weblog
現在、オバマは東アジア訪問中ですが、先週末、

 菅直人副総理兼国家戦略担当相は14日、サマーズ米国家経済会議(NEC)委員長と都内で会談した。経済成長政策や、危機対応の財政・金融政策を平時の政策に戻す「出口戦略」などをめぐり意見交換したとみられる。サマーズ氏はオバマ米大統領とともに来日した。

とのニュースを耳にしました。 ラリー サマーズはクリントン政権の時も経済アドバイザーを務めていましたが、ブッシュ政権になってから、元の経済学者に戻り、ハーバードの学長を務めていた人です。公の席で、ハーバードで女性の教官の数が少ないのは何故か、と尋ねられて、「遺伝的な差も原因ではないか(つまり、女は生まれつき頭が悪い)」と発言し、非難の嵐を浴びて、ハーバード学長を辞任するハメになりました。ハーバードの教授会が不信任決議で、学長を罷免したのは史上初だそうです。因に、16歳でMITに入学したという秀才、サマーズのハーバード大教授就任は28歳の時で、ハーバード教授就任最年少記録であったらしく、何かとハーバード史上初が好きな人です。サマーズの次の学長はDrew Faustという女性になりました。それで、今回、再び民主党政権となって、サマーズはオバマ政権の経済アドバイザーに返り咲いた訳です。私、この人には、セクハラ問題でMITの研究所所長を辞任した日本人科学者のTさんほどは、Arroganceを感じないのですけど、本人を知る人の評判は余り芳しくないようで、「サマーズの謙遜とマドンナの貞操(ありえないもの)」と揶揄されているほどだそうです。ユダヤ人は一般にしたたかでCleverであると言われますけど、彼の男尊女卑的発言や、世界銀行チーフエコノミスト時代の「公害産業を発展途上国に移せば節約できる」発言をみていると、若い時に普通の人のする苦労をせず、あまりにトントン拍子に出世しすぎて、余人の気持ちが理解できないのか、余りClever という感じは受けません。
 オバマの訪日、訪韓、訪中の目的は、アジアへの顔見せで、半ば儀礼的なものと思います。そこにわざわざサマーズが一緒にやってくることが、アメリカの経済状況の切実さを反映しているように気がします。アメリカが日本に求めているのは、「金」と「アメリカ軍駐留地」でしょう。クリントン政権時代から日本の経済は直接よく知っているサマーズは、日本の経済状況を直接見て、日本はアメリカ国債をどれぐらい買ってくれそうか、その他アメリカ主導のプロジェクトにどれぐらい金を出せそうか、日本の新政権の懐具合と気持ちを探りたかったのでしょう。ソ連が崩壊し、中国が資本主義化して来た今、アジア諸国に対してアメリカが望むものは、何と言っても「金」であろうと思います。その点、日中韓を軸としたアジア共同体構想を持つ鳩山政権にアメリカは心安くないでしょう。だからそ、3日をかけて訪中し、中国とのパイプの確立を中心に据えた東アジア訪問となったのでしょう。しかし、中国人はユダヤ人以上に現実的で冷静です。今回の訪中で、オバマはタウンホールミーティング形式で中国人の次世代の若者と直接対話する機会をもったということですが、こういうやり方が中国に対して、どれだけ効果があるか私は疑問に思います。一方、日本人に対しては「鎌倉大仏より抹茶アイスが好き」と言うのは、かなり効果的ではないでしょうか。「抹茶アイスはオレも好物だ、抹茶アイスの好きなヤツに悪いヤツはいない」と思う日本人は私を含めて多数いることでしょう。それに、日本は敗戦国であり、アメリカは好き勝手ができました。中国とは対等です。アメリカの都合の良い要求をこれまでの日本のようにはハイハイとは飲まないでしょう。
 そういう点で、中国との外交はアメリカは真剣勝負と思っているでしょう。中近東、西アジアでの外交、軍事問題を抱えているアメリカは、東アジアと喧嘩している余裕はありません。とにかく中国とはよい関係を保持する必要があると考えているでしょう。一方、日本に対しては、在日米軍の拠点の提供と金、とにかく、それだけは押さえておきたい、ということでサマーズが同行したということなのでしょうと思います。
 日本経済の問題を間近に確認して、サマーズはどう考えたでしょうか。「公害産業を発展途上国に移せば(アメリカや先進経済国は)金を節約できる」という反人道的発言をしてしまうような人ですから、日本に「金がない」となれば、見切るのも早いのでしょうね。
 一方、 OECDが発表した世界の貧困率比較(2000年代半ば)によると、加盟30か国のうち、一人親世帯の貧困率(54%)は日本が最悪だった。全体の相対的貧困率では27位で、最下位はまぬかれたものの、下位層に位置している、とのニュースでは、日本人の経済格差の拡大と貧困化を伝えています。 この際、日本は、国際社会では、二軍にリーグ落ちして、アメリカにも早い所、見切ってもらって、世界との交際範囲を狭め、国内の国民の問題にもっと目を向ける方向に行ったほうが、長期的には、良い国になると思うのですけど、どうでしょうか?
コメント
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