百醜千拙草

何とかやっています

極東軍事緊張の裏

2010-11-26 | Weblog
マンデルブローの死去についてNatureとScienceは、各々、11/18、11/12の号で、追悼記事を掲載していました。Benoit Mandelbrotという名から、私はフランス人だと思い込んでいましたが、実はユダヤ系ポーランド人で、ナチのユダヤ弾圧の時にフランスへ移ったのだそうです。Benoit Mandelbrotの叔父も著名なポーランドの数学者で、Szolem Mandelbojtと綴ります。きっとフランスに行ってから名前と姓の綴りを変えたのでしょう。
 ユダヤ系ポーランド人で思い出したのが、ロスチャイルドで、彼らがイギリスに渡って世界金融を牛耳るようになる前はポーランドのユダヤ人としてアングロサクソンの差別をうけて細々と暮らしていたはずです。私は最近の極東でのいろいろな事件の多くのウラには彼らやロッカフェラがいるのではないかと疑心暗鬼になっています。極東に限りませんが、カネを儲けるために戦争やテロを仕掛けるのは彼らにとってはお手のものでしょう。

北朝鮮の韓国への砲撃を 、だいたい三通りに人々は読んでいるようです。
第一は、対話を拒否しているアメリカを協議に引き出すための材料として行ったという説。第二は北朝鮮の独裁者の世襲に伴って、軍事的リーダーシップを示すために行ったという説。第三は、アメリカの演出という説。
 この砲撃の第一の理由のアメリカを対話に引きずり出すためにやったという説は、私はよく理解できないのでわかりません。第二の新将軍の軍事的リーダーシップを示すため、というのはそうかも知れません。独裁者の世襲にともなって、こういうことをやるということは、北のこの政権は危ういという可能性が高いと思われます。国が富み、人々が幸福であれば、政府のトップが独裁者であろうと何であろうと人々は気にしないでしょう。しかし、もちろん、北朝鮮は人々が食べるものがなくて困っているような状態ですから、いくら洗脳されていても人民は幸福ではないでしょう。その彼らの不満をそらせ、政府を支持させるには、外国の脅威を示して、それに政府がきっちり対応できるという点を見せるというのは有効な手段かと思います。第三のアメリカの演出については、これは、あるいは、尖閣諸島問題など東アジアでの大小の国際紛争と同一線上にあるものとも考えることができるかも知れません。「東アジアでの軍事的緊張」を誰よりも欲しているのは誰かを考えれば、アメリカがらみのヤラセである可能性は高いと思います。

 ニュースでは一方的に北朝鮮が悪いような書き方をしてありますが、北朝鮮は境界線近辺での韓国の砲弾を使った軍事演習に警告を出したが、韓国側が無視、今回、韓国からの砲撃があったため対応した、と言っているそうです。事実、韓国ソウル発のロイターのニュースでは、北朝鮮の砲撃の前に韓国側がまず軍事訓練と称して砲弾を発射したらしいです。その辺を考えると、わざわざ国境付近で砲弾を使っての軍事演習をした韓国側がワザと北朝鮮を挑発したという線の方がむしろ濃厚ではないでしょうか。しかし、仮に韓国軍の挑発に乗って反撃したのだとしても、北朝鮮が一般人の住む島へ砲弾を打ち込んだというのは、過激過ぎると思います。一昔前ならこれは宣戦布告と言ってもよいでしょう。果たして、北朝鮮の体力でアメリカ軍がバックにいる韓国とドンパチできるのか、その辺を考えるとこの事件のいかがわしさを感ぜずにはおれません。新聞などが言う第一、第二の説であれば、この砲撃はパフォーマンスです。パフォーマンスにしては有人の島に砲弾を打ち込むというのは過激過ぎると私は思います。この過激さを説明するのは二通りあるでしょう。一つは、北朝鮮は何を考えているかわからない異常なキチガイの国だという、多分、dominantな意見。この意見を採用することは簡単ですが、北朝鮮はキチガイ、以上終わり、と思考停止になって後が続きません。もし北朝鮮がキチガイではない、という第二の可能性であった場合に思考停止していると事態が悪くなります。第二の可能性は、上の第三の説のとおり、この韓国と北朝鮮の砲撃戦には台本があったと考える場合です。もちろん、現場の人間には台本は知らされておらず利用されただけでしょう。北朝鮮の一部とアメリカが実は昔の自民党と社会党のようにウラでは繋がっているという話は本当だと思います。

田中宇さんの国際ニュース解説( http://tanakanews.com/)では次のように書いてあります。

 
韓国軍はこの日、北朝鮮の沖合12キロにある韓国領の延坪島の周辺海域で、
軍事演習をしていた。韓国政府によると、この演習は3カ月に一度行う「定例
のもの」だった。北朝鮮側は演習を非難し、やめるよう求めたが、韓国側は
やめなかった。その後、砲撃戦が起きた。しばらく前に北朝鮮は、いつでも韓
国を砲撃しうるぞと警告しており、警告どおりのことを実行した。韓国側は、
北朝鮮側が先に撃ってきたと言っているが、北朝鮮側は、韓国側が先に撃って
きたと言っている。(http://www.atimes.com/atimes/Korea/LK24Dg02.html)
 韓国軍は米軍の傘下にある。米軍は、演習をやっているうちに紛れて本当の
戦争を起こしてしまう傾向がある。湾岸戦争の発端となった1990年のイラ
クのクウェート侵攻は、イラクがクウェートに侵攻するシナリオで米軍が演習
をやっている間に、本当にイラク軍が攻めてきた。背景には、米国がイラクの
サダム・フセインを挑発して侵攻を誘発し、米軍がイラクに「百倍返し」して
湾岸戦争を起こす米側の策略があったようだ。
 01年の911事件でも、当日ニューヨークでハイジャックテロ対策の演習
が行われており、航空管制官らは、演習なのか本物なのか判断できず対応が後
手に回り、軍産複合体が望む「テロ戦争」が始まった。今年3月の天安艦沈没
事件も米韓演習中に起きた。北朝鮮犯人説が正しいと考えられる証拠は今も出
ていない。これらの先例からすると、今回の南北間の砲撃戦も、北朝鮮が先に
撃ってきたと断定しない方が良いだろう。


東アジア(に限りませんが)の軍事紛争のウラには必ずアメリカがいます。そして今のアメリカと世界の状況は1930年代の大恐慌に似ているような気がします。1929年の突然のマーケットクラッシュで始まった恐慌ですが、クラッシュの前には実質産業経済にかげりが見えていた一方で、投機的株式投資によるバブルがあったようです。そしてアメリカは深刻な不況へと突入しました。ルーズベルトはニューディール政策で多額の政府主導の雇用拡大で景気の浮揚を狙ったわけですが、その効果の評価は別れるところです。しかし、第二次世界大戦を仕掛けて、その軍需景気でアメリカ経済が持ち直したというのは万人の意見の一致するところでしょう。

翻って近年のアメリカでは、数年前のリーマンショッックによる株式市場のクラッシュとその後の経済の低迷があり、オバマはAmerican Recovery and Reinvestment Act (ARRA)などで、多額の税金をつかったニューディールもどきの景気浮揚策を取りました。眼に見えるような効果は未だ出ず、景気の回復は遅々としており、結果、この中間選挙でオバマ民主党はHouse seatを大幅に減らし、共和党に過半数を握られました。この状況は第二次世界大戦前とよく似ています。そして今、極東でキナ臭い事件が散発しています。外患に際して、単純バカの害務大臣は(操られているのでしょうが)火に油を注ぐようなことしかしません。しかも、責任をとるという国を運営する人間としてもっとも重要な資質がこの内閣には欠けています。この史上最低の無能内閣が、この未曾有の危機にあってとんでもない誤りを犯す可能性は極めて高いと憂えています。このままだと日本が戦争に巻き込まれる確率は高く、しかも今度はイラクでもアフガニスタンでもなく、日本本土になる可能性が高いと思います。

上の話とは関係ないのですが、もう一つ触れておきたい今週のニュースは、名古屋市議会のリコールが不成立となったニュースです。名古屋では、市議会議員の高過ぎる議員報酬などを不服として市長と市民がリコールを求めて署名活動を行っていました。リコール成立に36万票が必要であったが、集まった46万票のうち、なんと、11万票を無効票とこの市議会の息のかかった選管に判断されて、35万票の有効票でリコール不成立となったという事件です。これまでは署名の誤字などは許容され、有効と認められていたのに、今回は、署名提出後に、誤字が見つかった場合は無効とするというルールを選管は出してきて、なんと24%を無効にし、リコール成立数ぎりぎりまで減らせたという見え見えの工作を行ったという恥知らずな事件。リコール推進の河村市長、この選管のルール変更に、後だしじゃんけんだ、と激怒。
 この国は国家システムとして腐り切ってしまっています。この野蛮で陰湿で自己中心的な態度に怒りを通りこして情けなさしかもう感じなくなってきました。この国は物質的には、まだ多少他の国よりも豊かなのかも知れませんが国の中身は、まだまだ中世の封建制度の後進国なのですね。日本の官僚システムとそれに寄り添う保身政治家に自浄作用がない以上、これらは打ち倒されなければなりません。一つは市民革命でしょう。一般市民がも生活して行けない状態になるのはかなり近いです。生活保護を受けている方が真面目に働くよりもずっとマシな生活がおくれるような社会ですから、人々のガマンの限界も近いでしょう。そのときになればさすがに市民も革命に立ち上がるでしょう。あるいは、もう一度、どこかの国の植民地にでもしてもらって、国民が団結して独立を勝ち取るというような経験でもしない限り、この腐った病巣を取り除くことはできないのかも知れません。

ひたすら暗い話ですいません。でもこれが現実のようです。

追記。

アップ直後、小沢氏の強制起訴の無効を訴えての行政訴訟を最高裁が却下とのニュースを知りました。この国の司法は腐っていますから(三権分立という建前そのものが形骸化していますから)、怒りはありますが、半ば驚きはしませんでしたが、残念です。これで、時期総理に相応しい人としてトップになった小沢氏に足かせがついてしまいました。日本丸沈没が加速しそうです。
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