先週の話ですが、ロシアが逆制裁を発表したという話。
ウクライナ情勢、加えてマレーシア機撃墜に際しての、アメリカの傲慢で一方的なロシア非難に対して、プーチンがついに怒ったということでしょうか。
ロシアはEU、アメリカからの食料輸入を一部禁止、今後、ヨーロッパとアジアを結んでロシア上空を飛ぶ飛行機の領空通過を見直す可能性があると表明したそうです。
アメリカ、バカですね。ロシアに制裁返しをされて困るのはEUでしょう。天然ガスなどのエネルギーはかなりの部分をロシアに頼っているはずですから。これから冬になって、ロシアがEUへの天然ガス供給を止めるとでも言えば、ヨーロッパはパニックになるのではないでしょうか。アジア-ヨーロッパ航空が影響を受けるとなれば、この経済的損失はバカになりません。
一方で、NATO側は、ロシアがウクライナ東部の人道支援を口実にウクライナ侵攻をする準備をしているのだ、と批判。どうでしょうか。軍事的要所と考えられるクリミア半島はすでに実質ロシアの支配下にあります。これ以上、ウクライナ(西側)に介入してロシアは何かいいことがあるのでしょうか?ウクライナはこれまでロシアからの天然ガスなどの支援を受けており、ロシアに多大な借金があります。加えてソ連時代からの負の遺産、チェルノブイリもあり、ロシアが進攻して(仮にウクライナを併合した)ところで、マイナスしかないような気がするのですが。一方、EUにとってはウクライナが西側に入ることに多少のメリットはあるかも知れません。
いずれにせよ、こうした政治ゲームのしわ寄せを喰うのはいつも、一般の人々です。
現在のところ、ロシアは比較的低姿勢で冷静に対応している様子に見えます。一方、アメリカ、とにかく戦争したい戦争ビジネスマンが口を出すのでしょうが、完全に悪人になれない(ように見える)オバマは、さすがにロシア相手に本気でケンカするわけにはいかず腰が引けてますから、おそらく、お互い、口喧嘩でグダグダやっている間に問題は自然消滅、それを狙っているのかも知れません。かわりにイラクのイスラム過激派に対して軍事行動、この辺が妥協点なのでしょうな。イラク人にとってはいい迷惑でしょう。
話かわって、日本のポスドク問題についての昨日の柳田先生のブログ。日本人が外国で通用するように教育して海外で活躍してもらおう、というご意見のようです。具体的にどの国の話を考えておられるのでしょうか。現在、日本やEUの約4倍、世界最高額の研究費を使っているアメリカでのアカデミアのグラント採択率は10%強という厳しい現状です。また生物系PhDのアカデミア以外の道としての製薬大手企業はどんどん研究開発部門を閉鎖縮小していって、多くをバイオテクベンチャーなどにアウトソースしているような状態です。かなり優秀なアメリカ人ポスドクでも職を探すのに苦労しています。そこへ世界中から研究者が文字通り、生き残りをかけて集まって来ています。他の国でも大同小異でしょう。潤沢に研究にカネを回せる国や企業はどこにもないと思います。つまり、需要に対して供給過多になっている買い手市場ということだと思います。そこへPhDを輸出するのであれば、そのPhDは、昔の日本車のように他の車に比べて、十分に「安く」、パフォーマンスがよくなければ売れないでしょう。そういう市場というのは主にはポスドク市場だと言えるでしょう。そこから上に行くには「価格」は余り関係なく、能力勝負です。すでに供給過多となっている英語環境の市場で、アメリカ人研究者や他の国からのハングリーな研究者と張り合って彼らに勝つ必要があります。思うに、そのレベルの人なら日本国内にでもどこか職はあるのではないでしょうか。
柳田先生は、スイスをその例に上げていますが、これまでを見ると中国がそうなのではなかったのではないでしょうか。アメリカやヨーロッパの中国人研究者はかなりの数に登るでしょう。彼らの多くが中国国内にポジションがないので国外にチャンスを求めた人々だと思います。今、中国での経済の発展に伴う研究職の増加で起こっていることは、海外で活躍していた中国人研究者の母国へのUターンです。結局、研究もカネ次第ですから、カネのあるところに向かって研究者は流れます。日本でもやっていける人は多分、海外でもやっていけるし、その逆も真であろうと思います。どこに行っても競争は激しく、客観的な数字だけでいうと、博士取得者で研究者として将来的にメシを喰っていける人の割合はそう高くないだろうと思わざるを得ません。日本国内で難しいから外国ならチャンスがあるというのは、かつてはそうであったかも知れません。しかし、世界的に経済危機となって、研究というリスクの多い投資活動(と政府や製薬会社は考えているでしょう)が制限されつつある今日、世界中、どこに行っても研究者でメシを喰うのは一様に苦しいと思います。
私、もっとも健全な態度は、「医学博士」の場合と同様、PhDは「足のウラの米粒」で、取っても取らなくても大差はない(が、取らないと気持ち悪い)という程度のものである、つまり、研究は趣味の活動と見なすことではないかと思います。「博士」はアカデミアのキャリアを目指す人には必要なものですが、もはや、ただそれだけの実用的意味のない形式的なものに過ぎません。(私もエラそうに言えませんけど、早稲田大学の例を見れば、博士号など、自動車教習所で運転免許を取るのと同じで、授業料さえ収めれば誰でも取れるようですから)最初から「博士」などには大した価値などないと思っておく方が精神衛生によいのではないでしょうか。
ウクライナ情勢、加えてマレーシア機撃墜に際しての、アメリカの傲慢で一方的なロシア非難に対して、プーチンがついに怒ったということでしょうか。
ロシアはEU、アメリカからの食料輸入を一部禁止、今後、ヨーロッパとアジアを結んでロシア上空を飛ぶ飛行機の領空通過を見直す可能性があると表明したそうです。
アメリカ、バカですね。ロシアに制裁返しをされて困るのはEUでしょう。天然ガスなどのエネルギーはかなりの部分をロシアに頼っているはずですから。これから冬になって、ロシアがEUへの天然ガス供給を止めるとでも言えば、ヨーロッパはパニックになるのではないでしょうか。アジア-ヨーロッパ航空が影響を受けるとなれば、この経済的損失はバカになりません。
一方で、NATO側は、ロシアがウクライナ東部の人道支援を口実にウクライナ侵攻をする準備をしているのだ、と批判。どうでしょうか。軍事的要所と考えられるクリミア半島はすでに実質ロシアの支配下にあります。これ以上、ウクライナ(西側)に介入してロシアは何かいいことがあるのでしょうか?ウクライナはこれまでロシアからの天然ガスなどの支援を受けており、ロシアに多大な借金があります。加えてソ連時代からの負の遺産、チェルノブイリもあり、ロシアが進攻して(仮にウクライナを併合した)ところで、マイナスしかないような気がするのですが。一方、EUにとってはウクライナが西側に入ることに多少のメリットはあるかも知れません。
いずれにせよ、こうした政治ゲームのしわ寄せを喰うのはいつも、一般の人々です。
現在のところ、ロシアは比較的低姿勢で冷静に対応している様子に見えます。一方、アメリカ、とにかく戦争したい戦争ビジネスマンが口を出すのでしょうが、完全に悪人になれない(ように見える)オバマは、さすがにロシア相手に本気でケンカするわけにはいかず腰が引けてますから、おそらく、お互い、口喧嘩でグダグダやっている間に問題は自然消滅、それを狙っているのかも知れません。かわりにイラクのイスラム過激派に対して軍事行動、この辺が妥協点なのでしょうな。イラク人にとってはいい迷惑でしょう。
話かわって、日本のポスドク問題についての昨日の柳田先生のブログ。日本人が外国で通用するように教育して海外で活躍してもらおう、というご意見のようです。具体的にどの国の話を考えておられるのでしょうか。現在、日本やEUの約4倍、世界最高額の研究費を使っているアメリカでのアカデミアのグラント採択率は10%強という厳しい現状です。また生物系PhDのアカデミア以外の道としての製薬大手企業はどんどん研究開発部門を閉鎖縮小していって、多くをバイオテクベンチャーなどにアウトソースしているような状態です。かなり優秀なアメリカ人ポスドクでも職を探すのに苦労しています。そこへ世界中から研究者が文字通り、生き残りをかけて集まって来ています。他の国でも大同小異でしょう。潤沢に研究にカネを回せる国や企業はどこにもないと思います。つまり、需要に対して供給過多になっている買い手市場ということだと思います。そこへPhDを輸出するのであれば、そのPhDは、昔の日本車のように他の車に比べて、十分に「安く」、パフォーマンスがよくなければ売れないでしょう。そういう市場というのは主にはポスドク市場だと言えるでしょう。そこから上に行くには「価格」は余り関係なく、能力勝負です。すでに供給過多となっている英語環境の市場で、アメリカ人研究者や他の国からのハングリーな研究者と張り合って彼らに勝つ必要があります。思うに、そのレベルの人なら日本国内にでもどこか職はあるのではないでしょうか。
日本がPhD取得者達のの海外への大きな輸出国になることを夢見ています。上の二点を何とかすれば世界最大の輸出国になるのもあながち夢ではないです。スイスなどは完全にそうなのですが、あまり知られていないですね。日本人は、人柄的に尊大でもなくエリート的でもなくずるくもないし、世界から愛される博士研究者達の輩出国なるでしょう。
柳田先生は、スイスをその例に上げていますが、これまでを見ると中国がそうなのではなかったのではないでしょうか。アメリカやヨーロッパの中国人研究者はかなりの数に登るでしょう。彼らの多くが中国国内にポジションがないので国外にチャンスを求めた人々だと思います。今、中国での経済の発展に伴う研究職の増加で起こっていることは、海外で活躍していた中国人研究者の母国へのUターンです。結局、研究もカネ次第ですから、カネのあるところに向かって研究者は流れます。日本でもやっていける人は多分、海外でもやっていけるし、その逆も真であろうと思います。どこに行っても競争は激しく、客観的な数字だけでいうと、博士取得者で研究者として将来的にメシを喰っていける人の割合はそう高くないだろうと思わざるを得ません。日本国内で難しいから外国ならチャンスがあるというのは、かつてはそうであったかも知れません。しかし、世界的に経済危機となって、研究というリスクの多い投資活動(と政府や製薬会社は考えているでしょう)が制限されつつある今日、世界中、どこに行っても研究者でメシを喰うのは一様に苦しいと思います。
私、もっとも健全な態度は、「医学博士」の場合と同様、PhDは「足のウラの米粒」で、取っても取らなくても大差はない(が、取らないと気持ち悪い)という程度のものである、つまり、研究は趣味の活動と見なすことではないかと思います。「博士」はアカデミアのキャリアを目指す人には必要なものですが、もはや、ただそれだけの実用的意味のない形式的なものに過ぎません。(私もエラそうに言えませんけど、早稲田大学の例を見れば、博士号など、自動車教習所で運転免許を取るのと同じで、授業料さえ収めれば誰でも取れるようですから)最初から「博士」などには大した価値などないと思っておく方が精神衛生によいのではないでしょうか。