百醜千拙草

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憲法と戦争

2015-05-05 | Weblog
戦後、70年、最大の危機に面する「日本国憲法」。
国家権力とは、極論すれば一般国民の自由を奪い、国民の財産を売り渡し、己の利益に付け替えるための「支配者層」のためのシステムです。民主主義の建前上の主権者である国民を保護するためにあるのではありません。民主主義は、国民が主権をもち、権力を委託されたものが権力を濫用しないようにするための政治形態であり、そのために、独立した権力である立法と司法と行政がお互いを牽制しその暴走を抑止するという「建前」であるはずです。そしてその権力を縛るよりどころとなるものが憲法です。
しかるに、日本では霞が関という支配者が、立法、司法を従えて、権力は分立する代わりに連立し、結託して己の利益のために、国民を奴隷化しようとしています。いま、アベ内閣は露骨にも、その権力暴走のブレーキである民主主義、人道主義、国民主権の拠り所となっている憲法を、権力側の都合のよいように骨抜きにしようと企んでいます。一方で、増税、福祉の切り捨て、無謀な金融緩和でのインフレで国民を経済的に追い詰めた上で、軍隊という受け皿に若者を誘導し、積極的平和主義というブッシュ ドクトリンの二番煎じの詭弁を弄して、日本の軍国化をおし進め、なし崩し的に海外への侵略戦争に加担しようとしています。これは国家が国民に対して行なうテロであり、気づいた時にはもう流れに流されて手遅れになってしまうのです。

憲法記念日に際して、東京新聞の社説から。

昨年は集団的自衛権の行使容認、今年は安全保障法制…。政権の次の狙いは憲法改正でしょう。戦後七十年の今こそ、しっかり憲法を考えたいものです。
昨年暮れに「石見(いわみ)タイムズ」という新聞の復刻版が京都の出版社から出されました。---
故・小島清文氏が主筆兼編集長を務めました。小島氏が筆をふるったのは約十一年間ですが、山陰地方の片隅から戦後民主主義を照らし出していました。---
小島氏の名前が世間に知られるようになるのは、新聞界を退いてからずっと後です。八八年に「不戦兵士の会」を結成し、各地で講演活動を始めたのです。ひたすら「不戦」を説きました。---
九二年に出した冊子ではこう記します。
 <戦争は(中略)国民を塗炭の苦しみに陥れるだけであって、なんの解決の役にも立たないことを骨の髄まで知らされたのであり、日本国憲法は、戦勝国のいわば文学的体験に基づく平和理念とは全く異質の、敗戦国なるが故に学んだ人類の英知と苦悩から生まれた血肉の結晶である>
戦後日本が戦死者を出さずに済んだのは、むろん九条のおかげです。---
 しかし、安倍晋三政権は従来の政府見解を破壊し、集団的自衛権の行使容認を閣議で決めました。解釈改憲です。今国会で議論される安全保障法制は、他国への攻撃でも日本が武力行使できる内容です。「専守防衛」を根本から覆します。九条に反してしまいます。
 権力を縛るのが憲法です。これが立憲主義の考え方です。権力を暴走させない近代の知恵です。権力が自ら縛りを解くようなやり方は、明らかに立憲主義からの逸脱です。
 小島氏は二〇〇一年の憲法記念日に中国新聞に寄稿しました。
 <権力者が言う「愛国心」の「国」は往々にして、彼らの地位を保障し、利益を生み出す組織のことである。そんな「愛国心」は、一般庶民が抱く祖国への愛とは字面は同じでも、似て非なるものと言わざるを得ない>---
 権力が改憲をめざす以上、主権者は傍観していられません。
◆戦争は近づいてくる
 小島氏は〇二年に八十二歳で亡くなります。戒名は「誓願院不戦清文居士」です。晩年にラジオ番組でこう語っています。
 <戦争というのは知らないうちに、遠くの方からだんだん近づいてくる。気がついた時は、目の前で、自分のことになっている


日本国憲法は、GHQに押し付けられたようなものですが、しかしそれはアメリカが民主主義を世界に売って歩くために作られた、いわば理想を詰め込んだ商品サンプルであったとも言えるのではないでしょうか。モーターショーで展示されるピカピカの高性能新型車のように、フォード製でもトヨタ製でも良いものならば人々は欲しがるものです。アベ氏は日本製でないから日本国憲法は日本人の手で書き変えないといけないとか言ったりするわけですが、ならば、まず洋服を着るのをやめてチョンマゲ着物に草履履きにしてから、そういうことを言ってもらいたいものです。
 国民はいろいろな方法でマスコミに洗脳され、権力に追いつめられていって、「戦争しかない」という結論に飛びつくように誘導されていくのです。反中、反韓をあおる様々な報道、ネットの工作の一方で、日々、苦しくなる生活、恐怖と不安を操作して、権力者は国民を操ります。戦後70年、日本が戦争犠牲者を出さずにすんだのは間違いなく9条のおかげです。日米安保の抑止力とかいうイカサマゆえではありません。
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