「トゥキディデスの罠」という言葉を、先日の米中首脳会談に際して、ハーバード、ベフファーセンターのウェッブサイトから私は学びました。
一週間ほど前、アーミテージ、ナイ レポートでおなじみの「ジャパン ハンドラー」、ジョゼフ ナイは、米中の衝突の可能性について、「米中はトゥキディデスの罠を回避できる」と述べたそうです。
その米中首脳会談、ほぼ同時期のローマ法王の訪米や、アメリカ下院議長のベイナーの辞任表明などというビッグ ニュースが重なり、多少、霞んでしまいました。現実的に、これだけの経済的相互依存のある核武装した大国同士が戦争をすることはまずあり得ないと思われます。いくら戦争産業で経済を回してきたアメリカでも、中国相手に戦争をするのはメリットよりもリスクの方がはるかに大きく、事実アメリカがこれまで戦争を仕掛けてきたのは力づくでなんとかなる小国相手です。米中が、例えば、冷戦中のキューバ危機のような状況になることが起こりうるか、と言えば、それは筋書きのあるショーとして以外には無いでしょう。米中が戦うことになるのは、あるとすれば、おそらく第三国間でのおそらく中東付近を火種とする戦争に巻き込まれるという形になると思います。その時には、無関係の土地で、最初に中国軍と戦って捨て駒にされるのは自衛隊でしょうな。
思うに、「中国が攻めてくる」というプロパガンダにのって戦争法案に賛成した人々は、この「トゥキディデスの罠」に陥っているとも言えます。中国政府が日本にどのような形で、何の目的で侵攻してくる可能性があるか、その場合にどういう対処ができるか、ということを具体的に考えれば、中国(政府軍)が日本に侵攻してくる可能性は、少なくとも現時点ではゼロと言って良いだろうと私は思います。罠に陥るのは相手を十分に知らないために生じる恐怖心であり、政府は恐怖心を煽ることによって国民をコントロールしようとするのです。かつての中国の反日政策が良い例でしょう。国民の不満が政府に向くのを抑えるために外敵を想定してプロパガンダを流すのは常套手段です。
読売と並ぶ経団連と与党のプロパガンダ新聞、産経はその社説で、米中首脳会談が平行線であったと述べ、特にアメリカが懸念を示した南シナ海への中国の進出について、「危険が高まった」と書き立て半中を煽り、暗に「安保法案」を後押しするかのような記事。さらに、読売によると、「安倍首相は米ニューヨークでの国連総会などで、習氏との首脳会談を模索しており、中国の強引な海洋進出に対し、日本政府としても働きかけを強める方針だ」との話。中国を名指しで批判して安保法案を正当化しようとしたアベ氏が、中国に何をいうつもりなのか、何を言ったとしても逆効果としか思えません。国連に行って余計なことをするぐらいなら、行かない方がましです。「小人閑居為不善、無所不至」とでも言われそうです。関西風に言えば「いらんことしー」。
一週間ほど前、アーミテージ、ナイ レポートでおなじみの「ジャパン ハンドラー」、ジョゼフ ナイは、米中の衝突の可能性について、「米中はトゥキディデスの罠を回避できる」と述べたそうです。
人民網日本語版 2015年09月17日17:06
著名な国際関係学者で、ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は16日、人民日報記者の単独取材に応じ、「米中は各分野での交流を強め、客観的かつ理性的に相手と向き合うことで、『トゥキディデスの罠』は回避できる」と述べた。人民日報が伝えた。
新興大国と既成大国は必然的に衝突するという歴史的事実を前に、中米関係もこの「トゥキディデスの罠」に陥るのではないかという見方が浮上しているが、これに対しナイ教授は、「米中が歴史と同じ道を辿ることはない。中国は国際秩序の建設的な参加者であり、国際秩序の充実を望んでおり、それに挑戦することはない」と述べた。
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「トゥキディデスの罠」についてナイ教授は、ぺロポネソス戦争が勃発したのは、日増しに力をつけるアテネを前に恐怖心を拭えなかったスパルタとの間に戦争が起きてしまったためで、現在の中米関係はアテネとスパルタの関係とはまったく異なり、同様に扱うことはできないと語る。「現在米中両国の各レベルでの往来はますます増え、中国人観光客や留学生も両国と両国民の相互理解に貢献しており、知らぬがゆえに恐怖に陥るということはない。そのため、米中両国は『トゥキディデスの罠』を完全に回避することができる」と指摘した。また、中国が国際問題においてより重要な役割を発揮することが、アメリカの役割を削ぎ落とすゼロサムゲームだとする見方があるが、それは愚かだとも指摘する。「例えば、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立当初、他国の参加に反対した人がいたが、幸いオバマ政権がAIIB政策の調整を図った。TPPでは中国さえ意欲があれば、中国の加盟は今後いつでも歓迎されるだろう」
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国際関係における権力の移転についてナイ教授は、国家間の権力の移転や政府と国際組織、非政府組織間の権力の移転は正常な現象で、順応するということを学ばなければならないと指摘した。(編集IM)
著名な国際関係学者で、ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は16日、人民日報記者の単独取材に応じ、「米中は各分野での交流を強め、客観的かつ理性的に相手と向き合うことで、『トゥキディデスの罠』は回避できる」と述べた。人民日報が伝えた。
新興大国と既成大国は必然的に衝突するという歴史的事実を前に、中米関係もこの「トゥキディデスの罠」に陥るのではないかという見方が浮上しているが、これに対しナイ教授は、「米中が歴史と同じ道を辿ることはない。中国は国際秩序の建設的な参加者であり、国際秩序の充実を望んでおり、それに挑戦することはない」と述べた。
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「トゥキディデスの罠」についてナイ教授は、ぺロポネソス戦争が勃発したのは、日増しに力をつけるアテネを前に恐怖心を拭えなかったスパルタとの間に戦争が起きてしまったためで、現在の中米関係はアテネとスパルタの関係とはまったく異なり、同様に扱うことはできないと語る。「現在米中両国の各レベルでの往来はますます増え、中国人観光客や留学生も両国と両国民の相互理解に貢献しており、知らぬがゆえに恐怖に陥るということはない。そのため、米中両国は『トゥキディデスの罠』を完全に回避することができる」と指摘した。また、中国が国際問題においてより重要な役割を発揮することが、アメリカの役割を削ぎ落とすゼロサムゲームだとする見方があるが、それは愚かだとも指摘する。「例えば、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立当初、他国の参加に反対した人がいたが、幸いオバマ政権がAIIB政策の調整を図った。TPPでは中国さえ意欲があれば、中国の加盟は今後いつでも歓迎されるだろう」
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国際関係における権力の移転についてナイ教授は、国家間の権力の移転や政府と国際組織、非政府組織間の権力の移転は正常な現象で、順応するということを学ばなければならないと指摘した。(編集IM)
その米中首脳会談、ほぼ同時期のローマ法王の訪米や、アメリカ下院議長のベイナーの辞任表明などというビッグ ニュースが重なり、多少、霞んでしまいました。現実的に、これだけの経済的相互依存のある核武装した大国同士が戦争をすることはまずあり得ないと思われます。いくら戦争産業で経済を回してきたアメリカでも、中国相手に戦争をするのはメリットよりもリスクの方がはるかに大きく、事実アメリカがこれまで戦争を仕掛けてきたのは力づくでなんとかなる小国相手です。米中が、例えば、冷戦中のキューバ危機のような状況になることが起こりうるか、と言えば、それは筋書きのあるショーとして以外には無いでしょう。米中が戦うことになるのは、あるとすれば、おそらく第三国間でのおそらく中東付近を火種とする戦争に巻き込まれるという形になると思います。その時には、無関係の土地で、最初に中国軍と戦って捨て駒にされるのは自衛隊でしょうな。
思うに、「中国が攻めてくる」というプロパガンダにのって戦争法案に賛成した人々は、この「トゥキディデスの罠」に陥っているとも言えます。中国政府が日本にどのような形で、何の目的で侵攻してくる可能性があるか、その場合にどういう対処ができるか、ということを具体的に考えれば、中国(政府軍)が日本に侵攻してくる可能性は、少なくとも現時点ではゼロと言って良いだろうと私は思います。罠に陥るのは相手を十分に知らないために生じる恐怖心であり、政府は恐怖心を煽ることによって国民をコントロールしようとするのです。かつての中国の反日政策が良い例でしょう。国民の不満が政府に向くのを抑えるために外敵を想定してプロパガンダを流すのは常套手段です。
読売と並ぶ経団連と与党のプロパガンダ新聞、産経はその社説で、米中首脳会談が平行線であったと述べ、特にアメリカが懸念を示した南シナ海への中国の進出について、「危険が高まった」と書き立て半中を煽り、暗に「安保法案」を後押しするかのような記事。さらに、読売によると、「安倍首相は米ニューヨークでの国連総会などで、習氏との首脳会談を模索しており、中国の強引な海洋進出に対し、日本政府としても働きかけを強める方針だ」との話。中国を名指しで批判して安保法案を正当化しようとしたアベ氏が、中国に何をいうつもりなのか、何を言ったとしても逆効果としか思えません。国連に行って余計なことをするぐらいなら、行かない方がましです。「小人閑居為不善、無所不至」とでも言われそうです。関西風に言えば「いらんことしー」。