福島原発事故から5年とちょっとが過ぎました。各種メディアが5周年に因んで、福島事故を取り上げています。
3/3号のNatureの記事Five years on from Fukushimaは、将来のエネルギー問題に向けて、海外の研究者らとの共同的研究を進め、原発事故の収束と代替エネルギーへの移行に向けて、努力するべきだ、というような論調で、アレっと思いました。
福島原発事故は、史上最悪の原発事故で、かついまだ進行中の重大な問題です。その重大事故の現状の評価と反省を新たにすべき節目の時に、Natureがフロントページを数ページも割いてわざわざ掲載するような内容の記事だろうか、と思いました。ピントがずれているというか、議論すべきはそこじゃないだろう、という感じです。「タイタニック号の甲板の椅子を並べ替える」という喩えをよく耳にしますが、厳しい現状と今後の事故収束への具体的な議論をすっ飛ばして、未来の話をされてもなあ、と思います。目の前に氷山が差し迫っているのに甲板の椅子の配置など気にしている場合ではないだろう、そう思わせる記事でした。よく見ると、記事を書いたのは東大の人々、うーむ、このような他人事のような、気の抜けたビールのような記事になったのは、すぐそばの霞ヶ関のせいですかね。
一方、普通のメディアは、事故の現状をまず具体的に評価し、今後の見通しについて議論しています。ロイターの配信。
[10日 ロイター] - 福島第1原発の原子炉で、溶融した高放射能核燃料を発見するべく送り込まれたロボットは「息絶えて」しまった。地下水の汚染防止をめざして、破壊された原発の周囲を囲む地下の「凍土壁」はいまだ完成していない。
そして、原発の敷地の周囲に増え続ける一方のタンクに貯蔵された高濃度汚染水をどう処理すればいいのか、関係当局は依然として途方に暮れている。
現在も福島第1原発の放射線は依然として非常に強く、炉内に人間が入って、非常に危険性の高い溶融した燃料棒の塊を発見・除去することは不可能な状態だ。
福島原発を運営する東京電力(9501.T)は、損傷した建屋から数百本の使用済み核燃料を撤去するなど、ある程度の前進を見せている。だが、同発電所内の他の3基の原子炉で溶融した燃料棒の場所を確定するために必要な技術はまだ開発されていない。
溶融した燃料棒は原子炉内の格納容器を突き抜け、現在の正確な場所は誰にも分からない。原子炉のこの部分は人間にとって非常に危険である。そこで東電では、溶融した燃料棒を探すために、水中での移動が可能で、損傷したダクトや配管のなかで障害物を乗り越えることのできるロボットの開発に取り組んできた。だが、ロボットが原子炉に近づくやいなや放射線によって回路が破壊されて役立たずになってしまい、進捗が大幅に遅れていると増田氏は述べている。ロボットは各々の建屋に合わせてカスタマイズしなければならない。単機能のロボットを開発するだけでも2年はかかると同氏は語る。、、、
作業の多くは、損傷し、高レベルの放射線に汚染された原子炉を冷却するための注水に関連している。その後、放射性物質を含む水は原子炉から汲み出され、敷地周辺で増殖しつつあるタンクに貯蔵される。福島第1原発の小野明所長によれば、100万トン近い汚染水をどう処理するかが、最大の課題の1つだという。、、、
そして、原発の敷地の周囲に増え続ける一方のタンクに貯蔵された高濃度汚染水をどう処理すればいいのか、関係当局は依然として途方に暮れている。
現在も福島第1原発の放射線は依然として非常に強く、炉内に人間が入って、非常に危険性の高い溶融した燃料棒の塊を発見・除去することは不可能な状態だ。
福島原発を運営する東京電力(9501.T)は、損傷した建屋から数百本の使用済み核燃料を撤去するなど、ある程度の前進を見せている。だが、同発電所内の他の3基の原子炉で溶融した燃料棒の場所を確定するために必要な技術はまだ開発されていない。
溶融した燃料棒は原子炉内の格納容器を突き抜け、現在の正確な場所は誰にも分からない。原子炉のこの部分は人間にとって非常に危険である。そこで東電では、溶融した燃料棒を探すために、水中での移動が可能で、損傷したダクトや配管のなかで障害物を乗り越えることのできるロボットの開発に取り組んできた。だが、ロボットが原子炉に近づくやいなや放射線によって回路が破壊されて役立たずになってしまい、進捗が大幅に遅れていると増田氏は述べている。ロボットは各々の建屋に合わせてカスタマイズしなければならない。単機能のロボットを開発するだけでも2年はかかると同氏は語る。、、、
作業の多くは、損傷し、高レベルの放射線に汚染された原子炉を冷却するための注水に関連している。その後、放射性物質を含む水は原子炉から汲み出され、敷地周辺で増殖しつつあるタンクに貯蔵される。福島第1原発の小野明所長によれば、100万トン近い汚染水をどう処理するかが、最大の課題の1つだという。、、、
メルトダウンした燃料をどうにかするどころか、その情報を知るための技術でさえ、今から開発するという話。早い話が、5年経っても、事故の収束に関しては、何も進んでおらず、汚染だけが広がっているということですね。
関して、首都圏の放射線ゴミ処理が問題化しています。
首都圏の汚染ごみ2.3万トン 基準下回る分、自治体負担の恐れ
東京電力福島第一原発事故で発生した放射性物質を含むごみ「指定廃棄物」の処分場建設は、事故から五年となる今もめどが立たない。その間に廃棄物の放射性物質濃度は低下し、一般ごみとして自治体が処理責任を負う恐れも出てきた。東北や関東など十二都県で保管中の指定廃棄物は計十七万トン。東京、神奈川、千葉、茨城、群馬、栃木の一都五県では計二万三千トン。
指定廃棄物は放射性物質濃度が一キログラム当たり八〇〇〇ベクレルを超えるもので、自治体の申請に基づき環境省が指定し、国が処理責任を負う。、、、国は二月、基準以下になった廃棄物の指定を解除し、一般ごみとして処分できるルールを発表した。
指定廃棄物は放射性物質濃度が一キログラム当たり八〇〇〇ベクレルを超えるもので、自治体の申請に基づき環境省が指定し、国が処理責任を負う。、、、国は二月、基準以下になった廃棄物の指定を解除し、一般ごみとして処分できるルールを発表した。
キロあたり8000ベクレルで普通ゴミというのはキョーレツです。1 g あたり8ベクレルです。しかも残っている核種は減衰時間の長いものでしょうから、これらの線量はそう簡単には減りません。ずっと放射能を出し続けることになります。かつて実験でよく使っていた半減期が2週間の32Pでも通常のプローブなどのラベルに一回に使う量は数ベクレル、それでも厳密にシールドをして、少しでも放射線が感知されるものは遮蔽容器に保存していました。それから考えるとキロあたり8000ベクレルというのは立派な放射性物質で、ガイガーカウンターを近づければピーピーとうるさいでしょう。そんなものが、普通ゴミとかありえない、というのが原発事故前の常識ではないでしょうか。結局、これまでの生物学的な見地から決められていた基準だと、放射線ゴミをどうにもできないので、人体に悪影響があるのは承知の上で、基準の方を変えたということですね。この小手先のゴマカシでその場、その場をを乗り切ればそれでよいというのが、日本の政府のやり方です。政府は国民を守るつもりはありません。やっているフリだけです。連中は自分たちの利益さえ守れれば、一般国民がどうなろうと知ったことか、というのが本音なのでしょう。これからも自分の身は自分で守るしかありません。「日本、xxね!」と言いたくなる気持ちも分かります。