百醜千拙草

何とかやっています

思考停止

2019-06-28 | Weblog
和をもって尊しとし、規律を守り、礼儀正しい日本人ですが、そんなことを言っている場合ではないだろう、と私は思うわけです。

福島の津波の時に車で逃げようとした人が、渋滞でおとなしく待っている間に津波に襲われ大勢が亡くなったと聞きます。渋滞しているなら、車を捨てて走って逃げるという当然の方法をなぜとらなかったのか、と後からみれば思うわけですが、あるいは、それは自分の頭で考え意志にしたがって行動を起こすよりも、回りに同調する方を選ぶ日本人的習慣がわざわいしたのではないかと想像します。

現在の社会も同様です。自分の意思に基づき自分で考えて発言し行動する人はまだまだ少数派であり、大多数の国民は「立憲民主主義」がなんたるものかを真に理解していないのではないかと思います。だから、アベがNHKに圧力をかけ、読売に提灯記事を書かせ、三原某が北朝鮮広報部のような内閣不信任案反対演説をすると、「おかしい、気持ち悪い」と仮に思っても声の大きいヤツに同調してしまうのでしょう。また、自分の意見を表明するというのは、日本では、はしたないとでも思われているようです。さらに悪いことに、自分の信じることを表明し行動に示す人を、安全な場所からコソコソと叩くのに、自分では考えもせず生産的なことをしない残念な人々も日本には大勢いるようで、こういう文化ですから民主主義はなかなか日本に根づきません。いじめ問題を見ても、個人を尊重する、相手の気持ちになって考える、そういうことができない人がまだまだ多いのだと思います。アベ一派はそれを知っているので、国民がバカになるように誘導しようとするし、それが奏功しているので、あれだけデタラメをやっても傍若無人でいられるのです。逆に、誰か声の大きい人が集まって、アベは裸だ、ただの邪悪な初老の小学生だ、と一斉に合唱すれば、思考しない付和雷同の人々は一気にアベを叩きだすでしょう。
一生懸命に国や社会や人々のことを考えている人も一票、単純に政府のプロパガンダに乗せられる人も一票で、日本の衆愚政治は成り立っております。

話がずれました。
客観的に眺めれば、日本の現状は世界のどの国も経験したことがない前代未聞、桁違いの悪条件にさらされており、十年後のこの国がマトモに存在しているかどうかも危ういと私は思っています。成長しない経済、悪化する一方の国民生活と急激な貧困化、世界のどの国もまだ経験したことのない急激な高齢化と少子化、世界の誰もどう処置してよいのか知らない世界最大レベルの原発事故。人間、二箇所を同時に攻撃されると動けないと言いますけど、今の日本、二箇所どころではありません。加えて、この解決困難の未曾有の危機に対処していかねばならない与党政府が、史上最悪の無能であるに加え、ウソとゴマカシで国民を欺いて国富を私物化することしか頭にないという現状ですから、冷静にこれらの事柄を理性的に数え上げれば、日本の将来の見通しに、背筋が凍らない方がおかしいです。

しかるに、やむにやまれず、声をあげ、行動する人々の一方で、多くの日本人は、無関心。それどころか、よくわかっていない人間ほど、わかったフリをして行動する人々を批判する。アベをみてもわかるとおり、愚か者ほど己の愚かさを理解しないが故に傲慢で浅慮です。
思うに、大多数の国民は、生活に追われて、社会や政治のことをフォローするような余裕がなく、深く考えるヒマがないのでしょう。あるいは、あまりの酷さに現実から目を背け、なんとかなるだろうと思考停止している状態ではないかと思います。そうでなければ、アベが三ヶ月も予算審議を拒否したままで国会閉幕をゆるすような社会であるはずがありません。アベがいまだにのうのうと首相をやっているという事実そのものが平均日本人の政治レベルの低さを示しているということだと思います。

「これまでなんとかなってきたから、これからもなんとかなるだろう」と思っているのかもしれません。しかし、「なんとかなる」のは、ピンチに際して人事を尽くした場合です。ピンチなのに単に何の努力もせずいれば、予想された通りのことしか起こりません。試験が迫っているのに試験勉強しなければ、落第します。落第してもなんとかなっていたのは昔の話。未曾有の国難に見舞われている日本、その国難を作り出したのがアベ政権。すでに凋落に加速度がつきつつある状態の日本、本当になんとかしないと、なんともなりません。

ついでに、
内田樹の研究室、「平行世界について」から。 http://blog.tatsuru.com/2019/06/25_0614.html
、、、、
『菊と刀』に類するものを大日本帝国戦争指導部は持っていなかったし、そもそもそんなものが必要だとさえ思っていなかった。自分が戦っている当の敵国について「勝ったらどうするか」を考えていない国が戦争に勝てるはずない。
 僕は現代日本人が抱えている本質的な問題はここにある気がするんだよ。それは「あり得たかもしれない世界」について考えないこと。僕らがこれから先の日本社会をどのようなものにしたいかを考えるときに絶対に外せないのは「あのときに、あっちへ行かずにこっちへ行っていれば、出現したかもしれない世界」、言い換えれば「さまざまな並行世界」をリアルに想像することだと思うんだ。
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大勢の日本人が、社会のありうる姿について考えず、なんとかなると楽観視しているように思います。自民党がこの調子で居座って、消費税増税、年金削減、非正規雇用、外国人労働者使い捨て、弱者いじめ金持ち優遇、福祉削除、民営化で質の低下したインフラ、、、そんな世界、想像したら寒気がすると思うのですけど。


コメント
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