百醜千拙草

何とかやっています

分断

2020-11-06 | Weblog
分割統治、団結を防ぐ、は植民地運営の基本ですけど、二大政党政治のアメリカ、そのプロトタイプのイギリスの議会政治は、国民に対してそれを行うことで権力者を守ってきました。赤組と青組、田舎に住む人、都会に住む人の立場の差に基づいて異なったアプローチでそれぞれの幸福の追求により有利になるような政党、代表者を選ぶわけですが、どちらを選んだところで大差はないのは現実です。

しかし、アメリカ大統領は強い権限を持っており、例えば、今年のトランプの反中国政策で中国人学生や研究者がアメリカでの研究活動ができなくなり、アメリカの研究界も大きく影響を受けました。ジョージブッシュの時代にはステムセル研究は「悪魔の行いだ」と言って、ヒト ステム細胞を使った研究に連邦資金を使用するのを禁じ、アメリカのステムセル研究を後退させました。

トランプを選んではいけない理由は、その虚言癖と反知性です。まさに人間が人間たる資質である知性や論理的思考を否定し自分の利益のみを考えて他人の迷惑を省みない恥知らずで利己的な人物が世界の大国のリーダーであるというのは悪夢でしかありません。しかるに、そうした人物を多くのアメリカ人は支持しているという現実があります。

トランプを支持する人々は現状に不満を抱いており、トランプを既得権益享受者と戦う人間だと誤って認識しているのでしょう。同じことが大阪維新を支持した大阪市民にも言えると思います。維新の実体を見れば、与党の補完勢力であのは明らかです。アベに頼まれて強引に森友の認可を出したのは松井。公明党と次の衆院選で選挙調整を行うという密約で公明党を大阪市廃止に引きずり出してきた維新。住民投票で大阪市廃止が否決されたたあと、自らヤケクソになって密約を暴露しました。そもそも、大阪市を政令指定都市から格下げして、市の権限を取り上げて、府の下に置いて市民に不利益を与えるような政策を市長自らが旗振りをしているという異常。それで独裁体制が拡大して得をするのは市民ではなく維新という政党。それを改革だとか成長戦略だとかと言って、あたかも旧体制の既得権益という仮想敵と戦うようフリをし、戦う、戦わない、という二択で市民を分断したわけですが、冷静になって見れば実は維新そのものが既得権益者だったというくだらないオチです。

アメリカ大統領選もイギリスの議会も同じことが言えるでしょう。紅組と青組が戦っているように見えますが、国民から見れば彼らはどちらも同じ側にいます。日本も同じ。典型的例が五十五年体制時の自民党と社会党ですね。そうやって社会党はガス抜きをし自民党は権力を維持してきました。

今回の大統領選、トランプは四年前と同じ分断作戦を取ってきました。敵と味方に分断し、アメリカ国民同士が敵対し憎しみあうように煽ってきました。統治者からすれば、国民同士がいがみ合っていれば、ラクです。私は、その一点においてだけでも、トランプが引き続いてアメリカのリーダーであり続けることに反対です。分断化され、感情的に煽られた人々は、不満を他の人種、他のクラスに向け、容易に暴徒化します。この一年に起こった人種差別に基づくありえないような警官などによる殺人事件などを見ると、単に彼らが精神的に未熟だというだけでなく、彼らの心の奥底にある不満に対象を与えることによって、意図的に誤った方向に誘導しようとするような国のリーダーに責任が大きいと思います。その動機はアベと同じ、自己利益。国や国民のことなど考えておらず、彼らを利用して自分の権力を保つことだけが目的というみみっちさ。それがアベにしてもトランプにしても誰からも尊敬を得られない理由でしょう。リンカーンやケネディーの演説は人々の共感を得て、後世に残りましたが、トランプの言葉が後世に残るとすれば、そのバカバカしさと愚かさゆえのジョークのネタとしてでしょう。

まもなく、ネバダとジョージアの票が確定し、帰趨が決するわけです。バイデンは投票後、分断されたアメリカの問題に触れ、「アメリカ合衆国という一つの国を運営していく」と融和を訴えましたが、トランプはアベのように最後まで「あんなひとたち」には負けない、とでも言うのでしょうね。
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