変わりなく、低め安定の日々です。
週末はダラダラとyoutubeで音楽ビデオなどを見て過ごしました。才能ある若い人々の多くの音楽ビデオを見ると感心します。クラシックだと技巧を誇るような曲が多くアップされていて、凄いなー、世の中には才能のある人々で溢れているなーと思います。(おそらく、Youtube用にそういう演奏をわざわざ選んでいるのでしょうけど)そうした派手な演奏の合間にバッハのピアノやバイオリン曲を聞くと非常に心に沁みます。バッハの音楽は詩だとか、神の声、だとかいう表現をよく聞きますけど、音楽というジャンルを超えたものだと私も思います。
ところで、最近のHerbie Hancockの演奏をふと見たら、FAZIOLIというイタリアのピアノ会社のピアノを使っているのに気づきました。このメーカーは比較的新しいピアノメーカーのようで、クラッシックの人もこのメーカーのピアノを使い出しています。かなり贅沢に作ってあるそうで、10年ほど前に、カナダに輸入されたときのニュースの表現によれば、FAZIOLIはピアノのフェラーリと喩えられていました。ハイエンドモデルだと一億円ぐらいするのもあるらしいです。オーソドックスなものあれば、モダンデザインのものあります。
これが最高級モデル。従来の3ペダルに加えて、4つ目のペダルが左端に見えます。このペダルはハンマーの振幅幅を減らせて、音調を変えずに小さな音を速いパッセージで出すことができるそうです。
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特注モデル
ニューヨークデザイン
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白いピアノ
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このモデルは日本の寺院に使う木材を使ったもの(KENGO KUMA model)
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きっと派手な曲を弾く人が好むのだろうと思っていたら、バッハ弾きのAngela Hewittがこのピアノを使っているのだそうです。Hewittによれば、FAZIOLIはクリエイティブなピアノという評価。ピアニストをクリエイティブにするという意味でしょうけど、だからこそ、バッハの詩のような曲を弾く人も好むのかもしれません。彼女は2003年からF-278という特注ピアノをレコーディングやコンサートで使ってきたそうですが、昨年、ベルリンでのレコーディングのあと、ピアノ搬送作業中の事故で、ピアノは修復不能なダメージを受けてしまったそうです。
私が興味があるのは、どうして新しい後発メーカーであるFAZIOLIがスタインウェイやその他の大御所のピアノメーカーと勝負して、これほど高評価を受けるピアノを作れるのかということです。ヤマハがこれほど世界を制覇しているのに、多分、プロはヤマハよりはスタインウェイを選ぶことが多いでしょう。思うに、ピアノ作りの技術や精度を超えたところに、老舗メーカーと後発メーカーの差があるのではないでしょうか。研究室でも同じことで、有名研究室のシステムをコピーし、それを改善したからといって、簡単に追いつけることはありません。多分、FAZIOLIはスタインウェイにはない何か凄いものを見つけたのでしょう。そういうものは、バッハやマイケル ジャクソンのように神に選ばれた限られた人に許されるもので、普通の人の努力や根性では到達できないものなのだろうと想像しています。