百醜千拙草

何とかやっています

付加疑問についての付加的疑問

2021-07-06 | Weblog
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、、、すでに全国の自治体からワクチン供給不足の悲鳴があがっていた6月27日、河野大臣はお得意の英語で発信している自身のTwitterアカウントに、世界のコロナ関連データを集計している「Our World in Data」の「人口100人あたりの1日のワクチン投与量」(7日間平均)の表を貼り付けた上で、こんな投稿をおこなったのだ。
〈Vaccination in Japan. Not bad, isn’t it?〉(日本のワクチン接種。悪くないでしょう?)
 、、、、だが、あまりに当たり前の話だが、この表で最下位のアメリカや低い水準のイギリスといった国は今年1〜2月の段階から接種をスタートさせており、すでにかなりの量を接種し終えている。対して日本は、それらの国から遅れに遅れて接種をスタートさせ、ここ最近になって急激に右肩上がりとなっている。、、、

問題のツイートの返信欄、見てみましたが確かにボコボコですな。

私、最初に「ん?」と思ったのは、"Not bad, isn't it?"と表現です。私はこれは、否定のあとの付加疑問なので、"Not bad, is it?"の誤りだと思ったのですけど、どうも色々解釈の仕方があるようで、"Not bad"は"good"のことであるから、"isn't it?"が正しいという人もあるようです。つまり"Not bad"というのを"It is not bad"という文章の省略形ととらえるか、一かたまりの言葉として捉えるかによって、否定にも肯定にも解釈でき、その解釈によって"isn't it?"か"is it?"が選択されるということです。ま、どっちでも誰も気にしないでしょうけど。ちなみに、英語でTag questionは、こうした典型的な例にとどまらず、多くのバラエティーを含むようです。例えば、It is good, yes (no)?といったのもそうで、この場合、付加される言葉は肯定でも否定でもいいです。"Do me a favor, will you?"というのもあります。この場合は、付加疑問というよりは、単に"Will you do me a favor?"という文章の倒置形と解釈すべきなのかも知れません。一方、"Let's play together, shall we?" の場合は、単純な倒置と解釈すると"let's"が冗長ですから、付加疑問と考えるべきではないかと思いますし、とすると付加疑問は否定系となるのが自然ではないかと思います。しかし、"Shall not"の省略形、"shan't"はあまり使われているのを見たことがないので、慣例上、否定形にしないのかも知れません。とはいえ、付加疑問だとすると動詞が一致していないのもおかしいですが。

そういえば、現在形一人称のBe動詞の"am"が動詞の場合の付加疑問もあまり目にしません。私が記憶にあるのは、ミュージカル"Oklahoma"でのペルシャの行商人Ali Hakimのセリフ、"I am a peddler, ain't I?"です。"Ain't"は口語の否定文では非常に柔軟に用いられますが、おそらく"ain't"の唯一正式な使用法は"am not"の省略形のみだと思います。

ちなみに、フランス語で"isn't it?"にあたる付加疑問、"n'est ce pas?"は、前の文章の肯定否定、動詞の種類などと呼応しないので、単純に文の終わりにつければいいようです。
コメント
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