百醜千拙草

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地獄の三年

2022-06-07 | Weblog
ロシアはまたキエフを攻撃しだしたようです。その目的はどうも西側から供給される武器を断つためのようです。そもそもロシアのウクライナ侵攻の目的が、近年、アメリカから大量の武器供給を受けてきたウクライナが露骨にNATO入りを希望している状況で、ウクライナがロシアの脅威となることを阻止すること(少なくとも表向きは)だったわけです。戦争の長期化に伴って、西側がどんどん武器を供給することは、対話の可能性を狭めて、火に油を注ぐようなもので、逆効果です。ロシアにしても攻撃を強めることは、マントを力ずくで脱がせようとする北風のようなもので、お互いに引くに引けなくなっています。こういうのを泥沼というのでしょう。

加えて、イギリスとアメリカがウクライナに前線に配備するための50マイル射程の長距離ミサイルを供給するというニュース。「専守防衛のため」とは言っていますが、その気になればロシア領内を攻撃することも可能であり、プーチンは「もしもロシアが脅威に晒されるなら、新たに攻撃を加える」と釘を刺しています。

いまとなっては、停戦を実現するためにはアメリカが逆方向に動くしかありません。戦争を煽るのではなく止めることに集中すべきでしょう(本気でウクライナのことを考えているならば)。アメリカでなければ他のNATO諸国が一致して、バイデンに停戦調停をするよう説得するしかない。戦争を止めるには、どう考えてもアメリカが、ロシアとウクライナの停戦交渉に当事者として臨むしか手はないのに、当のアメリカが、自国が戦場にならないことをよいことに、戦争を煽り立てているという救いのない状況です。終わったころにはアメリカの希望通りロシアは消耗しているでしょうが、ウクライナも激しく荒廃し簡単には立ち直れない状況になるでしょう。

さて、日本。岸田政権、最初からわかっていましたけど、無能、不誠実、悪質なのは、アベ スガ並み。アベのように聞いているだけで不快感を与えるようなアクもなく、スガのように喋れなくて立ち往生するわけでもないのが、却って悪性です。中身はあかわらずアベ スガ以上にスカスカ、対米隷属路線は全く変わらず。生活苦を訴える国民が5割以上もいるのに、バイデンに言われるまま軍事費をGDP2%レベルに引き上げ、戦争放棄している日本を世界第三位の軍事大国にしたいらしい。そんなレベルでは本気でやりあえば中露にはとても敵わないです。アメリカは、それでも有事の際は日本を東アジアでの中露の防波堤として使い捨てればいいし、それまではアメリカ産の武器を言い値で買ってくれればよいと思っている。戦争になれば、ちょうど日本を今のウクライナのように、武器だけ供給して「日本軍」に戦わせて、捨て石にするでしょう。

首相は「財源は?」と聞かれても、もちろん答えられない。消費税を上げ、年金額を引き下げ、社会保障予算を削ればよいなどと選挙前には言えないのでしょう。結局、選挙が終われば、与党にとれば無敵の三年が訪れるのです。その間、増税と改憲を進めて、アメリカに財産も生命も貢ぐ。国民にとっては地獄の三年。

日本が近年、驚くべきスピードで自滅し、地盤沈下し、世界から取り残され、貧困化してきたことの直接の原因は自公政権、それから、見境なくSLAPP訴訟を乱発し言論人に嫌がらせをする自民党の下請け、チンピラ政党の維新であることは間違いありませんけど、そもそも、彼らをのさばらせ、腐るに任せてしまったのは国民ですから、結局は自業自得ではあります。

参院選で与野党が逆転することは、まずないでしょう。その後の三年で、国民生活の破壊はますます進行することになります。希望があるとすると、唯一の市民政党である「れいわ」の躍進でしょう。かつて国民政党としてアメリカと企業と国民との利益バランスを調整していた自民党は二十年前に消滅しました。今はただの権力保持マシーンです。アメリカに逆らえば田中角栄のような目に遭い、隷属していれば権力の座を維持できる、故にアメリカの要求はすべて二つ返事。組織票だけで票が十分あるから企業を優遇し国民の富は彼らに付け替え、消費税を上げて企業は減税する。酒類供与をうけたサントリーには酒税法の改定を見送る(ああ、みみっちい)。かつての自民党のように面従腹背でアメリカの搾取から国民と国の富を守るという知恵も工夫もないただの権力の操り人形となりさがったのが、小泉政権以降の自民党で、アベ政権で腐敗が一気に進み今に至ります。

日本が立ち直る可能性があるとすれば、現時点ではまだまだ先が長いが「れいわ」勢力の拡大しかないように思います。山本太郎の「与党にも野党にも嫌われる政党を目指す」という言葉の意味は、政策実現のためには手段を選ばないということでしょう。逆に言えば、政策が実現するのなら、権力にはこだわらないということです。「れいわ」は、アメリカで温暖化対策を進めたい市民によるSunrise movementのやり方を参考にしているようです。アメリカではこの市民活動から数人の強力な議員が誕生し、民主党を動かしました。プロの政治屋ではない当事者市民による市民のための政治を支えたのは市民のSNSなどによる地道な運動でした。そう思いながら、これを書いています。
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