参院選の争点は国民生活、すなわち経済政策にしないといけない、とれいわの山本太郎は言いました。事実、衣食足りて礼節を知るですから、今は防衛とか憲法9条の話をしているような余裕はありません。国防も憲法も、まず国民が普通に喰っていけてからの話ですけど、「透明人間」キシダは、改憲は喫緊の課題だと言う(というか、言わされている)。与党にしてみれば、経済の話をされるのが一番困るのでしょう。とにかくこの参院選さえ乗り切れば、あとの3年はやりたい放題だと思っているのです。
あえて、真面目に反応すれば、国民生活が困窮し、食料自給が不可能という時点で、日本の国防はすでに破綻しています。自前で食料もエネルギーも調達できない国が、戦争になって勝てるわけがない。戦争になってエネルギーと食料を絶たれたら、一週間ともちますまい。そうでなくても、ミサイルを数発、原発や都市部に打ち込まれたら即終了で、それを防ぐ方法はないのです。
現実をみれば、軍事費はいくら増やしても国は守れないのですから、こんな与太話を真顔でするのは、国民をバカにしているのです。与太話で国民を騙せると思っているのです。国防と軍事費増大の話をするのは、当然、彼らには、経済を争点にしたくないという目的以外に別の目的があります。大体、すでに世界五位の軍事大国である日本で、さらなる軍事費の増大を言うのは、さらにアメリカ製兵器を買ってアメリカ軍産と兵器をライセンス生産する国内軍需産業に儲けさせるためでしょう。これは、アメリカ主導での日本の軍事増強を義務づけた「日米相互防衛援助協定(8条)」(1954年締結)にはじまり、以後連綿と日本政府の対米隷属関係が現在にいたるまで強化固定されてきた結果であろうと思います。日米軍事同盟を利用して一部の国内企業が得をするシステムがあるのです。このことについては少し古いですが12年前の記事をご覧いただくと、防衛費が増えて儲かるのはアメリカ軍産に加えて、日本では三菱、川重、日本電気、富士通、東芝などなどと大企業であることがわかります。つまり、これらの国内軍需産業がアメリカにライセンス料を払った上で兵器を生産してもうけているということです。支払いは、言い値で日本政府。消費税によって企業減税を可能にし、防衛費の増大によってさらに大企業に金を回す、その見返りにそうした企業の組織票によって与党の権力と地位を維持してきたのが自民党の戦略だったわけです。投票率の低い日本では、企業にサービスすることが組織票によって自民党の地位を安定化することにつながるが、一般国民へサービスは票に結びつかないので、やらない。自民党のこの一貫した利己的態度は、原発事故への対処を見れば明らかに見て取れるでしょう。被害者を見捨て、加害者企業を助けるのは、被害者を助けても票にならないが、企業を助ければ票になるからです。利権でしか動かないのが自民党政治、と小沢一郎も言っています。
さて、今回のコロナと戦争の影響による不況と物価高という庶民の苦境に対して世界の国々がとってきた経済政策と真逆のことを日本政府はやってきました。いまや世界91カ国が今回の苦難に際して消費税減税に踏み切りましたが、日本政府は頑なに拒否しています。アメリカはやっていませんが、アメリカではそもそも消費税は日常必需品にはかかりません。日本では、生きていくのに必須のものにも容赦なくかけられ、国民がどんなに貧乏になって、収入がなくなったとしても、税金だけは取り立てられるという仕組みになっています。
与党政府、財務省は消費税は「社会保障の財源」として重要と言い続けてきましたが、このような状況では、消費税そのものが社会保障を破綻させていると言わざるを得ません。そもそも、前回、述べたように、税金は「財源の確保」が目的ではありませんし。
先日TVの討論会で、山本太郎はその与党政府の言い訳の矛盾をついて、消費税増税のときだけ「財源論」をもってくるが、企業減税や軍事費増強などに際して「財源」の話が出たためしがない、と指摘。なぜなら「財源」を云々するのは増税のためのただの言い訳に過ぎないからです。かつて自民党の会合でアベは「カネがないなら刷れば良い、20円のコストで一万円札が刷れる」と言いました。自民党も財源論はウソであることを解って言っているのです。
それに、消費税税収も他の一般税収も区別されて国庫に入るのではありません。納められた時点で一緒くたにされるのです。だから、れいわが主張するとおり、「消費税の7割以上が企業減税の穴埋めに使われている」という表現は全く正しいのであって、先日の日曜討論での自民党の高市氏の主張こそがデマです。
随分、脱線しました。日本政府は、本来、税を通じて行うべき景気の安定と格差の縮小(税金の4つの目的の1と2)の真逆のことを消費税を通じて過去30年間やり続け、「社会保障の財源にする」というウソの言い訳を続けてきたわけです。その理由は、すでにもう述べましたが、自民党と経団連企業との相互利益関係であるのは間違いありません。キシダは「財務省と資本家の犬」だと先日、国会で罵倒されましたが、飼い主にエサをぶら下げられて芸をさせられているという意味ではこの表現は的確と言えるでしょう。企業の組織票、全有権者の2割弱の票をもっていれば、余裕で与党でいられるような低投票率の国であるということが、自民党が一般国民ではなく、企業の方ばかりを見ている理由です。しかし、一般国民一人一人が「票」というエサを持っているのですから、国民がキシダに芸を仕込むこともできるのです。
また長くなってしまいましたので、続きは次回。