奈良新聞に連載中の「大和の経済人 ざっくばらん」は、いつも楽しく読んでいる。半6段(1頁の1/4以上)という広いスペースに、詳細なインタビュー記事が出る。第19回(4/21)に登場した経済人は、吉野葛の黒川本家(宇陀市大宇陀区)代表・黒川重之氏だった。込み入った話を、三浦孝仁記者がうまくまとめている。見出しは「需要が減少した本葛 復権へ茶房オープン」だ。
黒川本家は1615年、京都で創業。後に水の良い場所を求めて大和に移り住む。明治初期から宮内庁の注文を受けるようになった。《今も催事や来賓を迎えられる時に、同庁大膳課から注文がある。昭和20年ごろは桜井駅で貨物列車に、三輪素麺の木箱と一緒に葛の梱包(こんぽう)を積み込んだことを覚えている。葛は昭和30年代まで日本の伝統的食材として知られていた》。
その後、日本人の食生活の変化で、葛の需要は大きく減少。家族経営の和菓子店も、昭和30年代と比べると8割近く減少(廃業)した。40年代からは量販店などで、葛粉をほとんど含まないのに葛の名を付けた安価な菓子が出回るようになった。
本年3/20、東大寺門前にオープンした「ふれあい回廊 夢しるべ 風しるべ」に初の茶房をオープンした。《製造・卸に徹してきた黒川本家として、ある種実験的な試みといえる。茶房のメニューは葛きりや葛餅などの定番商品と、葛・ブランマンジェなど洋風のものがある。いずれも幅広い年代に支持されている》。
このお店のことは、以前当ブログで紹介したことがあるが、この記事を読んで再び訪ねてみることにした。
※黒川本家の「葛あんかけ丼」(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/e88b3762af71622ffaa8c6998aa04b04
冒頭の写真は「本日のランチセット」(@1700円)の1つである。「奈良のうまいもの」である「大和肉鶏照焼丼」とスープ、イチゴの「葛・ブランマンジェ」、コーヒーがセットされている。照焼丼にはたっぷりの鶏肉が載り、半熟卵をからめると旨さが引き立つ。こんな食べ方があったとは、気がつかなかった。
さて目当ての葛・ブランマンジェであるが、「ブランマンジェ」は直訳すると「白い食べ物」だ。牛乳や生クリームをゼラチンで固める。牛乳プリンのような、杏仁豆腐のようなデザートだ。葛・ブランマンジェはゼラチンや寒天のかわりに吉野本葛を使う。イチゴのソースをからめていただくと、とろりと口の中でとろけるような食感で、とても美味しい。甘さもちょうど良い。
記事に戻る。粗悪な商品からブランドを守るため、黒川氏が会長を務める吉野葛製造事業協同組合は、「吉野本葛」(吉野晒し製法で作った葛澱粉100%のもの)と「吉野葛」(葛澱粉とサツマイモ澱粉が半々)を地域団体商標制度に登録した。
氏は《全国葛製造事業協会では、葛を使った和菓子の作り方などを写真を織り交ぜ、業界誌に連載する。葛の基本的な使い方を再認識してもらいたい。県内の和菓子店にも吉野本葛を使った商品の提案をお願いしたい》という。
吉野葛(本葛)というと、どうしても高価というイメージがある。「夢しるべ…」店のランチセットにしても、当初は1200円(丼とスープのみ)だったのが、今は葛のデザートと飲み物(コーヒーまたは紅茶)とのセットで1700円になっている。
葛きりや葛餅は、加賀ほうじ茶とのセットでそれぞれ1100円と950円。葛・ブランマンジェや葛スイーツも、基本的には飲み物(コーヒーまたは紅茶)とのセットで950円(単品では630円)になっている。
飲み物などと一緒に、ゆったりと葛菓子を味わってほしい、という意図なのだろうが、これが受け入れられるかどうかが1つの試金石となろう。大和の良さは、のんびりゆったり、しかも本物志向。そんな大和を象徴する吉野葛が、どのように迎えられていくか、見極めたいと思う。
※参考記事:新感覚!葛かけご飯(JanJan)
http://www.news.janjan.jp/area/0804/0804134815/1.php
黒川本家は1615年、京都で創業。後に水の良い場所を求めて大和に移り住む。明治初期から宮内庁の注文を受けるようになった。《今も催事や来賓を迎えられる時に、同庁大膳課から注文がある。昭和20年ごろは桜井駅で貨物列車に、三輪素麺の木箱と一緒に葛の梱包(こんぽう)を積み込んだことを覚えている。葛は昭和30年代まで日本の伝統的食材として知られていた》。
その後、日本人の食生活の変化で、葛の需要は大きく減少。家族経営の和菓子店も、昭和30年代と比べると8割近く減少(廃業)した。40年代からは量販店などで、葛粉をほとんど含まないのに葛の名を付けた安価な菓子が出回るようになった。
本年3/20、東大寺門前にオープンした「ふれあい回廊 夢しるべ 風しるべ」に初の茶房をオープンした。《製造・卸に徹してきた黒川本家として、ある種実験的な試みといえる。茶房のメニューは葛きりや葛餅などの定番商品と、葛・ブランマンジェなど洋風のものがある。いずれも幅広い年代に支持されている》。
このお店のことは、以前当ブログで紹介したことがあるが、この記事を読んで再び訪ねてみることにした。
※黒川本家の「葛あんかけ丼」(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/e88b3762af71622ffaa8c6998aa04b04
冒頭の写真は「本日のランチセット」(@1700円)の1つである。「奈良のうまいもの」である「大和肉鶏照焼丼」とスープ、イチゴの「葛・ブランマンジェ」、コーヒーがセットされている。照焼丼にはたっぷりの鶏肉が載り、半熟卵をからめると旨さが引き立つ。こんな食べ方があったとは、気がつかなかった。
さて目当ての葛・ブランマンジェであるが、「ブランマンジェ」は直訳すると「白い食べ物」だ。牛乳や生クリームをゼラチンで固める。牛乳プリンのような、杏仁豆腐のようなデザートだ。葛・ブランマンジェはゼラチンや寒天のかわりに吉野本葛を使う。イチゴのソースをからめていただくと、とろりと口の中でとろけるような食感で、とても美味しい。甘さもちょうど良い。
記事に戻る。粗悪な商品からブランドを守るため、黒川氏が会長を務める吉野葛製造事業協同組合は、「吉野本葛」(吉野晒し製法で作った葛澱粉100%のもの)と「吉野葛」(葛澱粉とサツマイモ澱粉が半々)を地域団体商標制度に登録した。
氏は《全国葛製造事業協会では、葛を使った和菓子の作り方などを写真を織り交ぜ、業界誌に連載する。葛の基本的な使い方を再認識してもらいたい。県内の和菓子店にも吉野本葛を使った商品の提案をお願いしたい》という。
吉野葛(本葛)というと、どうしても高価というイメージがある。「夢しるべ…」店のランチセットにしても、当初は1200円(丼とスープのみ)だったのが、今は葛のデザートと飲み物(コーヒーまたは紅茶)とのセットで1700円になっている。
葛きりや葛餅は、加賀ほうじ茶とのセットでそれぞれ1100円と950円。葛・ブランマンジェや葛スイーツも、基本的には飲み物(コーヒーまたは紅茶)とのセットで950円(単品では630円)になっている。
飲み物などと一緒に、ゆったりと葛菓子を味わってほしい、という意図なのだろうが、これが受け入れられるかどうかが1つの試金石となろう。大和の良さは、のんびりゆったり、しかも本物志向。そんな大和を象徴する吉野葛が、どのように迎えられていくか、見極めたいと思う。
※参考記事:新感覚!葛かけご飯(JanJan)
http://www.news.janjan.jp/area/0804/0804134815/1.php