![]() | 日本民俗大辞典〈上〉 |
福田アジオ ほか編 | |
吉川弘文館 |
今朝(1/6)の奈良新聞最終面は、巳の神さま特集である。大神神社の巳(みぃ)さんの神杉、汁かけ祭り(御所市・野口神社)、鍵・今里の蛇巻き(田原本町)、すすつけ祭り(橿原市・人麿神社)などが、藤井博信さんのきれいな写真とともに紹介されている。私は今日、奈良交通の「開運!巳の神さま詣で」(奈良まほろばソムリエと行く 深イイ奈良旅)に参加して、講師役(ガイド)を務める予定だ。
車中でお話ししようと、巳年にちなんで蛇に関する蛇に関する格言などを調べてみた。Googleで検索すると、劉克華氏の「蛇と日本文化」(2005年 愛知工業大学研究報告)という論文がヒットした。『日本民俗大辞典』から、興味深いことわざなどを引用されている。孫引きになるが一部を紹介すると、
○蛇が道を横切ると悪いことが起こる(宮崎県)
○蛇に道を横切られると持ち物を落とすから、道を横切られた時は一歩退け(奈良県吉野郡)
○蛇を三匹見ると夜はご馳走がある(兵庫県赤穂地方)
○蛇がトグロを巻いているのを見ると良いことがある(兵庫県赤穂地方)
○蛇の交尾を見れば吉(千葉県南総)
○蛇の番(つが)うのを見れば、子を孕む(青森)
○蛇が番っているとき前垂れをかぶせたら、福を得る(奈良)
○帯を枕元に置いて寝ると蛇の夢を見る(各地)
○蛇の夢を見れば験(げん)が悪い(三重県四日市)
○蛇の夢を見れば、よくないことが起こるから、氏神様にお参りしなければならない(長野県)
○蛇が懐に入った夢を見るとお金が入る(兵庫県赤穂地方)
○蛇が家の下に生き埋めになると不吉なことがある
○蛇の穴へ女性が小便をすると取りつかれる
○沖で蛇の話をすると漁がない
○味噌桶の下に蛇が這うと味噌がだめになる
○倉の蛇を殺すと貧乏になる
○蛇の抜け殻を財布に入れると金が溜まる
○蛇の足より人の足見よ(無益な詮索するよりも自らを反省するほうがより大事だということ)
○蛇の曲がり根性(生まれつきのものを直すことが難しいと言う意味)
奈良県の「蛇が番っているとき前垂れをかぶせたら、福を得る」というのは、大丈夫だろうか。逆襲されそうな気がするが…。赤穂の「蛇を三匹見ると夜はご馳走がある」というのは、昔は蛇を1日に3匹も見る日があったということで、今よりよほど身近な存在だったことがうかがえる。
以前、「蛇 日本の蛇信仰(吉野裕子著)」のブログ記事で、蛇は「畏敬と嫌悪の矛盾を内在させている」というくだりを紹介したが、蛇を見ることが吉兆だったり、凶兆だったりするのは、そのあらわれなのかも知れない。巳年のこの1年、蛇のいろんな側面を見ることができそうだ。