3月19日(水)、第1回観光力創造塾(南都銀行主催)を開催した。観光関連事業者などを対象に、国内や海外からの宿泊観光客を奈良県に誘致することをねらいとして開いたものだ。今後も年2回程度、継続的に開催していく。
※写真はすべて、南都銀行社内報担当のMくんの撮影。さすがにお上手!
当日は、県下のホテル・旅館、土産物店や、自治体の観光関連部署、観光協会などの観光関連団体等から93名、報道機関や同行関係者などを含めると約110名のご参加をいただいた。奈良新聞(3/20付)「旅行者目線で魅力発掘 岐阜の成功例、手法紹介 南都銀行観光力創造塾 観光振興へ業者ら意見交換」によると、
南都銀行(植野康夫頭取)は19日、第1回観光力創造塾「本気で観光、頑張りますか?」を、奈良市登大路町の奈良商工会議所大ホールで開いた。観光関連業者や団体のメンバーら約110人が参加。講演やディスカッションを通して、観光振興への気持ちを高めた。
県内経済活性化を目的に企画。これまで単発的に同様のセミナーなどを実施したことはあったが、継続的に取り組むのは今回が初めて。まず、岐阜県観光交流推進局顧問の古田菜穂子さんが「感動資源を観光資源に!」で基調講演。観光資源の新たな発掘と同県独自の「宝もの」のブランド化など、同県がインバウンド(海外からの誘客)でトップクラスの伸び率を実現できた考え方、手法を紹介した。
また、同県ならではの体験の創造、既存の観光資源の見直し、ストーリーを持たせた旅の演出、メディア戦略、海外諸国への対応など、成功への秘けつを、実践例を挙げて解説。「奈良には素晴らしい資源が数多くある。日帰りではない独自の旅のスタイルを、国内外の旅行者の立場で考えてほしい」と話した。
このあと、古田さんや奈良市観光協会の鷲見哲男専務理事、ホテルサンルート奈良の中野聖子社長、南都経済研究所の山城満主席研究員がパネルディスカッション。観光への取り組みの現状と、今後の方策などについて意見を交換した。同塾は今後、テーマや内容を変えて、年2回程度開かれる予定。
基調講演講師の古田菜穂子さんのお名前は、以前、長岡光彦さん(奈良市観光協会事務局長)から教えていただいた。長岡さんは2012年7月26~27日にひだホテルプラザ(岐阜県高山市)で開催された「第29回飛騨高山観光大学」に参加され、「半日かけて飛騨高山に来るのは大変だったが、おつりが出るほど考えさせられ、勉強になったセミナーだった」というお話を聞き、配布資料を見せていただいた。私は「これはスゴい。いつかこの人を奈良にお呼びして、お話していただこう」と心に決めた。
「第1回観光力創造塾」の構想に取り組んだのは昨年11月。1回きりではなく、半年に1度実施する継続型のセミナーにしようと思い、「塾」と銘打った。1回きりのセミナーで済ませられるほど、観光業の世界は甘くない。メイン講師に古田さんを迎え、テーマは「宿泊観光客の誘致」にしようと考えた。
古田さんの起用が決まると、パネルディスカッションのパネラーは、知人の中からすらすらと決まった。大手旅行社から出向されている奈良市観光協会・専務理事の鷲見さん、ホテル業を営まれる傍ら、なら燈花会・なら瑠璃絵・なら国際映画祭などで活躍されるホテルサンルート奈良・社長の中野さん、ホテル・旅館経営に詳しい中小企業診断士の南都経済研究所・主席研究員の山城さん。パネルディスカッションのコーディネーター(進行役)は、私が担当することになった。当日の発言の中から、心に残ったものをピックアップすると…
古田菜穂子さん(岐阜県観光交流推進局顧問/プロデューサー)
○「清流の国」として岐阜県のブランドづくりをし、「岐阜旅スタイル」として観光の基幹産業化をめざして取り組みを始めた。大切なのは「成功体験を積み重ねていく」こと。そうすることで次につながる。またタテ割りでなく、全庁的かつ官民一体で事業に取り組む仕組みを作ろうとした。
○よく、観光課と文化財課が別になっていて、文化財を観光に活かせていない自治体がある。そういうタテ割りを排除して、伝統文化を観光資源としても活かすようにした。
○Webサイト「岐阜ポートフォリオ」で、自由に使える岐阜の写真を発信し、県の各部署でパンフレットに使う観光地などの写真イメージを統一できるよう、「トーン&マナー」(広告表現の一貫性を保つための表現のスタイルや方法などのルール)を整備した。
○パンフレット・ポスター・Webの多言語化を進めた。英・仏・タイ・インドネシア・ハングルなど。単に言語を変えるのではなく、国によって心の琴線に触れるものが違うので、パンフレットのつくりを変えた。海外の旅行博にも継続出展した。
○観光客数よりも観光消費額アップをめざした。「いかに高付加価値の岐阜の旅を作り上げ、それを認知して選んでもらうか」が大切。地域資源を見直すため知事に直談判し、4年間異動なしのスタッフもいた。
○インバウンド(海外からの誘客)には、まだまだ伸びしろがある。奈良県には豊かな観光資源がある。大切なのは、選択と集中への編集力。「奈良って、すごい」。そう口に出さずにはいられない奈良県のファンを増やそう。
長岡光彦さん(奈良市観光協会事務局長)が真っ先に質問された
鷲見哲男氏(公益社団法人奈良市観光協会専務理事)
○ホテル・旅館の施設数や客室数は少ないし、稼働率も低い。朝の奈良、夜のイベントなど、もっとブランディングしないといけない。「奈良に泊まらなければならない」という魅力づくりが必要だ。
○奈良市観光協会の観光案内所では、個人旅行のフランスやスペインのお客さまが多く、ここにポイントがあると感じる。また個人旅行化の進むアジアの先進的な地域に目を向けないといけない。
中野聖子氏(株式会社ホテルサンルート奈良代表取締役社長)
○今、一番力を入れているのが「なら国際映画祭」で、今年は実行委員長。映画祭は隔年の開催で今年は3回目。最優秀の「ゴールデンSHIKA賞」の副賞は、「奈良県内で映画を作ること」。奈良の映画が増えれば、地域振興になる。
○ホテルの稼働率は本当に低い。しかし当ホテルでも「高稼働・高価格」の時代があった。「安ければ泊まる」という今の風潮を打破したい。
山城満氏(一般財団法人南都経済研究所主席研究員)
○県下の宿泊施設は家族経営やその名残で経営の近代化が進んでおらず、管理会計のできていないところが多い。中長期的な設備投資など、経営の近代化をしないといけない。
○奈良と飛鳥の位置関係すら、あまり知られていない。県内の道路は、運転していても楽しくない。○○街道とか、○○ロードというPRの仕方もあるのではないか。
このシンポジウムに参加された金田充史さん(魚佐旅館)から、Facebookにコメントをいただいた。《参加させていただきまして、ありがとうございました。岐阜県の古田さん、楽しい方ですねぇ。まず、プロモーターは、こうでなくてはいけない、と思っています。(中略) 役所慣習に対する軋轢は想像するに余りありなのですが、それを顔に出さないのがイイですねぇ。また、来てもらう為のプロモートがおもしろい》というコメントをいただいた。
皆さんそれぞれの立場から、有益なお話をいただいた。発案者・運営者の私自身、とても勉強になった。さて次はどんなテーマにして誰をお呼びするか。早くも「次の一手」を模索しているところだ。皆さん、次回もぜひ、お楽しみに!
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※写真はすべて、南都銀行社内報担当のMくんの撮影。さすがにお上手!
当日は、県下のホテル・旅館、土産物店や、自治体の観光関連部署、観光協会などの観光関連団体等から93名、報道機関や同行関係者などを含めると約110名のご参加をいただいた。奈良新聞(3/20付)「旅行者目線で魅力発掘 岐阜の成功例、手法紹介 南都銀行観光力創造塾 観光振興へ業者ら意見交換」によると、
南都銀行(植野康夫頭取)は19日、第1回観光力創造塾「本気で観光、頑張りますか?」を、奈良市登大路町の奈良商工会議所大ホールで開いた。観光関連業者や団体のメンバーら約110人が参加。講演やディスカッションを通して、観光振興への気持ちを高めた。
県内経済活性化を目的に企画。これまで単発的に同様のセミナーなどを実施したことはあったが、継続的に取り組むのは今回が初めて。まず、岐阜県観光交流推進局顧問の古田菜穂子さんが「感動資源を観光資源に!」で基調講演。観光資源の新たな発掘と同県独自の「宝もの」のブランド化など、同県がインバウンド(海外からの誘客)でトップクラスの伸び率を実現できた考え方、手法を紹介した。
また、同県ならではの体験の創造、既存の観光資源の見直し、ストーリーを持たせた旅の演出、メディア戦略、海外諸国への対応など、成功への秘けつを、実践例を挙げて解説。「奈良には素晴らしい資源が数多くある。日帰りではない独自の旅のスタイルを、国内外の旅行者の立場で考えてほしい」と話した。
このあと、古田さんや奈良市観光協会の鷲見哲男専務理事、ホテルサンルート奈良の中野聖子社長、南都経済研究所の山城満主席研究員がパネルディスカッション。観光への取り組みの現状と、今後の方策などについて意見を交換した。同塾は今後、テーマや内容を変えて、年2回程度開かれる予定。
基調講演講師の古田菜穂子さんのお名前は、以前、長岡光彦さん(奈良市観光協会事務局長)から教えていただいた。長岡さんは2012年7月26~27日にひだホテルプラザ(岐阜県高山市)で開催された「第29回飛騨高山観光大学」に参加され、「半日かけて飛騨高山に来るのは大変だったが、おつりが出るほど考えさせられ、勉強になったセミナーだった」というお話を聞き、配布資料を見せていただいた。私は「これはスゴい。いつかこの人を奈良にお呼びして、お話していただこう」と心に決めた。
「第1回観光力創造塾」の構想に取り組んだのは昨年11月。1回きりではなく、半年に1度実施する継続型のセミナーにしようと思い、「塾」と銘打った。1回きりのセミナーで済ませられるほど、観光業の世界は甘くない。メイン講師に古田さんを迎え、テーマは「宿泊観光客の誘致」にしようと考えた。
古田さんの起用が決まると、パネルディスカッションのパネラーは、知人の中からすらすらと決まった。大手旅行社から出向されている奈良市観光協会・専務理事の鷲見さん、ホテル業を営まれる傍ら、なら燈花会・なら瑠璃絵・なら国際映画祭などで活躍されるホテルサンルート奈良・社長の中野さん、ホテル・旅館経営に詳しい中小企業診断士の南都経済研究所・主席研究員の山城さん。パネルディスカッションのコーディネーター(進行役)は、私が担当することになった。当日の発言の中から、心に残ったものをピックアップすると…
古田菜穂子さん(岐阜県観光交流推進局顧問/プロデューサー)
○「清流の国」として岐阜県のブランドづくりをし、「岐阜旅スタイル」として観光の基幹産業化をめざして取り組みを始めた。大切なのは「成功体験を積み重ねていく」こと。そうすることで次につながる。またタテ割りでなく、全庁的かつ官民一体で事業に取り組む仕組みを作ろうとした。
○よく、観光課と文化財課が別になっていて、文化財を観光に活かせていない自治体がある。そういうタテ割りを排除して、伝統文化を観光資源としても活かすようにした。
○Webサイト「岐阜ポートフォリオ」で、自由に使える岐阜の写真を発信し、県の各部署でパンフレットに使う観光地などの写真イメージを統一できるよう、「トーン&マナー」(広告表現の一貫性を保つための表現のスタイルや方法などのルール)を整備した。
○パンフレット・ポスター・Webの多言語化を進めた。英・仏・タイ・インドネシア・ハングルなど。単に言語を変えるのではなく、国によって心の琴線に触れるものが違うので、パンフレットのつくりを変えた。海外の旅行博にも継続出展した。
○観光客数よりも観光消費額アップをめざした。「いかに高付加価値の岐阜の旅を作り上げ、それを認知して選んでもらうか」が大切。地域資源を見直すため知事に直談判し、4年間異動なしのスタッフもいた。
○インバウンド(海外からの誘客)には、まだまだ伸びしろがある。奈良県には豊かな観光資源がある。大切なのは、選択と集中への編集力。「奈良って、すごい」。そう口に出さずにはいられない奈良県のファンを増やそう。
長岡光彦さん(奈良市観光協会事務局長)が真っ先に質問された
鷲見哲男氏(公益社団法人奈良市観光協会専務理事)
○ホテル・旅館の施設数や客室数は少ないし、稼働率も低い。朝の奈良、夜のイベントなど、もっとブランディングしないといけない。「奈良に泊まらなければならない」という魅力づくりが必要だ。
○奈良市観光協会の観光案内所では、個人旅行のフランスやスペインのお客さまが多く、ここにポイントがあると感じる。また個人旅行化の進むアジアの先進的な地域に目を向けないといけない。
中野聖子氏(株式会社ホテルサンルート奈良代表取締役社長)
○今、一番力を入れているのが「なら国際映画祭」で、今年は実行委員長。映画祭は隔年の開催で今年は3回目。最優秀の「ゴールデンSHIKA賞」の副賞は、「奈良県内で映画を作ること」。奈良の映画が増えれば、地域振興になる。
○ホテルの稼働率は本当に低い。しかし当ホテルでも「高稼働・高価格」の時代があった。「安ければ泊まる」という今の風潮を打破したい。
山城満氏(一般財団法人南都経済研究所主席研究員)
○県下の宿泊施設は家族経営やその名残で経営の近代化が進んでおらず、管理会計のできていないところが多い。中長期的な設備投資など、経営の近代化をしないといけない。
○奈良と飛鳥の位置関係すら、あまり知られていない。県内の道路は、運転していても楽しくない。○○街道とか、○○ロードというPRの仕方もあるのではないか。
このシンポジウムに参加された金田充史さん(魚佐旅館)から、Facebookにコメントをいただいた。《参加させていただきまして、ありがとうございました。岐阜県の古田さん、楽しい方ですねぇ。まず、プロモーターは、こうでなくてはいけない、と思っています。(中略) 役所慣習に対する軋轢は想像するに余りありなのですが、それを顔に出さないのがイイですねぇ。また、来てもらう為のプロモートがおもしろい》というコメントをいただいた。
皆さんそれぞれの立場から、有益なお話をいただいた。発案者・運営者の私自身、とても勉強になった。さて次はどんなテーマにして誰をお呼びするか。早くも「次の一手」を模索しているところだ。皆さん、次回もぜひ、お楽しみに!
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