tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

裸形阿弥陀仏の寺・璉珹寺(れんじょうじ)

2008年05月26日 | 写真
最近、ならまち(奈良町)周辺で「秘仏開扉 裸形阿弥陀仏 璉珹寺」という手作りの看板をよく見かける。寺名はとても難しい字である。璉珹寺は以前、みうらじゅんがテレビの取材(見仏記)で訪問していた。ご本尊は、木造白色の美しい裸の阿弥陀仏(トップ写真)で、下半身に袴(はかま)をつけている。

通常、仏像は男性でも女性でもないのだが、この仏さまは女性なのだそうだ。もとは袴を取り替える50年に1度だけしか公開されない秘仏だったが、約35年前からは毎年5月の1か月間だけ開扉されている。

ここでおさらいをしておく。奈良市内で裸形の仏像といえば、他に伝香寺(でんこうじ・小川町)の地蔵菩薩立像(=はだか地蔵・7/23公開)、新薬師寺(高畑町)のおたま地蔵(非公開)、西光院(高御門町)の弘法大師坐像(非公開)がある。



璉珹寺の所在地は、奈良市西紀寺町45だ。町名の「紀寺(きでら)」は、ここに建っていたといわれる古寺である。なお紀寺は、紀氏(紀貫之、紀友則など)一族の氏寺である。奈良検定公式テキスト(山と渓谷社刊『奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック』)には「紀寺跡」(明日香村小山=天香久山の西・橿原市境付近)の項目があり《創建当時は1辺226メートルの寺域をもつ大規模な寺院であったと推定される》《藤原京の廃都に伴って、平城京の東南部に移転したと推定される》とある。



先日、このブログをご愛読いただいている三河人さんから《仏さまも素晴らしく、境内は花々の香りでいっぱいでした》《ぜひ、このブログで採りあげていただければと思います》というコメントをいただいたので、訪ねてみることにした。 璉珹寺は市内循環「紀寺町」または「田中町」バス停から徒歩3分。南都銀行紀寺支店から南へ→崇道天皇社の並びでもう少し南、とたどると分かりやすい。興福寺五重塔や石段(五十二段)のほぼ真南になる。



境内に足を踏み入れて、驚いた。甘い香りが漂っているのだ。視覚より嗅覚が先に来るというのは、初めての経験だ。香りのモトは、境内一帯に咲いているニオイバンマツリ(匂い蕃茉莉)だった。「蕃」は外国、「茉莉」はジャスミンのことだが、調べてみるとジャスミンの仲間ではなく、南米原産のナス科植物だった。咲き始めは濃い紫色だが、開くにつれ、白色に近くなる。写真でお確かめいただきたい。



靴を脱ぎ、ご住職の下間景甫(しもつま・けいほ)さんのご案内で、仏さま(阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩など)を拝ませていただいた。その後は、再び前庭や中庭で花の写真を撮らせていただいた。下間さんは、とても気さくで親切な女性である(私と同年代だと後で知った)。上記写真のオオヤマレンゲはそろそろ終わりのようだったが、きれいな花を見つけていただき、撮りやすいように手で支えて下さった。



次の赤い花はスイセンノウ(酔仙翁)である。こういうあだ名をつけたい人は私の周囲に何人もいるが、ナデシコの仲間である。



この写真はヒルザキツキミソウ(昼咲き月見草)だ。エノテラの別名がある。アメリカ・メキシコ原産の多年草で、最近はならまち界隈の歩道などでもよく見かける。



最後は、花瓶に活けてあった一重咲きのバラ。まるで造花のような鮮やかさだ。他にもお庭で、米粒のように小さくて黄色いメキシコマンネングサ、オレンジ色のサツキなど、たくさんの珍しい花を見せていただいた。



座敷はミニ・ギャラリーになっていて、このお寺が一番好きだという河瀬直美さんの額(毛筆で「まごころ」)や、フランス人画家・ペドロ・ド・レオン氏の絵画作品(4点)も展示されている。秘仏ご開帳は今月末まで。ぜひ早めにお訪ねいただきたい。

℡0742-22-4887 9:00~16:00 拝観料300円
http://www3.kcn.ne.jp/~mamama/nara/temple/renjyouji-temple01.htm
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銭湯存亡の危機

2008年05月25日 | 奈良にこだわる
5/21付の朝日新聞奈良版に、銭湯の話題が大きく取り上げられていた。棟形祐水記者のレポートで、見出しは《財政難 老後の湯直撃 奈良市「無料券やめ1回100円」》だった。
http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000000805210003

記事によると《市内に計12ある銭湯は、利用客の8割が無料入浴券を利用するお年寄り》《入浴料は大人380円だが、奈良市は「老春手帳」を交付する市内在住の70歳以上の高齢者に対し、月15回分の公衆浴場の無料入浴券を配っている。これが見直し案では、1回あたり100円の負担を利用者に求めている》。

《風呂なし世帯の減少で銭湯の利用者は年々減るうえ、最近では「スーパー銭湯」と呼ばれる大規模店に若者や家族連れを奪われがち。原油高も追い打ちをかけ、燃料代は毎年のように2~3割上がり続ける。後継者難もあり、68年に県内に152軒あった銭湯は、06年には59軒と半分以下に減った。見直し案が実現すると、高齢者の客離れはさらに打撃となる》。市浴場組合の大西弘一組合長は《利用者の一部負担が始まったら、市内の銭湯の4分の1が廃業するかもしれない》と危惧する。

記事では、年金暮らしの方の《内風呂はあるが、水道代が重くのしかかるため、銭湯を愛用する。何より、近所の人との会話が楽しみだという。「しょっちゅう通えるのは無料だから。でも、負担が決まったら、年金暮らしだし、入浴の回数は減らさなあかんやろな」と顔を曇らせる》という話も紹介されていた。

私の同僚(奈良市在住)からも、同居している母親がしょっちゅう銭湯へ行って、ご近所の方との会話を楽しんでいる、という話を聞いた。この場合は、水道代や燃料代を惜しんで行っているわけではなく、純粋にコミュニケーションの場を求めているのだ。



私も学生時代には銭湯のお世話になっていた。生活の1つのアクセントのようなものだった。決まった時間に銭湯へ行き、帰りは本屋で立ち読みをしたり、食料品店でジュースを買ったりして下宿へ戻る。夏場は脱衣場に冷房が効いていたので、ゆっくり涼めるのも有り難かった。

だから後に家を建てても、スーパー銭湯のなかった頃は、家族で銭湯や、写真のお寺の浴場(霊山寺内の薬師湯殿)へよく立ち寄った。大きな浴槽で足を伸ばしていると、とてもリラックスできるし、同じ湯船に入っている人と会話もできる。これは他国にはない、日本の文化だと言えるかも知れない。

先日来、当ブログ記事(呉善花さんが語る「日本人の縄文的世界観」)のコメント欄でも、常連コメンテーターの蔵武Sさん、金田さん、横田さんがこの件について問題提起されていた。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/eec9d9a1ee6e06678436f966724f401a

金田さんの話が興味深かった。《少し前の探偵ナイトスクープに「風呂屋の番台に座りたい」と云う依頼がありました。この依頼主が、何と小学生なのです。また、こだわりが有って、梯子で上がる番台、ボイラーは薪炊き、富士山のペンキ絵、脱衣鍵は木札の大きいの、唐破風の門構え、等々の条件の風呂屋、だったのです。これが何と東京の目黒に残っていたのです》。

この依頼は、番組のホームページによると《大阪府の主婦(42)から。9歳の息子は、映画「ALWAYS三丁目の夕日」を見て以来、昭和にはまっている。昭和のドラマやグッズに興味を持ち、今では周りから“昭和オタク”と言われるようだ。そんな彼の夢は「銭湯の番台に座る」こと。その夢がかなえば、他のことにも興味を持つと思うので、彼の理想の銭湯を探して欲しい》というものだった。

金田さんの話は続く。《ペンキ絵はタイル絵に、番台はカウンターに、木札の鍵はコインロッカーに変貌しています。唐破風の門などは、言わずもがな、で有ります》《スーパー銭湯とは違うモノが風呂屋には有ります。私は、風呂屋を文化として残したかったら、むしろ補助金政策よりも、文化的価値の上がる様な改装や、変に高度成長期に省力化を推し進めた様な所を元に戻す様な改装に対する制度融資や、無担保無保証の政府系金融政策などで、風呂屋自体の魅力をブラッシュアップしていく、と云う手法が大切かと思います。補助金は、対症療法でしか無いですよ》。これは素晴らしい逆転の発想だ。

銭湯というのは、純粋に市場原理で考えれば衰退産業であり、内風呂やスーパー銭湯に代替される時代遅れの産物なのだろうが、一方ではこのように、歴史的建造物であり、社会福祉(お年寄りなど町内のコミュニケーション)の施設であり、町衆の文化を体現した施設ともいえる。これについては、ブログをご覧の皆さんから引き続きご意見(コメント)をいただきたいものだ。

なお蔵武Sさんは、上記記事のコメント欄で《奈良町にある銭湯が今月いっぱいで閉じることになった。菊岡漢方さんと奈良町物語館がある道を東に行った芝突抜町の寧楽湯だ。昨年か一昨年には市立図書館の南、東寺林町の奈良温泉も駐車場になってしまった。奈良町の魅力の一つは銭湯の存在にあると思っている小生には一大事》。

《そんなわけで24か25、あるいは31日に寧楽湯さんに浸かって銭湯を考える会を開いてみたい。近くに知人の古本屋があるので入浴の後はそこで麦酒飲みながらなんて、どうだろう。たぶん店主は歓迎してくれると思うが》と呼びかけておられる。ビールが飲めるのは「酒仙堂」という古本屋さんだ。お近くの方は、ぜひ。
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今夏も猛暑!

2008年05月24日 | 環境問題
5/22、気象庁は今年(08年)6~8月の3か月予報を発表した。《3カ月間の平均気温は、東日本は平年並みか高く、それ以外の地域は高い予想。記録的猛暑だった昨年のようになるかは不明としているが暑い夏になりそう》だという。
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008052201000397.html

私の職場では、すでに今月半ばから冷房が入っている。冷房をつけないと、昼間の室温は28℃を軽く超えてしまうのだ。まもなくクールビズの季節が始まり、室温は28℃に調節するが、それでも冷房が必要になる。これではあまり省エネにならないので、困ったものだ。

5/19付の産経新聞に、こんな話が載っていた。見出しは「パンジー人気でチョウ北上」(「生きもの異変 温暖化の足音」(20))だ。ツマグロヒョウモンは、《かつては、南西諸島から近畿地方にかけて生息していた南方系のタテハチョウの一種だが、急速に生息域を北上させ、数年前から関東や東北南部でも姿が見られるようになっている》。

《じつは温暖化以外にも、このチョウの分布拡大を加速させた要素がある》《幼虫が食べる植物はチョウの種によって異なり、ツマグロヒョウモンの場合は、スミレ類である。本来は野山に多いこの食草が近年、町中でも至る所でみられるようになっている。「パンジー」だ。野生スミレを園芸品種にしたパンジーは、以前は春の花の代表だった。ところが、現在のパンジーは、秋から冬を通して咲き続ける》。

それだけではない。ツマグロヒョウモンが大増殖しているもう1つの理由は《「年多化性」だ。1年のうちに複数回、世代交代をする性質のことである。ツマグロヒョウモンの場合は、4月ごろから11月ごろにかけて、4、5回も成虫が現れる。だから、開発にも強い。在来種のヒョウモンチョウ類のほとんどが年1回しか成虫にならない「一化性」なので、ツマグロヒョウモンの生命力は驚きだ》。
http://sankei.jp.msn.com/photos/culture/academic/080519/acd0805190753002-p1.htm



ツマグロヒョウモンの成虫は、年に4~5回現れる。幼虫がエサとするパンジー(三色スミレ)は品種改良により、冬の間も咲き続ける。いつでもエサにありつけるので、チョウの増殖は加速される。写真のツマグロヒョウモンは、06年3月に明日香村のミツマタの木で見つけたものだが、秋に生駒山麓で見かけたこともある。

もともとの強い生命力(年多化性)に温暖化、エサの品種改良が重なってツマグロヒョウモンが東北地方にまで広まっているということになる。チョウは大した被害をもたらさないからまだ良いものの、これが害虫とかベクター(病原菌の媒介昆虫)だとしたら…。

考えてみるだけでも寒気がするが、クールビズの季節にこんなことを想像してみるのも、意味のあることかも知れない。 

※冒頭の写真は夏の花の代表格・ユリ(イエローウィーン)。07.7.7「花空間けいはんな」(京都府相楽郡精華町)で撮影。
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うどん・そば 天馬

2008年05月23日 | グルメガイド
以前(4/28)、奈良市東向北商店街の「たかぎ」を紹介したところ、「ぜひ『天馬』も載せてほしい」というリクエストをいただいた。天馬は、たかぎと同じ商店街の、やや近鉄奈良駅寄りにあるビルの1階だ。
※田舎そば たかぎ(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/4eb47d60f03a95f072f0d925f09b624a

たかぎはそば・オムライス・丼物、天馬は各種のうどんとそのセット(定食)、という棲み分けができている。写真は「温泉玉子と小エビ天のそぼろ丼定食」(890円)だ。麺類は温・冷10種類のうどん(またはそば)から選べるが、これは「ざるうどん」だ。うどんにはコシがあるが、讃岐うどんほどは硬くないので、私にはちょうど良い(あの讃岐うどんは、私のような関西人には麺が硬すぎるように思うのだが…)。

単品のうどん(またはそば)メニューは、21種類もある。ねぎかつお540円 天ざる1050円、天盛ぶっかけ900円、温玉ちく天ぶっかけ720円、梅ぶっかけ750円など、ぶっかけ系も多くて、味の違いを楽しめる。店内はさほど広くないが、明るくてきれいなお店だ。あまり知られていないのが不思議である。ぜひ、お試しいただきたい。

奈良県奈良市東向北町17
電話 0742-20-6288
http://www.lococom.jp/tgshop/A29/01/01/014/10073679817/midlocal/
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1300年祭・民間独自キャラクターに投票しよう!

2008年05月22日 | 平城遷都1300年祭
「せんとくん」(平城遷都1300年祭のキャラクター)騒動は全国的に有名になったが、これに対し、民間独自で同祭のキャラクターを募集していた市民グルーブ「クリエイターズ会議・大和」は5/19、その候補作30点を発表した。
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/05/19/043/index.html

619点の応募作から選ばれただけあって、さすがに力作揃いである。こちらもテレビのワイドショーなどで取り上げられ、話題になっている。現在、ネットと街頭で人気投票を受け付けていて、誰でも投票できる。ネットは5/25締切、街頭は5/24締切である。
http://creators-yamato.net/voteinfo.html

冒頭の写真は、小西さくら通りの一角(花小路の南側)。ポスターでキャラクターを選び、その場で投票できるようになっている(=街頭投票)。



この衣料品店(小西さくら通り)でも、ポスターと投票用紙が準備されている。5/25には、近鉄奈良駅前での投票も受け付けるそうだ。ネット投票は、以下のサイトから入る。
http://creators-yamato.net/vote/kiyoki.cgi

私としては、19番の「朱雀」が斬新だし可愛いので投票しようと思っているが、皆さんはいかがだろう。
http://creators-yamato.net/vote/132.html

見ているうちに「やっぱり鹿もほしいなぁ」と思っていると、7番の「しかくん」に目が止まった。キューブ状の鹿で、吉野杉の角材を連想させる。県北端の奈良公園(奈良市)と南端の吉野郡が1つのキャラクターで結び付いているとは、良いアイデアだ。しかしこの鹿、どこかで見たことがある。
http://creators-yamato.net/vote/41.html

これはイラストレーター・芳岡ひできさんのアンテナショップ「ぷちSOCKS」の店舗キャラクター「SHIKAKUん」(しかくん)とそっくりなのだ(私には「SHIKAKUん」の方が可愛く見えるが…)。



この写真は同店内で撮らせていただいたものだが、立体で作るとなお愛くるしい。PR用チラシにも出ていて、これは以下のとおりPDFで紹介されている。
http://www.socks.co.jp/ex/0804/img/puchi_socks.pdf

「しかくん」(7番)は硬質(木質感覚)、「SHIKAKUん」は軟質(ぬいぐるみ感覚)という違いはあるが、発想はよく似ている。7番の作者は、芳岡作品をご存知なく、たまたま似てしまったのだろうが、最終選考で7番が選ばれると、この酷似ぶりが問題になるかも知れない。

それがまた話題になって多くの投票を誘う、という良い循環になれば、奈良にとっては歓迎すべきことではあるが。ともあれ、投票は5/25(日)で締め切られる。まだの方は、お急ぎを。
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