修験本山金峯山寺長臈(ちょうろう=長老)の田中利典師が「UBrainTV Japan」に出演された。師のブログ「山人のあるがままに」によると、
必見!!「インタビュー:修験道と現代日本 ~by UBrainTV」
一昨年秋にUBrainTV Japan(イギリスのUBrainTVというネット配信会社の日本支社)という会社からの取材で、修験道と自然環境問題についてのインタビューを受け、それがようやく映像になり、今日から公式サイトのアップされました。日本文化を紹介するという番組です。以下です。是非ご覧下さい。
http://www.ubraintv-jp.com/watch.php?id=447
日本独特の宗教である修験道を紹介した映像ですが、とりわけ自然環境との問題に視点をあてて、質問されました。インタビューの説明では
「日本は近代以降、グローバル化が推し進められ経済的に豊かになる一方で「何か」を失いつつあると人々は感じ、近年、ローカルな日本を見直そうとする動きが生まれています。 精霊、神、仏を分け隔てなく敬う日本人の宗教観に裏打ちされた、グローバルとローカルを融合させうる「和」の精神は、世界的にも注目される思想です。 飛鳥時代に発祥し、神仏習合の形態を今に残す日本独自の宗教、修験道から見た現代日本とはどんな姿なのか、修験本山金峯山寺の田中長臈に話を伺いました。」
とあります。実は、リハなし、原稿なしのぶっつけ本番でのインタビューで、冷や汗たらたらで応答したのですが、そのわりにはちゃんとお話が出来ていて、我ながらなかなかの出来だと思っています・・・相変わらず、ちょっと顔が怖いですが(笑)。真剣に考えて話すとどうしても、こわ顔になってしまいます。その分真剣に話をしているということで、ご寛恕ください。これからの私自身が進むべき活動を示唆したインタビューだったと思います。
約15分の番組だが、示唆に富んだ内容だった。手元のメモによると、
●世界の宗教の最初はアニミズム。日本は昔からアニミズムの国で、子供がお茶碗を叩くと、母親は「そんなことをするとお茶碗が痛るでしょ」と教え諭した。
●日本は四季が豊かで自然も豊か。日本の国土の7割は山林。山の霊気が人間を作った。
●ヨーロッパでは「山には悪魔が住む」、日本では「山には神仏が坐(いま)す」「神と仏が山で出会う」。そこで修験道に先鞭をつけたのが役行者。
●日本では自然災害が多い。自然からは脅威も受けるし恩恵も受ける。人間は自然の中で生かされていることを一番大事にしてきた。
●近代の原理は一神教。「神が作った自然は、どのように切り取っても良い」と教えてきた。つまり自然は制御できると考えた。
●欧米では「唯一絶対の神は人間とは同心円上にいない」、超越したもの。日本では「人間の同心円上に神・仏・自然がいる」
●東日本大震災では「想定外」と言った。もともと自然は「想定」できるものではない。津波も台風も豪雨も。しかし自然は「悪」ではない。自然には善も悪もない。あるがままにある。我々はその中で生かされている。
●産業革命以来の近代は、国民国家。国家が国民を管理する。
●もともと日本には「国家」というものはなく、せいぜい藩とか地域共同体(ムラ)。そこで神まつり、仏まつり、先祖まつりを行ってきた。つまり地域の風土の中で一生を終えた。近代の国民国家は、神仏を切り離した。
●日本はもともと八百万(やおよろず)の神、八万四千の法門から生ずる仏。
●明治の近代国家になっても、日本人は明治以前の遺産を引き継いできたが、第二次大戦後になって、明治以前のものを捨て去った。「近代以前のものは意味がない」となってしまった。
●今は「近代の災い」が目につく。宗教の衝突・文明間の軋轢。近代以前の価値観を学び直すことが大切。
●仏教はグローバルなもの、神道はローカルなもの。神仏習合はグローバルとローカルの融合。そこから修験道が生まれた。
●今の若い人は、グローバリゼーションだけを教わってきた。これからはローカルの中でグローバルとどう付き合うか、どう棲み分けるかが大切。「日本らしさ」取り戻すべきである。
●(吉野大峯の)世界遺産登録を導いた。この地の自然を守ろうとしたからだが、逆に世界遺産になってから多くの人が来て、自然の破壊が進んだ。これを申し訳なく思っていたが、それも自然な流れであることに気がついた。
●共生は共死。人間は自然の中で生かされている。自然が死ぬことは我々人間が死ぬことだ。
わずか15分の中に、利典師の思いが凝縮されている。吉野大峯の素晴らしい映像もふんだんに盛り込まれている。ぜひ皆さん、この番組をご覧ください!
必見!!「インタビュー:修験道と現代日本 ~by UBrainTV」
一昨年秋にUBrainTV Japan(イギリスのUBrainTVというネット配信会社の日本支社)という会社からの取材で、修験道と自然環境問題についてのインタビューを受け、それがようやく映像になり、今日から公式サイトのアップされました。日本文化を紹介するという番組です。以下です。是非ご覧下さい。
http://www.ubraintv-jp.com/watch.php?id=447
日本独特の宗教である修験道を紹介した映像ですが、とりわけ自然環境との問題に視点をあてて、質問されました。インタビューの説明では
「日本は近代以降、グローバル化が推し進められ経済的に豊かになる一方で「何か」を失いつつあると人々は感じ、近年、ローカルな日本を見直そうとする動きが生まれています。 精霊、神、仏を分け隔てなく敬う日本人の宗教観に裏打ちされた、グローバルとローカルを融合させうる「和」の精神は、世界的にも注目される思想です。 飛鳥時代に発祥し、神仏習合の形態を今に残す日本独自の宗教、修験道から見た現代日本とはどんな姿なのか、修験本山金峯山寺の田中長臈に話を伺いました。」
とあります。実は、リハなし、原稿なしのぶっつけ本番でのインタビューで、冷や汗たらたらで応答したのですが、そのわりにはちゃんとお話が出来ていて、我ながらなかなかの出来だと思っています・・・相変わらず、ちょっと顔が怖いですが(笑)。真剣に考えて話すとどうしても、こわ顔になってしまいます。その分真剣に話をしているということで、ご寛恕ください。これからの私自身が進むべき活動を示唆したインタビューだったと思います。
約15分の番組だが、示唆に富んだ内容だった。手元のメモによると、
●世界の宗教の最初はアニミズム。日本は昔からアニミズムの国で、子供がお茶碗を叩くと、母親は「そんなことをするとお茶碗が痛るでしょ」と教え諭した。
●日本は四季が豊かで自然も豊か。日本の国土の7割は山林。山の霊気が人間を作った。
●ヨーロッパでは「山には悪魔が住む」、日本では「山には神仏が坐(いま)す」「神と仏が山で出会う」。そこで修験道に先鞭をつけたのが役行者。
●日本では自然災害が多い。自然からは脅威も受けるし恩恵も受ける。人間は自然の中で生かされていることを一番大事にしてきた。
●近代の原理は一神教。「神が作った自然は、どのように切り取っても良い」と教えてきた。つまり自然は制御できると考えた。
●欧米では「唯一絶対の神は人間とは同心円上にいない」、超越したもの。日本では「人間の同心円上に神・仏・自然がいる」
●東日本大震災では「想定外」と言った。もともと自然は「想定」できるものではない。津波も台風も豪雨も。しかし自然は「悪」ではない。自然には善も悪もない。あるがままにある。我々はその中で生かされている。
●産業革命以来の近代は、国民国家。国家が国民を管理する。
●もともと日本には「国家」というものはなく、せいぜい藩とか地域共同体(ムラ)。そこで神まつり、仏まつり、先祖まつりを行ってきた。つまり地域の風土の中で一生を終えた。近代の国民国家は、神仏を切り離した。
●日本はもともと八百万(やおよろず)の神、八万四千の法門から生ずる仏。
●明治の近代国家になっても、日本人は明治以前の遺産を引き継いできたが、第二次大戦後になって、明治以前のものを捨て去った。「近代以前のものは意味がない」となってしまった。
●今は「近代の災い」が目につく。宗教の衝突・文明間の軋轢。近代以前の価値観を学び直すことが大切。
●仏教はグローバルなもの、神道はローカルなもの。神仏習合はグローバルとローカルの融合。そこから修験道が生まれた。
●今の若い人は、グローバリゼーションだけを教わってきた。これからはローカルの中でグローバルとどう付き合うか、どう棲み分けるかが大切。「日本らしさ」取り戻すべきである。
●(吉野大峯の)世界遺産登録を導いた。この地の自然を守ろうとしたからだが、逆に世界遺産になってから多くの人が来て、自然の破壊が進んだ。これを申し訳なく思っていたが、それも自然な流れであることに気がついた。
●共生は共死。人間は自然の中で生かされている。自然が死ぬことは我々人間が死ぬことだ。
わずか15分の中に、利典師の思いが凝縮されている。吉野大峯の素晴らしい映像もふんだんに盛り込まれている。ぜひ皆さん、この番組をご覧ください!