


生家の最寄駅のJR飯山線『下条』駅に隣接して茅葺の塔が建てられていた。
ちょうどよくオシャレな列車が、我が無人駅にきたところを撮った。
『おいこっと』と書いてあるのは、『TOKYO』の反対読みだそうだ。
芸術祭関連ではないけれど『東京とは逆の景色雰囲気をどうぞ・・』ということだとか。
この茅葺の内部は、半世紀程前まで使われていた生活用品や農作業具などの民俗資料が展示されている。
セナコウジと呼んでいた藁細工の背負い補助具や、雪を豆腐のように切って放り投げるコスキ(木鋤)。
変形ドーナツ型のセナコウジは肥え樽を背負うために特化したもの。
コスキには雪がくっつかないように蝋がこってりと塗られている。
半分だけ写っている竹と縄でできた背負いかごは、山や畑への行き来に大人が使っていたけれど、名前は思い出せない。
雪の上を歩くカンジキは、夜中に降った新雪を踏み固めて道を作るために、さんざん使った(小学校5年時から6年間程、積雪時の道踏みは私の役目だった)。
大きい方は2尺以上も新雪が積もったときに、ざっくりと道を作るとき。
小さい方は1尺程度の降りのとき一往復すれば、長靴が少し沈む程度の道をつけることができる。
そのとなりの四角のものは写り方が悪いけれど、雪が小降りか晴れで雪道も締まっている状態で、近くにちょいと出かける場合に女性がはく藁のサンダルだが、これも名前を思い出せない。
そのとなりはスッポンと呼んでいた藁の深靴(ながぐつとは言わず、ゴム長靴もふかぐつと言っていた)。
この地の60年程前は、ほとんどの住宅が茅葺だったけれど、こういう塔のような非実用的な建物はなかった。
芸術だから成し得る建造物だ。
茅葺を知る生き残りの古老から教えてもらいながら建てたのだろうか!?
だとしたらそのことに一番の意義があるのだろう。