銀座ミキモト(060408)
■ 建築構造家の佐々木睦朗氏は「せんだいメディアテーク」で伊東豊雄氏のピュアなコンセプトを卓越した構造センスで見事に具現化して見せた。ふたりのコラボはその後「まつもと市民芸術館」を経てこの「銀座ミキモト」(写真)へと続く。
昨年末、この商業ビルが東京銀座に竣工した。今春、このビルの外観だけ見る機会があった。
鋼板コンクリート構造。2枚の鋼板の間にコンクリートを充填して、約14×17mの外形を形成している。この作品を紹介している雑誌の佐々木氏の解説文によると、伊東氏は単なる表層的な装飾ではなく、構造と一体化した象徴的なファサードをイメージしていたそうだ。
厚さがわずか20cmの壁で高さ50m近い高層ビルが実現した(このビルには鉄骨の柱が無い)。面的な構造システムであるためにいくつもの応力伝達経路を内在していて、リダンダンシーが高いという。
Redundancy 冗長性とは狭義には建造物や機械類・システムの設計における余裕を指し、その対象物に想定される負荷、および、要求される性能に対し、それより多め、大きめに設計された「余裕」や「余地」を指す。
子どもの感性は時として大人が予期しないような見方を提示する。
A:「このピンク、かわいい!」
M:「でも、なんだか虫に喰われたキャベツの葉っぱみたい」
設計者の手を離れた建築作品は、いかなる感想も受容しなくてはならない存在となる。