■ SFの世界では宇宙の果てまでいとも簡単にすっ飛んでいくことが出来てしまう。だがこの『火星縦断』ジェフリー・A・ランディス/ハヤカワ文庫を読むと(これもSFだが)、火星に行ってくることすら大変なことなんだということを知ることになる。文庫本の帯で分かるが作者はNASAの現役研究者だ。
2028年、六人の第三次火星探検隊が火星に着陸するところから、このSFは始まる。着陸早々、帰還船で事故が発生してしまう。どうやって地球に帰還するのか・・・。手段は一つ、第一次探検隊が残した帰還船を利用すること。
第一次探検隊が事故で死亡したために彼らの帰還船が残されているのだが、その場所は(火星の)北極点。第三次観測隊が着陸したのは赤道よりまだ南。北極点をめざして6000キロの火星縦断の旅が始まる。ちょっと冗長ではあるが(550ページの長編)なかなか面白かった。
前ふりが長くなってしまった。今朝の新聞の一面に「太陽系惑星3個増え12」という記事が載っていた。現在プラハで開催中の国際天文学連合の総会で議論されているとのことだ。
「セレス」「カロン」という名前はいいとしても「2003UB313」って何だ? 調べてみるとどうやら仮符合ということだ。なんだか製造番号みたいだな。早く名前をつけてもらわないと覚えられない・・・。
カロンは今までは冥王星の衛星だとされていたそうだが、ワルツを踊るようにお互い回りながら(我ながらオシャレな喩えを思いついたものだ)太陽の周りを回っているとのことだ。双子惑星ということか。このふたつの天体を惑星とすることには異論もあるようだ。雑誌「ニュートン」の付録の太陽系の天体を紹介するポスターを見ているが(写真参照)冥王星もカロンも月より小さい。
「2003UB313」が発見されたカイパーベルトという領域にはまだまだ惑星候補がたくさん存在するといわれているらしい。結果的に20個とか30個とかになったらもう覚えられないだろう。
ところで地球の衛星は月が一つだけだが、他の惑星のようにいくつもあったら生活習慣などが全く違っていただろうな、と思う。月見うどんのタマゴの数だって・・・。