透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

どうなるのかな?

2006-08-08 | B 繰り返しの美学

 

繰り返しの美学 060805 


 今回は今後の利用法について市民が関心を寄せている旧第一勧銀ビル。

このビルは松本城へアプローチする最後の直線、大名町の中程に位置している。写真でも分かるが街路樹のシナノキが大きく育っている。この通りが落ち着いた雰囲気を醸し出しているのはシナノキとこのビルに因るところが大きい。

このビルをどのように再生・利用するのかが観光都市松本にとって、重要な問題であることは、この場所に立ってみると容易に理解できる。

このビルの魅力は、何に由来するのか。昭和12年に建設され、この街の「歴史を記憶している」という指摘はちょっと観念的にも思える。

具体的に捉えよう。それは結局縦長の窓の繰り返しなのだと言い切ってしまってもいいのではないか、私はそう思う。ビルのファサード(正面)では縦長の窓が7回繰り返されている。以前書いたが、5回で繰り返しの美学の条件クリアーだから、十分満足している。

窓の部分を拡大して載せた。頂部のアールは、半円でもないし(以前載せた国立駅の三角の正面の壁には半円の大きな窓がついている)、ゴシック風の尖塔アーチでもない、独特の美しいアールだ。壁の大きな面取りもこのアールを強調し、惹きたてている。夕方になって暖かな明りがこの窓から通りにこぼれる様はきっと美しいに相違ない。建築は黄昏時がやはりいちばん美しい。
 
この建築の今後の利用法については現在2案、提示されている。どちらに決するのかやはり気になる。クラシックの流れる空間で静かにワインを味わう・・・。