■ 昨日は台風9号の影響で断続的に雨が降り続いたが、高山まで車で出かけた。
市内でM邸を見学することができた(外観だけではあったが)。この「方形の家」は建築家吉島忠男さんの代表作。建築関係の雑誌で紹介され、図面は木構造のテキストに掲載されている。木造住宅の傑作だと思う。
銅板一文字葺きの方形の屋根の軒先に樋は付けられていない。落雪でとれてしまうからだろう。玄関部分のみ樋をつけている例を見かけることがあるが、この住宅では下左の写真のように工夫されている。なるほど、こうすれば雨水を玄関の両側に落とすことが出来る。
また、車庫の部分の幕板を貫通する「ほぞ」は下右の写真のように金属板でカバーしてあり、雨水から保護している。但し小口の方が腐朽しやすいことを考えるとなぜ小口を覆わなかったのかという疑問が残る。高山では母屋や垂木の小口を白く塗って保護することが現在でもごく普通に行われていることを考えると尚更だ。
幸運なことに「吉島家住宅」の奥にあるアトリエにお邪魔してご本人にお目にかかる機会を得た。
その際、車庫の黒地のシャッターに描かれたマークは何を表現したものか伺った。クライアントの苗字の一文字をグラフィカルに表現したものだと教えていただいた。先の疑問、なぜほぞの小口をガードしなかったのかは質問しなかった。
吉島さんは、大変気さくな方で、初対面であるのにも関らず丹下健三の事務所で仕事をしていた頃のエピソードなどをいろいろお話いただいた。
「スコピエ計画」についても伺った。それにしても当時はすごい模型をつくったものだ。
短い時間ではあったが、大変有意義であった。