透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

闇に浮かぶ胡桃

2007-09-10 | A あれこれ
「新日曜美術館」

昨日は脚本家の山田太一氏が浜口陽三の作品について語っていた。浜口陽三はカラーメゾチント(銅版画)の新しい技法を開拓した作家として知られているとのことだが、私は名前を知るのみでどんな作品を創った人なのかは番組を観るまでは知らなかった。

番組で紹介された作品はどれも印象的だった。闇の宇宙に胡桃が浮かんでいて、上方からの僅かな光でその上半分が輝き下半分が闇に沈んでいる作品は特に印象的だった。残念ながら作品名を覚えていない。

人の「生」は闇から生まれ闇に消えていく・・・その一瞬の輝きを象徴するかのような作品、確か山田氏はそのような趣旨の発言をしていたように思う。

闇から生まれ闇に消えていく一瞬の生・・・、浜口氏の作品の特徴はどうやらこの闇にあるようだ。闇に浮かび上がるさくらんぼやぶどうなど、対象を限定して余分なものを一切表現しない。

浜口氏の作品を常設展示している美術館が日比谷線茅場町駅から徒歩10分のところにあることを知った。先の胡桃の作品を観ることが出来るかどうかは分からないが、是非訪ねてみたい。