■ 横須賀美術館は屋根全面をガラスにしています。このことが軽やかな外観を創ることに大いに寄与していると思います(写真上)。この斬新な試み、一方で雨仕舞が気になることは既に書きました。
いくらなんでもガラスのジョイント部分の雨仕舞をシールだけに頼っているとは考えられません。気になったので調べてみました。 ガラスはアルミ枠で支持されていますが、その部分にゴム製の内樋を設けていることが分かりました。シールが切れてもこの内樋で雨水を水下の縦樋に導いて排水するという仕組みです。このようなバックアップシステムが採用されているとはいえ、なんとも大胆です。
「セント・アイヴスを離れるボート」油彩、厚紙(ポストカードより)
■ 展示作品についても少し触れておきます。
「アルフレッド・ウォリス ――海に生きた素朴画家――」という企画展(17日で終了)を観ました。この画家についてはしばらく前に「新日曜美術館」でとり上げていましたが全く知らない画家、手元のパンフレットから俄仕込みの知識を得て以下にまとめておきます。
この画家はイギリスのある港町で船具商を営んでいましたが、70歳になってから独学で絵を描き始めたそうです。モチーフはもっぱら帆船や汽船、あるいは港町、灯台。
ボール紙や板に船舶用のペンキや油彩で描いた作品は素朴な味わいに満ちている、と紹介されています。
ウォリスの絵画や素描が80点余り展示されていたそうですが、ざっと観ただけでした。素朴といえば確かに素朴、でも色彩が好きになれませんでした。今回私の関心は建築、視線を展示空間に向けていました。
この美術館は画材を海に求めた作品を収集しているそうで、近代日本画家の「海」にまつわる作品が何点か展示されていました。
もちろん主観ですが展示作品の鑑賞だけでは物足りないかもしれません。建築体験もおすすめします。