透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

妹島さんの建築が受ける理由(わけ)

2008-05-09 | A あれこれ


    初回から今回までの講演を収録した冊子

 三協立山アルミ建築フォーラム、第三回目は建築家妹島和世さんの講演会でした。昨年(07年)の7月に東京で開催されたこのフォーラムには残念ながら参加することが出来ませんでしたが、講演を収録した冊子を入手して読みました。

「近作について」と題した講演で妹島さんは「金沢21世紀美術館」からニューヨークの「ニューミュージアム」まで14ものプロジェクトを紹介しています。

それらのプロジェクトを見ていると妹島さんの作品のふたつの特徴に気がつきます。それは原初的なイメージをそのまま具現化したようなフリーハンドな曲線によるプランニング(右の写真:群馬県鬼石町の鬼石多目的ホールがその例)と金沢21世紀美術館の平面計画やこの冊子の表紙のデザインスクールの立面のような純化した幾何学的形態です。共に「もの」としての建築のリアルな存在感からは遠い抽象的な印象を受けます。

バーチャルな世界に関わらざるを得ない今日の社会、妹島さんのデザインが受ける理由はこの辺にあるのではないか、私はそう思っています。