透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

本の寺子屋 講演会

2022-09-19 | A あれこれ

 塩尻のえんぱーく(塩尻市市民交流センター)で行われている(*1)「本の寺子屋」。

4月24日、現代詩作家・荒川洋治さんの「短編小説と世界」で始まった今年度(令和4年度)の本の寺子屋 講演会。残念ながら抽選漏れで聴講できなかったけれど、6月26日には法政大学前総長・田中優子さん、7月24日には小泉今日子さんの講演会も行わている。

昨日(18日)の午後に開催された東京新聞編集委員・加古陽治さんの「文芸取材の新流儀」と題した講演会に参加した。東京新聞に入社して以来事件取材が中心だったという加古さん。2012年に文化部長になったことから文芸記者歴が始まったそうだが、もともと文化芸能には関心があって、角川短歌賞で次席になったこともあったとのこと。

加古さんが担当した「一首のものがたり」という月1回程度の連載記事(*2)。加古さんはその何例かをスクリーンに映しながら紹介された。一首の短歌を題材に、その短歌の背景を明らかにするという調査報道の手法を取り入れた深い内容の記事は大変興味深いものだった。

あの夏の数かぎりなきそしてまたたった一つの表情をせよ 小野茂樹 

ひとりの女性との出会いは高校生の時、作者の初恋。お互いに惹かれながらも女性は別の男性と結婚し、何年後かに(8年後だったかな)作者も別の相手と結婚する。その後・・・、偶然再会したふたりはそれぞれ離婚して、結婚する。それから4年後、作者は不慮の死を遂げる。交通事故だった。

このような背景を知って上掲の歌を読むと、そうか・・・、再会を果たした初恋の女性に対する想いが伝わる。あの夏、ぼくだけに見せた表情をまた見せて欲しい。この短歌を取り上げた記事の見出しは「永遠となった初恋の夏」。

280

連載記事は「一首のものがたり 短歌が生まれるとき」という本になっている。読みたいと思う。

*****

 前回の講演会(「民俗知を掘り起こすために」赤坂憲雄 8月28日)で高校の同期生3人と一緒になった。3人とも今回も講演会に参加すると聞いていたので「松本の本」第3号を持参した。Sさんは既に購入したとのことだった。TさんとIさんにプレゼントした。 Tさんは日経新聞に掲載された私の記事を読んでいたとのこと、Iさんとは2020年の秋に「火の見櫓のある風景スケッチ展」の会場で高卒以来初めて再会した。

講演会の後、会場近くのカフェでしばし歓談。 


*1 レザンホール、えんてらすで開催される回もある。