和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

すらりと立つ麦よ

2022-05-13 | 産経新聞
今日一日雨模様。
最近は、新聞の切り抜きをせずじまい。
見かけるのは、古い新聞切り抜きです。

クリアファイルにはさんであり、何気に手にしました。
2017年1月3日の産経新聞正論欄で、『年頭にあたり』
というリレーエッセイのようなもののようです。
この回の筆者は、外山滋比古(1923~2020)。

いまから5年前の文。というと、外山氏は93歳。
うん。そのはじまりと、さいごとを引用します。

「 長い日本の歴史を振り返ってみても、ここ30年、
  戦後70年ほどいい時代はなかったのではないかと思われる。
 
  おかげで・・・緊張を欠いているのである。
  しかし、実際には、大変化が押し寄せている。
  それを無視するのは知的怠慢である。

  中高年の人に頼るわけにはいかない。
  ご苦労だが若い世代に出動していただくほかはない。 」


はい。これが外山氏の文のはじまり。
最後は、文章一番下の段の全文引用。

「 何かと言うと専門を持ち出す。
 しかしそれはひとりだけの知識である。
 知的個人主義が不毛でありやすいことを、
 現代はまだよく理解していないらしい。

 本を読むより、違ったことをしている仲間と
 語らい合う方がどれくらいためになるか、

 今の個人主義者、孤立派には分かっていないようだが、
 ひとりで考えることには限界がある。
 ほかの人と雑談をすると、ひとりでは
 思いつかないようなことが飛び出してくる。

 昔のヨーロッパの大学がカレッジ(学寮)で
 学生に生活と学問を一体化させた意義は大きい。

 独学、ひとりだけの修行の好きな日本人はついに、
 おしゃべり、雑談の面白さを知らずにきたが、
 いまからでも遅くない。

 知的会話のクラブをつくって、新しい文化を
 開発させることが望ましい。

 近づく大変動にしてやられるのではなく、
 それをきっかけに新しい人間になる、
 いまはチャンスである。

 若い人たちが新しいホモ・サピエンスになることが
 できるのは、すばらしいことである。 」

はい。
『ひとりでは思いつかないようなことが飛び出してくる』
ことを夢みて、このブログを更新してゆくことに。

そういえば思い浮かんできた詩がある。
竹中郁の詩「桃・麦・あなた」でした。
ここには、詩の最後の四行を取り出す。


 『 しゃべりましょうよ 生きましょうよ 』
  桃の花よ
  すらりと立つ麦よ
  あなたよ

 



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正当にこわがることの難しさ。

2022-01-17 | 産経新聞
1月17日。はい。今日の産経新聞。
社会面に阪神大震災27年とあります。
「6434人が犠牲となった阪神大震災は、17日で発生から
27年となる。発生時刻の午前5時46分には兵庫県内の各地で
犠牲者を悼み、鎮魂の祈りがささげられる。・・・・」。

一面は「空気振動 海面に波発生か トンガ沖噴火」と
「潮位上昇22万人避難指示 奄美・岩手で1㍍超」の見出し。

一面の産経抄は、その関連のコラムとなっておりました。
うん。コラムの真ん中を引用。

「約8千㌔離れた南太平洋のトンガ沖で日本時間15日午後1時ごろ
海底火山の大噴火があり、いったんは影響は少ないと思われた。

(産経)抄子も一杯やって寝込んでしまった。が、
16日未明に鹿児島県の奄美群島・トカラ列島や岩手県に
津波警報、太平洋沿岸などに津波注意報が出る事態に。

交通機関の欠航、運転見合わせが相次ぎ、
大学入学共通テストが一部試験会場で中止・再試験となった。
船の転覆や流出も起きた。」


産経抄のコラムは、そのはじまりと最後が、
寺田寅彦の文の引用となっております。
そのコラムの最後を引用してみます。

「寺田寅彦のよく知られた警句に『正しく恐れる』ことがある。
 浅間山の小噴火を題材にした『小爆発二件』で

 『ものをこわがらな過ぎたり、こわがりすぎたりするのは  
  やさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい』

 と記している。・・・・」


はい。今日の産経新聞からでした。
あとは思い浮かんでくるアレコレ。

今日の産経抄は、文庫を引用したとあります。
講談社学術文庫「天災と国防」(2011年6月9日発行)でした。
東日本大震災のあとに、寺田寅彦の文庫が3冊でておりました。
ほかの2冊は
角川ソフィア文庫「天災と日本人 寺田寅彦随筆選」
(平成23(2011)年7月25日発行)
中公文庫「津浪と人間 寺田寅彦随筆選集」(2011年7月25日)

ちなみに、講談社学術文庫の解説は畑村洋太郎。
角川ソフィア文庫の「はじめに」と解説は山折哲雄。
中公文庫が千葉俊二・細川光洋編で、解説は千葉俊二。

産経抄で引用されていたのは、そのなかの講談社学術文庫でした。
その畑村洋太郎解説に印象に残る寺田寅彦からの引用があります。

『悪い年回りはむしろいつかは回って来るのが
 自然の鉄則であると覚悟を定めて、良い年回りの間に
 充分の用意をしておかなければならないということは、
 実に明白すぎるほど明白なことであるが、またこれほど
 万人がきれいに忘れがちなこともまれである』(p176~177)


はい。『悪い年回り』といえば、厄除けを思い浮かべ、
それは、神社へと連想がひろがります。

もう一度、産経抄の今日のコラムへともどり、
そのはじまりから引用をしてみます。

「各国の神話などを読んで気づくのは
『その国々の気候風土の特徴が濃厚に
 印銘されており浸潤していること』だという。
 物理学者で随筆家、寺田寅彦が『神話と地球物理学』
(講談社学術文庫「天災と国防」収録)で書いている。

 島が生まれる記述は海底火山の噴出など、
 須佐之男命(すさのおのみこと)に関しても
 火山を連想される記述が多いと。

 古(いにしえ)より自然災害に見舞われ
 克服してきた日本だが、遠い海の天変地異が
 ひとごとではないことを改めて思い知らされた。」


はい。これがコラムのはじまり、
ここから、わたしが思い浮かべるのは
平川祐弘・牧野陽子著「神道とは何か」(錦正社)でした。
この本は、お二人の講演が載っております。
まずは、平川祐弘氏の文から、ここを引用

「神道では天照大神をはじめとする八百万(やおよろず)の神や
 祖先への崇拝はより広い自然の神秘や脅威への崇拝の一部ですが、
 畏怖、畏敬の念を呼び起こすものはなにであれ『カミ』と呼ばれました。
 山岳にせよ、滝にせよ、火山にせよ、老木にせよ、只ならぬ人にせよ、
 崇拝の対象となり神となりました。・・・・」(p24~25)

つぎは、牧野陽子さんの文から
引用ばかりになりますが、この箇所を引用して
おしまいにします。ラフカディオ・ハーンを語っております。

「・・神社を真正面から扱った作品としては、・・・
≪生神様≫が挙げられます。これはハーン来日後の第四作
『仏の畑の落ち穂』の巻頭を飾る重要な作品です。・・

その冒頭に『神道とはいかなる信仰なのか』を問う
作品がおかれていることになります。
『生神様』は長さ22~23頁ほどの作品で三部構成になっていて、
その内容を簡単に説明すると、
 第一部で神社建築について語り、
 第二部でそのような神社を中心とした村の社会を論じ、そして
 第三部で津波にまつわる濱口五兵衛という人の話を紹介しています。

 濱口の話は実話がもとになっており・・・・・・
 ≪稲村の火≫という題で、子供向けに構成された翻訳が
 戦前の国定国語教科書に教材として長く掲載され、また
 海外でも子供向けの絵本として長く読まれています。
 津波の描写には迫力があり、物語としての魅力だけでなく
 防災の教材という意味でも優れているからだと思います。

 それに引き替え、≪生神様≫の前半部分は、
 あまり取り上げられることがなく、選集や大学のテキストなどに
 収録されるのは津波の話の部分だけなのです。
 前半がカットされてしまうのは、日本の神の観念についての
 記述が少し取っ付きにくく、第三部の強烈な物語との関係が
 よくわからないからでしょう。

 しかし、『仏の畑の落ち穂』という作品集の冒頭作品の、
 さらにその冒頭の部分なので、著者にとって大事な文章で
 ないはずはない。神社の姿を真正面からとらえたその記述は、
 実によく練られた緻密な描写で、そこにハーンが理解した
 日本の宗教的感性を読み取ることができるのです。・・・」
  (p96~97)

はい。私の連想の補助線は、ここまで。


追記。
そうだ、そういえば、思い出しました。
曽野綾子さんが産経新聞に連載コラムをもっていた時
(曽野さんは、産経にいろいろなコラムをもっていた)。
産経の他の人のコラムをとりあげたり、産経抄のコラムの
ここがよかった。などと書いていて、同じ新聞内で
響き合っているようで楽しかったのを思い出します。

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「世界を斜めにえがおで疑う」

2022-01-12 | 産経新聞
はい。産経新聞の1月8日(土曜日)に
気になる短文が3つあったのでした。
どれから引用するか。
まずは「週刊誌ウォッチング 花田紀凱(かずよし)」

「2年前からのコロナ禍に関し、
『週刊文春』と『週刊新潮』の報道ぶりが全く対照的。
ワイドショーなどと同じく『煽りに煽ってきた』のが『文春』。
典型が『8割おじさん』こと西浦博京大大学院教授の重用だ。
一方、『新潮』は一貫して、冷静な報道を続けてきた。」

ということで、ここには『新潮』から引用箇所を引用してみる

「『新潮』では
東大名誉教授で食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏が、
〈『南アではあっという間にピークアウトし、
  死者の増加がなかったと南ア政府が発表し、
  それを研究者たちも認めています。
  オミクロン株の実態はインフルエンザに近い』〉

浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師。
〈『7、8月までには、新型コロナは外来で対処できる
  風邪になっているいと、私は予想しています』〉 」

はい。ここでは、文春からの引用はカットしました。
1月8日産経新聞一面コラム「産経抄」は最初から引用。

「北京冬季五輪の開幕が近づくにつれ、
 昨年のバカ騒ぎは何だったのかとの苦い思いが募る。
 当時、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長だった
 森喜朗元首相の女性をめぐる軽口をめぐり、
 『日本に五輪開催の資格があるのか」とまで攻撃した識者らは
 なぜ今、口を閉ざすのか。

 森氏が『女性は話が長い』と語ると、マスコミは一斉に
 人権や性別、宗教などでの差別を禁じる五輪憲章違反だと
 たたいた。朝日新聞は社説で『暴言・妄言』『女性全般を侮蔑』
 と決めつけたが、少数民族を弾圧し、ウイグル人女性に
 不妊手術まで実施しているとされる中国に対しては、
 もっと非難してしかるべきだろう。
  ・・・・・・・・・・・・・

 政界もマスコミも内弁慶で、
 相手が中国となるとおとなしくなる。」

うん。一面コラムの最後も引用

「だが、中国が今日のように怪物化したのは
 日本の支援も大きい。・・・・・・・・・

 日本が総額で7兆円にもなる政府開発援助(ODA)など
 を続けなければ、中国の軍事大国化は難しかったのではないか。

 日本は中国の現状に責任がある。
 せめて17日召集の通常国会では、真っ先に中国による
 人権侵害非難決議案を採択すべきである。」

産経新聞のあと気になった一箇所は
平凡社社長・下中美都さんが「私の本棚」で、
『幸田文 しつけ帖』を紹介しておりました。
そこを引用するまえに、思い浮かんだ
石原吉郎の詩を、そのまえに引用。

     世界がほろびる日に  石原吉郎

  世界がほろびる日に
  かぜをひくな
  ビールスに気をつけろ
  ベランダに
  ふとんを干しておけ
  ガスの元栓を忘れるな
  電気釜は
  八時に仕掛けておけ

     (「続・石原吉郎詩集」現代詩文庫・思潮社 p59)

はい。下中美都さんが紹介する
幸田文著「幸田文 しつけ帖」(平凡社)

「・・・平凡社に入社後、編集者として文の作品を
 衣食住のテーマで編み直しました。
 『しつけ帖』は1冊目です。継母と折り合いが悪かった文に、
 父親の露伴は家事を教えます。露伴がしつけた暮らしを生きる
 心構え・・・新鮮に映りました。
  ・・・・・・・・・

 人の役に立つため、心を配るのが家事。
 例えば、生き物として相手に向き合えば、
 『乾燥しているからのどが渇くだろう』とか、
 欲することが分かるはず。それが、今の世では
 親から教わることも減り、マニュアル化している
 ように思えます。
 相手にきちんとモノを言うことが苦手になって、
 コミュニケーションの真ん中が欠けているよう。

 だからこそ、正直で気骨がある文の言葉、
 心を鍛える教えは、『現代のなくしもの』を
 探すヒントがある。

 露伴は自然に親しみ、
 四季にかこつけて勝手にお祝いをする人でしたが。
 カラスの鳴き声や植物に感じたこと、
 交わした会話や教えに導かれ、文は自然に触れることは、
 『この上ない老後の仕合わせにつながった』と振り返ります。
  ・・・・・
 季節感は、気持を新たにしてくれるのだと実感しました。

 疲れたときに文の文章を読むと、背筋が伸びる感覚があります。
 同時に包み込むような愛情を感じ、おなかのあたりがポカポカ
 するような充実感もあります。・・・・」


はい。産経新聞を講読しているのですが、
毎日ちゃんと読んでいないけれど、時に
印象深い言葉に包まれることがあります。
 
    
   



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『新成人へ』ダー子より。

2022-01-11 | 産経新聞
昨日の1月10日新聞の全面広告に、
コンフィデンスマンJPとある。
何なのだろうと、気になるので
手書きの一枚の手紙を読んでみる。
はじまりは、『素直とは疑うこと』。
さいごには、「新成人おめでとう  ダー子」とある。
うん。昔あった新成人諸君!みたいな広告かなあと
手紙をひらくように読む。
その本文のはじまりは、

「目に見えるものが真実とは限らない。
 何が本当で何が嘘か。・・・・・」

「日本は世界に遅れをとるばかりと声高に識者はさけぶが、
 ひとつのゴールがない世界に遅れなどあるのか。
 私たちの周りに≪真実≫は溢れ返っている。
 存分に疑おう。

 ネガティブに思われがちだが、
 疑ってみることからはじめて
 世界は面白き方向に広がっていく。
 何より自分に正直に生きる事は
 楽しくこころがみちる。
 素直な大人になろう。
 
 誰かが言うことに染まるのは素直ではない。
 自分の心を覗き、世界を斜めにえがおで疑う
 ことこそが素直なのだ。」

はい。全面広告の文の、数行をカットして
ほぼ全文を引用しました。

引用しながら、思い浮かんだのは、
長田弘の詩「新聞を読む人」でした。
うん。ついでに、その詩からも引用。

 ・・・・
 怖くなるくらい、いまは誰も孤独だと思う。
 新聞を読んでいる人が、すっと、目を上げた。
 ことばを探しているのだ。目が語っていた。
 ことばを探しているのだ。手が語っていた。
 ことばを、誰もが探しているのだ。
 ことばが、読みたいのだ。
   ・・・・・
   ( 長田弘詩集「一日の終わりの詩集」から )


うん。ダー子さん。長田弘の詩よりもいいよ。
ダー子さんの言う『素直な大人になろう』が、
65歳を過ぎてしまった僕にも響いてきました。

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つつましやかな。ささやかな。

2022-01-06 | 産経新聞
産経新聞1月4日の対談は、
インタビューとは違い、新春対談のように読みました。
平川祐弘氏がまずこう語っておりました。
「私はこの機会に若い方とお話ししたいと思いました。」
こうして、91歳になる平川氏が51歳の今泉宣子さんを指定しての対談
になっております。読みはじめると、どうやら師弟対談なのだとわかります。

今泉さんが、語るのはまず
「私は学生のころからボンヤリしていて比較日本文化が
 何なのかよく分からいないまま卒業しました。」
とありまして、すこしあとには
「平川先生の著作の中で私に印象に残っており、今も大切に
しているのが『西欧の衝撃と日本』(講談社学術文庫)です。」
とあるのでした。

はい。新春対談に文庫がとりあげられている。
では、とさっそく文庫のなかから引用することに。
『西欧の衝撃と日本』の最終章は第10章
「クローデルの天皇観 日本のこころを訪れる眼」でした。
そこに明治神宮への記述があります。
はい。そこを引用してゆくことに。

「都の中にありながら山野の中にあるがごとき心地する
明治神宮の鬱蒼とした森ほど東京に住んで嬉しい場所はない。
・・・・この森は、人工でありながら、人工の感を与えない。
いまの東京の小鳥や老若男女の心のやすらぎの場でもある。」
(p443)

「晩秋など、かしわ手をうつ人の足もとに紅葉が散っている
こともあるが、クローデルに日本国民の心を感じさせたのは、
その社頭に木の葉のように散っていた銅貨や銀貨であった。

『それはそれだけの数のつつましやかな祈りやささやかな願い
 事のあらわれなのである。人間という森の中から風にのって
 ここまで運ばれてきた幾枚かの木の葉なのである』

クローデルもかつて愛唱したヴェルレーヌの詩には、
秋の日のヴィオロンのためいきや過ぎし日の思い出とともに、
『うらぶれてここかしこさだめなくとび散らふ落葉』
としての人間存在が虚無的な淋しさをもって歌われていた。
それがパリの公園の物悲しい憂愁であった。

しかしこの東京の明治神宮で、
お賽銭をあげて祈る老若男女には信(しん)が感じられた。
その人たちのつつましやかな願い事や祈りを感ずる
カトリック信者のクローデル大使の言葉は温い。
森とか風とか木の葉とかいう大地のエレメントに結びついた
イメージも、農民の国フランスの農村の出身のクローデルに
ふさわしい。・・・」(p444)

ちなみに、『西欧の衝撃と日本』は初版が昭和49年でした。
この第10章のなかに、平川氏はこう書き込んでおりました。

「私は畏敬の念の奴隷となった人の狂信を愚かしく思うが、それと同時に
なにものにも畏敬の念を持ちえない人の猜疑心を愚かしく思う。
過度の猜疑心は軽信(けいしん)の一形式にしか過ぎない。」(p446)


もどって、この新春対談は、今泉さんが平川氏へ
今年の秋のシンポジウムへの参加出席をお願いして終わっておりました。
その最後の箇所も引用しておくことに。

平川】・・・・戦後のインテリは『日本に生まれて悪かった』
 みたいなことばかり言っていたから、私はあえて
『日本に生まれて まあよかった』(新潮新書)を書いたのです。

頭の不自由な、いつまでたっても変わらない、
変われない旧弊な左翼の方や、似たように頭の固い右翼の方には
嫌われるかもしれないが、シンポジウムではそんな話をしたいと
思います。

今泉】 楽しみにしています。
    本日はありがとうございました。










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霊に満ち満ちた日本。

2022-01-04 | 産経新聞
はい。産経新聞2022年1月4日(つまり今日)に、
平川祐弘氏と今泉宣子さんの対談が2ページにわたり
掲載されております。
うん。おもしろいので、ここは
いつものように最初の方と最後とを引用。

今泉】・・平川先生は神道について述べるとき、
 ラフカディオ・ハーンの
『Ghostⅼy Japan(ゴーストリー・ジャパン)』
という言葉を訳して、
『霊に満ち満ちた日本』と表現なさいます。
soul(ソウル=魂)でもspirit(スピリット=精神)でもなく、
しかも形容詞でghostly。
日本は霊に満ち満ちているという、
神道を表すのにこれほど適切な表現はないなあ、
ととても感動したのです。


 はい。つぎは最後の箇所。
牧野陽子さんとの共著「神道とは何か」(錦正社)に
ついて語られておりました。

平川】 牧野陽子さんと二人で日本語と英語の両方で
書いたら、売れているようで驚いています。
 ・・・・
アイルランド大使館の後援で、
日本語の講演を同時通訳してもらったのですが、
後で英訳を見たらひどいものでした。
同時通訳の限界ですが、このままでは
『日本人の教授たちは何をバカなことを言っているのか』
と、来場した各国大使たちに思われかねないので、
二人で英文を書き直して書籍にした次第です。
 ・・・・・・


はい。読めてよかった。師弟対談でした。
興味を持ったので今泉宣子さんの古本を注文することに。
ちなみに今泉宣子さんの肩書は
明治神宮国際神道文化研主任研究員。
昭和45年、岩手県生まれとあります。
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足利義満のチャイナ趣味。

2021-12-30 | 産経新聞
産経新聞の正論欄(2012年・12月28日)で
平川祐弘氏は、こうしてはじめておりました。

「文学研究が同時に外交研究として通用するなら、秀逸な
証左だが、西原大輔東京外語大学国際日本学研究院教授の
『室町時代の日明外交と能狂言』は見事な国際文化関係論だ。
著者は気持ちのいい学究で、遠慮せず、先輩の誤りを指摘し、
問題の所在を明らかにする。」

はい。気になったので
西原大輔著「室町時代の日明外交と能狂言」(笠間書院)を
注文すると、昨日届く。

はい。平川祐弘氏の12月28日の産経の文章が
いまいち呑み込めない箇所があったのですが、
はい。西原氏の本を手にすれば理解が深まる。

といっても、ろくに私は読んでいないのですが、
まあ、いいでしょう。「はじめに」から引用。

「能の成立を考えるに際し、戦後的価値観にとらわれてはならない。
権力者に抵抗するのが正義だなどという発想は、歴史を見る眼を
曇らせてしまう。むしろ御用役者は、将軍の意を迎えるべく、
最大限の努力をしたのである。そして、将軍の意向の一部に、
明(みん)や朝鮮に対する外交政策が含まれていたことは、
言うまでもないだろう。義満が唐人風の服を着てチャイナ趣味を満喫し、
明の使節を歓迎しようとしている時、
唐人を日本から追い返す≪白楽天≫のような能が作られるはずもない。
逆に、義持が明との断交を進めている時、
チャイナを賛美するような作品を上演することなど、
自殺行為に等しいのである。

14世紀後半から15世紀前半にかけては、能の大成期と呼ばれる。
ちょうどこの時期には、日本と明朝(みんちょう)との間で、
勘合貿易や私貿易などの通商が盛んに行われた。
その反面、朝貢(ちょうこう)や冊封(さくほう)、
あるいは倭寇(わこう)をめぐって、
激しい外交的、軍事的軋轢(あつれき)が生じてもいた。

・・・・能が誕生した頃、日本と明朝との間には、
友好と緊張が併存していた。能を庇護した足利義満は、
前のめりにチャイナへ接近した。・・・・・
中華崇拝、親チャイナ志向の為政者が能のパトロンであった
という事実は、謡曲を解釈する上で非常に重要な要素である。」

はい。私は「はじめに」の10ページほどの文をすこし
引用しているだけなのですが、「はじめに」の最後の箇所も
引用しておきます「本書のねらい」という箇所です。

「本書を執筆するにあたり、
現代の国際情勢が大きな刺激になった。
平成22(2010)年の尖閣事件以降、中国共産党は、
東シナ海での侵略的姿勢を強めている。また、
南シナ海の島々と軍事基地化は・・・・
 ・・・・
一方、現在も両国間の貿易は相変わらず盛んであり、
双方に大きな利益と繁栄をもたらし続けている。

有力な日本企業のほとんどが、争うように大陸に進出した。
日本の会社が利益を求めて中国に殺到した様子は、あたかも
室町時代の有力大名や寺院が、船を仕立てて次々と勘合貿易に
参入した事実を思い起こさせる。

以下、日本とチャイナの政治的、軍事的対立と、
相互の旺盛な通商という、21世紀初頭の状況を念頭に置きつつ、
室町時代の日明外交と能狂言との関係について論じてゆく。

なお、本書では中華人民講和国の略称を『中国』とし、
一般名称には『チャイナ』を用いた。」(p1~10)



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日出づる処(ところ)の天子。

2021-12-28 | 産経新聞
ちょうど、産経新聞12月28日のオピニオン「正論」欄は
平川祐弘氏の文が掲載されております。
うん。ここを引用。

「中心的な大文明の周辺には文化の混淆(こんこう)が起る。
日本は漢文化の影響を受けつつ自己を維持した。
『和魂漢才』と呼ばれた時期である。

その千年後には、西洋文化の影響を受けつつも自己を維持した。
『和魂洋才』と呼ばれた時期だ。
グローバル化の際、クレオール化といわれる文化の混淆は起るが、
肯定的に受け止めたい。

排他的ナショナリズムが過剰な南北朝鮮は、
独立後、漢字を廃した。偏狭な政策だ。

漢字文化に汚染されたとか、
横文字に日本が侵食されたとか、
私は大仰に騒ぎたくはない。
和食も中華料理も洋食もキムチも好きな
日本人は、暮らしも読書も和洋折衷だ。

しかし、一党専制の支配だけは御免蒙(こうむ)りたい。
顧ると、田中角栄の日中国交回復後、『産経新聞』は別だが、
大新聞の親中の旗振りは異常だった。・・・・・」

はい。ここまででもいいのでしょうが、ですが、
ここは、平川祐弘氏の文の最後の箇所も引用しておかなければ。


「・・・日本外務省のチャイナ・スクールには
『日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す、
 恙(つつが)無きや』という
肩を張った平等感覚はないらしい。

習近平国家主席が唱える
『中国の夢』の正体は、華夷秩序の復活だ。

ヒトラー、スターリンと並ぶ20世紀の三大独裁者の一人、
毛沢東を偉大な師と仰ぎ、その大きな額を天安門広場に飾る
国に碌(ろく)なことはない。

財界人も政治家もそんな一党独裁体制に媚びる
まねだけはしないでもらいたい。」
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90歳の好機。

2021-12-12 | 産経新聞
産経新聞の第37回正論大賞に平川祐弘氏が受賞されて、
昨日に産経新聞に受賞の言葉が引用されておりました。

うん。ここは、きちんと私なりに引用しておくべきでしょう。
そう思いました。まず、正論大賞はどなたが受賞なさってるのか?
私が気になる名前を以下に引用
第1回が渡部昇一。3回は曽野綾子。11回は岡崎久彦。
13回は江藤淳。15回は石原慎太郎。18回は中西輝政。
22回は佐々淳行。26回は櫻井よしこ。30回は秦邦彦・西岡力。
ということで、37回目に平川祐弘氏が受賞することになったのでした。

さて受賞の言葉から、私なりに端折って引用。

「大賞を頂いたこの有難い機会に私の比較文化史研究について
説明し、後進が続くことを願いたい。

平川の特色は対象国に専門があるのではない。
比較する方法にある。
スペシャリストは尊敬するが、
時にひどい結果を出す『専門白痴』もいる。

戦前、陸軍一のドイツ通の大島浩中将は、
駐ドイツ大使としてヒトラーに心酔、
日独伊三国同盟の立役者となった・・その悪しき例だ。

それに対し三国同盟締結前夜、
日本論壇でナチスの非をはっきり述べた竹山道雄は
第一級のドイツ文学者だが、仏英語にも通じ、
判断のバランスがとれ、非人道の国と手を握ることの不可を説いた。

戦後は、北京一辺倒の日本人が各界で正義面をした。その結果、
シナと呼ぶのは蔑称だとして地名すらきちんと呼べなくなった。

チャイナ・スクールは、同胞に対しては偉そうだが、
相手には弱腰だから、先方は中国中心の華夷秩序を
当然と思いこんでいる。

人間、相手国に惚れ込むほどでなければ外国語はものにならない。
それも事実だが、特定国にのめり込むと有害にもなる。
相手を師として崇めるだけでなく、客観的に評価せねばならない。

それには三点測量が必要だ。
一外国語と母国語を結ぶと、知識がばらばらの点ではなく線となる。
しかし一外国語専門家は相手を見つめるうちに、
相手に圧倒されがちだ。

直線上の先に対象を見るから距離感が掴めない。
それが第二外国語を習うと、線の知識は面となり、
遠近感覚がつき、相手の所在が確認できる。
さらに加わると、見方が立体的となり、
バランスが取れてくる。

 ・・・・・・・・
昭和の戦争も東京裁判も、
日本を知り相手を知ってこそバランスのとれた判断は下せる。

国際文化関係研究に受賞されたのは、
平川の複眼のアプローチの有効性が
認められたことと感じ、喜んでいる。」

はい。新聞には、座りながら指さすように語る
平川祐弘氏の写真が掲載され印象深いのでした。
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精励恪勤(せいれいかっきん)90歳。

2021-12-11 | 産経新聞
12月11日産経新聞に正論大賞が載っておりました。
受賞者が平川祐弘氏。受賞の言葉がp14にあります。

昭和6年生まれの平川祐弘氏の受賞の言葉を引用したいのですが、
うん。全文引用しなきゃならない(笑)。
まあ、こちらは読もうとするなら、どなたでも今日読める。
ということで、引用したいのはやまやまながらカット。

ここでは、『精励恪勤(せいれいかっきん)』という
言葉がでてくる連載中の自伝から引用してみることに。

「当時の私は人事について家内に一言も話さなかった。

助手になってフランス語教室の態度がおよそ私に
好意的でないことがわかった。一年経った時、
他大学の助教授の口を勧める人もいたが、
私は、いや、それなら定年まで大学院比較文学
比較研究室の助手でもよろしい、
よそへは移らないと腹を決めた。
自分の力と他人を比べ、そう決めたら気が楽になった。

そして精励恪勤した。
30代当時の私が大学院生に及ぼした感化は、後年
50代の主任として及ぼした影響と大差はなかったかもしれない。

その助手を5年3ヵ月つとめた後、
助教授に昇格し東大に残ることに決まった。
予期せぬ事で耳を疑ったが、
その時も依子になにも言わなかった。

それだから、芳賀知子夫人からお祝いを言われて、
依子はなにがめでたいかわからず返事に窮した。

なにしろ本人がいたって明るく自信満々なので、
キャリヤーに蹉跌(さてつ)がある、などとは
身近な人も感じなかったのである。

『でも、それくらいは教えて下さっても
よかったのではありませんか』
と依子がすこし涙ぐんだ。」
  ( p358~359「月刊Hanada2020年5月号」 )
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恥ずかしい。

2021-06-26 | 産経新聞
今月から産経新聞を購読しております。
うん。今日の一面コラム産経抄(6月26日)がよかった。
ということで、懲りずに今日も産経新聞から。

はい。今日の産経抄を引用したいのですが、そのまえに、
本棚から石井英夫著「コラムばか一代」(産経新聞社・2005年)
をとりだす。ちなみに副題は「産経抄の35年」とあります。
その「まえがき」から引用。

「私は昭和8年1月生まれだから、今年で72歳になる。
・・・
執筆は週一回休みをとったから1年で300本。
35年だからコラムの数だけいえば本数は一万本を超えたことになる。
・・・・
へそ曲がりのせいか時流に逆らうことばかり書いてきた。
とりわけ朝日新聞とテレビ文化人の偽善と迎合にはがまんがならず、
新聞批判、テレビ批判を書くこともしょっちゅうだった。

しかしそのことで読者の反感を買ったことはほとんどない。
むしろ『そうだ、そうだ』『胸がすーっとした』などという
共感の声の方が多かった。」(∼p3)

うん。産経新聞の読者はというと、
昔も今もそんなにかわっていないのかもしれませんね。
あと、第一章からも、すこし引用しておきます。

「・・これは理屈うんぬんの問題ではない。
いちばん簡単なのは理屈を並べることで、
政治家の悪口なんぞは寝そべっていても書ける、
とここは大きく出ていこう。」(p23)

はい。では6月26日の産経抄のはじまりとさいごとを引用。

「中国共産党の専横を真っ向から批判してきた唯一の香港紙、
蘋果日報(アップルデイリー)が、とうとう休刊に追い込まれた。

一党独裁の専制主義国家にあった、ぶれない言論活動を続ける
ことがいかに困難なことか。体制に屈しない覚悟のありようを、
まざまざと見た思いがする。」

はい。これがはじまり。真ん中を端折ってさいごを引用します。

「マスコミでは、左派が大勢・体制で・・・

首相や与党幹部をいくら批判しようと、
何のリスクもない言論の自由が保障された国で、
権力と対決している気分に酔うのである。

森友学園への国有地売却も加計学園の獣医学部新設も、
権力の監視という美名の下でマスコミが大騒ぎした結果は、
大山鳴動ネズミ一匹にすぎない。

国政を停滞・混乱させ、必要な法制定や政策実行を
遅らせただけではないか。

時の政権の問題点を追及するのは当然である。
だが、大切なことは反体制を気取ることではなく、
事実を提示していくことだろう。
そうでないと蘋果(ひんか)日報に恥ずかしい。」

はい。3回連続産経新聞を引用してしまいました。
ガンバレ。産経新聞。




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友よ。

2021-06-24 | 産経新聞
産経新聞6月24日の一面の見出しは、
『朋友、等你回來!(友よ、復活を待つ!)』
はい。藤本欣也氏の短文で、一面コラムと同じほどの字数でした。
はじまりは、
「香港紙で唯一、中国共産党を真っ向から批判してきた
蘋果日報(アップルデイリー)が23日、休刊に追い込まれた。」

はい。一箇所だけ引用するなら、ここかなあ。

「羅偉光総編集(編集局長)(47)に初めて会ったのは
昨年6月、香港国家安全維持法(国安法)が施行される直前だった。

羅氏は、
① 中国本土の取材ビザがなかなか出ない
② 同紙記者だけ高官の取材の際に排除される

など当局の嫌がらせに悩まされている、とこぼした。

聞いている内に、吹き出しそうになった。
『産経新聞も同じですよ』。
2人して苦笑した。  

国安法施行翌日の昨年7月1日、
蘋果(ひんか)日報の1面の見出しは
『悪法が発効、一国二制度は死を迎えた』だった。
・・・・・
羅氏も、黎氏も今は獄中にある。」

うん。これが今日の産経新聞。
ほかの新聞は、どのように扱っているのだろう。
うん。いいや。わたしは産経新聞だけで。

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朝ドラ『おちょやん』

2021-06-23 | 産経新聞
昨日の新聞一面コラムから引用。
はじまりは
『東京五輪開催まで1カ月に迫った現在でも、反対論が根強い。
ワクチン接種が順調に進んでいるとはいえ、コロナ禍の収束には
ほど遠い状況では無理もない』

コラムは、辞退に言及しております。

『大会ボランティアの一部が辞退した問題の背景にも、
多くのメディアによる否定的な報道やSNS での誹謗中傷があった』

うん。コラムの最後を引用しておきます。

『先週末に放映された朝ドラ「おちょやん」の総集編に
こんな場面があった。主人公の千代にとって役者人生の
出発点となった大阪・道頓堀は空襲によって焼け野原となる。
廃墟となった稽古場で一人演じる千代を憲兵が見とがめて、
連行しようとする。「この非常時に不謹慎だ!」
  ・・・・・・
千代はひるまない。「うちはずっと芝居して、兵隊さんや銃後を
守っている人たちを励ましてきたんだす」。
五輪に集うアスリートたちも、
コロナ禍で疲れ果てた人たちを必ず励ましてくれる。』

はい。今月からまた産経新聞を購読しております。
一面コラム「産経抄」の2021年6月22日より引用しました。
今日の産経新聞一面トップは

『中国に批判的な報道を続けてきた香港紙、蘋果日報(アップルデイリー)
が中国・香港当局の弾圧で休刊に追い込まれる見通しとなり・・・』

今日の産経抄は、この蘋果(ひんか)日報をとりあげます。
全文引用するのはあきらめて、コラムの最後を引用。

「『ペンは剣よりも強し』という言葉は、
言論は暴力に勝るという意味で使われている。

19世紀の英国の作家、リットンが手掛けた戯曲のなかのセリフ
なのだが、実は『偉大なる人物の統治の下では』との条件がつく。

つまり、剣を振りかざして抵抗しても、
権力者がペンでサインした令状で抑え込めるというのだ。

香港の報道の自由を圧殺した中国当局のおかげで、
名言が本来の意味を取り戻した。」

うん。産経新聞ガンバレ。
一票投票する思いで購読。
天安門事件以降、いまだに産経新聞は
中国へ特派員を、置けないでいるはず。

コメント (3)
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にっぽん縦断こころ旅。

2021-01-06 | 産経新聞
新聞は産経新聞を取っているのですが、
新聞を読んでないなあ。ということで、
産経新聞のオピニオン欄「正論」の
昨日1月5日の平川祐弘氏の文を読む。
うん。「年頭にあたり」とあるので、
年頭オピニオンのシリーズのお一人
として書かれておられるようです。
題して「日本における神道の行方考える」。

うん。平川祐弘氏は1931年生まれですから、
今年は90歳。文章は若々しくNHKBSの
「にっぽん縦断こころ旅」への言及が
鮮やかな印象を残してくれます。
それは、最後に書かれているのでして、
そのまえに、ここを引用してから

「私は優等生タイプだったから、敗戦後、
神道がよくないように教えられるや、敏感に従った。
 ・・・・・・・
しかし、人の心の中に半ば眠っている宗教感情こそ、
実は深く根ざしたなにかである。無意識であるだけ
に逆に根深い。それが人生の大事な瞬間に目覚める。

神道は時の流れと結びついた宗教感情で、
季節の命の営みの宗教でもある。
初日の出に覚える胸の高鳴りが、日本の民の宗教心なのだ。
その証左に歳時記には新年に天神地祇(てんじんちぎ)に
まつわる句が多い。」

はい。これが平川氏の文の中頃にありました。
後は、平川氏の文の最後を、おもむろに引用してみます。
うん。わたしはこれを読めただけで、産経新聞を購読した
甲斐があったと、この一年思っているだろうなあ(笑)。
さて、この文を読まなかった方々のために、引用してみます。

「私は自宅から徒歩で参宮橋、そこから西参道を経て、
参拝後、南参道から原宿へ出て代々木公園を抜けて帰宅する。
卒寿を迎える身には大散歩で、気軽に長旅に出ることはない。

そんな老体は、テレビで火野正平氏の自転車の
『にっぽん縦断こころ旅』を見、一緒に全国を旅したつもりでいる。

NHKの関係者がどこまで自覚しているか知らないが、
あの一行は自転車で日本を実は巡礼している。
その尋ねる先は神社やお寺の庭、海辺、大樹、山頂、小学校など、
日本人の心のふるさとをたどるが、大和島根には地霊の働きがある
のか、その行く先の多くが神道ゆかりの地である。

日本人の心の行方はどこにあるのか。それは自転車をこぐ人に、
往時の思い出を手紙で打ち明ける人々の胸の中にある。

その人たちのいまは亡き人々をしのぶ思いが、
自転車をこぐ人にも、それを見ている私たちにも伝わる。
その共感が体験されることが尊い。

松尾芭蕉の『奥の細道』にも神道の巡礼の面影がある。
人生の旅路を踏みしめていくとき、光を浴びた瞬間、
畏敬の念を覚え、日本のこころを思いもかけず
分かち持つ折がある。神道は生きている。
  あらたふと青葉若葉の日の光      」


平川祐弘氏が一日でも長く生きて頂けるよう、
そして、今年も健筆で語りかけて下さるよう、
そんな一年でありますよう、願っております。

言葉でもって2021年お年玉をいただいたような、
ほっとするような、うれしい心持になりました。
新年のはじまりの、その言葉の、おすそ分け。
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信ずるに足る友人。

2020-08-30 | 産経新聞
安倍晋三氏について、新聞を読みたかった。
産経新聞2020年8月30日一面の古森義久氏の文を読む。

氏は、2006年9月30日の頃のことから始めております。

「・・・当時、ニューヨーク・タイムズの安部首相への
論調は不当なほど厳しかった。小泉政権の若き官房長官として
憲法問題でも歴史問題でも『普通の国』の基準で明快に主張する
安倍氏に対して『危険なタカ派のナショナリスト』などとレッテルを
貼っていた。同紙のノリミツ・オオニシ東京支局長は
『安倍氏の説く日本の民主主義は幻想』とまで糾弾した。」

こうした論調のなかで、古森氏へ寄稿文の依頼が来る。
その依頼文に記したことを古森氏は、あらためて紹介しておりました。
今日の古森氏の文の最後の箇所を引用。

「『安倍首相は祖父(岸信介元首相)の助言を守る形で
日本の将来の防衛を日米同盟の枠内に堅固に保っていくだろう。
米国人は共和党、民主党の別を問わず、いま人気の高い日本の
新首相が完全に現代的で率直な、そして信ずるに足る友人である
ことを知るだろう』
この14年前の期待をこめた予測が現実に沿ったことに
・・・・私はささやかな満足を覚えている。

共和党のトランプ大統領も、民主党のバイデン副大統領も、
安倍首相の日米間の同盟や友好の強化の実績に手放しの礼賛を
いまや正面から表明した。

中国や北朝鮮という目前に迫った脅威や国難に対しては
米国との絆の強化はいまの日本には貴重である。

米国側の逆風をもかつてないほどの順風に変えたのは
ほかでもない、安倍首相自身の実力、努力、そして
信念と哲学だったといえよう。」
(ワシントン駐在客員特派員・古森義久)

はい。読みたい記事を、産経新聞で読めました。
ひょっとして、読めていない方のために、
ここに引用しておきます。
コメント (2)
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