もうすぐ6月です。
今月の新聞コラムで印象に残ったのは
2020年5月23日の産経抄でした。
はじまりは
「韓国の慰安婦支援団体といえば、いつの間にか
国家的英雄視されるようになった元慰安婦の威光を背に、
半ば聖域のように扱われてきた。・・厄介で反日的な存在である。
・・その代表格・・前理事長の尹美香(ユンミヒャン)は
4月の総選挙で与党から当選している。
ところが・・・尹氏を、30年間活動をともにしてきた
元慰安婦の李容洙(イヨンス)が告発したことで事態は動く
『性奴隷というが、とても汚くて嫌で仕方ない。尹に話した。
だが【こう表現してこそ米国が怖がる】と(言っていた)』。
李氏は韓国紙、中央日報にこう話したほか、元慰安婦への
寄付金が流用されていると訴えた。・・・・・
また、元慰安婦が共同生活を送る民間施設『ナヌルの家』でも、
寄付金の使途をめぐる疑惑が施設職員により暴露され、
行政処分を受けることになった。
社会的地位を享受していた支援団体は一転、
元慰安婦を商売の道具にしたとの批判を浴びている。」
このあとでした。日本への言及を産経抄は忘れません。
「日本も無縁ではない。
数年前にナヌムの家に併設された歴史館を訪ねると、
朝日新聞の慰安婦関連記事が展示され、挺対協主催のデモに
参加した岡崎トミ子元国家公安委員長の写真も掲げられていた。
共産党系団体の寄せ書きもあった。
韓国の反日姿勢の背後には、常に日本人の協力者がいる。
慰安婦を『性奴隷』と呼び始めたのも日本人弁護士だった。
残念ながら、日本の敵は日本人だといわれるゆえんである。」
はい。少し端折ったのですが、大半を引用してしまいました。
うん。こんなこと朝日新聞には載らないではないでしょうか。
思い浮んで、本棚から柳田国男著「山の人生」を
とりだしてくる。ここに『狐憑き』をとりあげた箇所があった。
はい。全集別巻に索引があるので、簡単にさがせました(笑)。
はい。こちらは日本の民俗に関する本です。
1は、「山に埋もれたる人生ある事」から、はじまります。
その12には、「大和尚に化けて廻國せし狸の事」で、
ここに「狐つき」が語られておりました。ちなみに、
その13は、「神隠しに奇異なる約束ありし事」と、続いております。
もどって、12に登場する「狐憑き」の場面を引用。
「近頃でも新聞に毎々出て来る如く、
医者の少しく首を捻るような病人は、
家族や親類が直ぐに狐憑きにしてしまふ風が、
地方によってはまだ盛んであるが、何ぼ愚夫愚妻でも
理由も無しに、そんな重大なる断定をする筈が無い。
大抵の場合には今までも似たような先例があるから、
もしか例のでは無いかと、以心伝心に内々一同が警戒していると、
・・・・・
横着なそぶりとなり、この方でも『こんちきしやう』などと
いうまでに激昂する頃は、本人もまた堂々と何山の稲荷だと、
名を名乗るほどに進んで来るので、
要するに双方の相持ちで、もしこれを精神病の一つとするならば、
患者は決して病人一人では無いのだ。・・・多勢で寄ってたかって、
化けたと信ぜずには居られぬように逆に・・・誘導したものかも知れぬ。」
(「定本柳田國男集」第4巻・昭和43年・p90)
この「多勢で寄ってたかって」のなかに、
朝日新聞がいて、挺対協デモに参加した岡崎トミ子。
共産党系団体。そして
「慰安婦を『性奴隷』と呼び始めたのも日本人弁護士だった」。
ここに登場する日本人が、多勢で寄ってたかっている構図。
韓国よりも、それを誘導する弁護士がいる日本。
はい。誰にでも『狐憑き』はあるのかもしれないなあ。
とも、思ってみます。でも狐がつくのか、狸がつくのか。
せめてそれを選べるのならいいのだけれど、
たとえば、新聞の一面コラムでも、
産経新聞『産経抄』が憑くのか。
朝日新聞『天声人語』がつくのか。
読売新聞『編集手帳』がつくのか。
毎日新聞『余録』がつくのか。
うん。「天声人語」憑きという限定があるのなら、
昔懐かしい深代惇郎の「天声人語」が、憑いてくれればなあ。
そんな指名ができるなら、ずいぶんと思考が楽しくなります。