ネットで本の注文が、習い性となってます。
以前もそうだったのですが、そうすると、
何かの関連で注文したはずの本の、
その関連の結びつきをすっかり忘れてしまってる。
本への興味も、私のことゆえ、すぐ飽きます。
興味にも引き潮があって、齢を重ねると、
そろそろ、この興味も終わり、次の興味へと移るころだと、
何となく分かるような気がしたりして。
すると、引き潮のあとに、残った本が、
これが、どうして買ったか分からない。
すでに、引き潮で興味が失われている。
要するに、すっかり忘れてしまている。
うん。こういう時のための備忘録。
それを書いてみることに。
津野海太郎著「百歳までの読書術」(本の雑誌社・2015年)。
その最後の方に、「もうろくのレッスン」とある。そこに、
「ちくま文庫版の『老人力 全一冊』を購入」(p263)とある。
津野さんが、その文庫をひらくと
「 ふつうは歳をとったとか、モーロクしたとか、
あいつもだいぶボケたとかいうんだけど、そういう言葉の代りに、
『 あいつもかなり老人力がついてきたな 』
というふうにいうのである。そうすると何だか、
歳をとることに積極性が出てきてなかなかいい。
歳をとって物忘れがだんだん増えてくるのは、
自分にとっては未知の新しい領域に踏み込んでいくわけで、
けっこう盛り上がるものがある。 」(p263)
ここで、そういえば、と
松田哲夫著「縁もたけなわ」をひらくことに。
「赤瀬川原平さん(その3)」の始まりのイラストは
老人力の本が描かれて、そのわきに
「ものわすれで、いつもからかっていた
赤瀬川さんに追いついてしまった二人が思いついた・・」
とコメントがあり、
下には、南伸坊と藤森照信のふたりのイラスト
藤森さんは、笑いながら『老人力ってのはどうか』といい。
伸坊さんは、『いいねエ』と。
はい。このページをめくってみると、こんな箇所。
「・・・そこで、『忘れる』談義に花が咲く。
『 若い時って、イヤなことをいつまでも覚えてつらかったこともあった 』
『 記憶力は頑張れば身につくけど、
忘れるのは頑張ってできることじゃないね 』
物忘れとか固有名詞が出てこないとかを、
『 忘れる力がついた 』と裏返そうという
赤瀬川さんらしい考え方が全面展開される。
そこで藤森さんは、
『 老化ってマイナスイメージしかない。
思いきって力強い表現にしちゃおう 』と
『 老人力 』という言葉を口にする。
こうして、マイナスの価値観を裏返す赤瀬川的思考に
藤森的パワフル・ネーミングが加わって、最強の言葉(概念)が誕生した。」
はい。「最強の言葉(概念)」の誕生の瞬間ですから、
ここは、繰り返しになったとして構わずに引用します。
「『 スポーツの力は筋トレなどでつけていく。
でも、いざチャンス、いざピンチという時は、
コーチや監督が【 肩の力を抜いていけ 】と言う。
あれも同じじゃない 』
名前がつくと、一同、俄然張り切って・・・
老人力のあらたな解釈が積み重なっていく。・・ 」(p210)
もどって、津野海太郎さんの「もうろくのレッスン」は
赤瀬川さんのあとに、鶴見俊輔さんの『もうろく帖』へと
駒をすすめておりました。
はい。『老人力 全一冊』『もうろく帖』『百歳までの読書術』
この3冊で3馬力。老人力に拍車がかかります。