和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

まひるの星が出ています。

2021-02-07 | 本棚並べ
岸田衿子の詩「てがみ」のはじまりは、

「どうしていますか
 こちらは まひるの星が出ています」とあります。

うん。何となく気になるはじまりでした。
いったい、「まひるの星」って何だろう?
はじめて読んだ際に、そんなことを思う。

それから小林秀雄著「感想」を読んだ際に、そのなかの、
「信ずることと知ること」を読んでいると、
柳田國男の『故郷七十年』からの引用がありました。

そこには、柳田さんの14歳のころ、体を悪くして、学校にもいけず、
茨城県の布川の、長兄の松岡鼎さんの家にたった一人で預けられた
ことが語られておりました。その家の隣に小川という旧家があって、
非常に沢山の蔵書があり、毎日そこへ行って本ばかり読んでいたの
だそうです。
以下、小林秀雄の文から引用。

「その旧家の奥に土蔵があって、その前に20坪ばかりの庭がある。
そこに二三本樹が生えていて、石で作った小さな祠があった。
その祠は何だと聞いたら、死んだおばあさんを祀ってあるという。
柳田さんは、子供心にその祠の中が見たくて仕様がなかった。

ある日、思い切って石の扉を開けてみた。そうすると、
丁度握り拳くらいの大きさの蠟石が、ことんとそこに納まっていた。
実に美しい珠を見た、とその時、不思議な、実に奇妙な感じに
襲われたというのです。それで、そこにしゃがんでしまって、
ふっと空を見上げた。実によく晴れた春の空で、
真っ青な空に数十の星がきらめくのが見えたと言う。

・・・・その奇妙な興奮はどうしてもとれない。
その時鵯(ひよどり)が高空で、ぴいッと鳴いた。
その鵯の声を聞いた時に、はっと我れに帰った。
・・・そこで柳田さんはこういているのです。
もしも、鵯が鳴かなかったら・・・・布川時代の思い出は、
『馬鹿々々しいということさえかまはなければいくらでもある』
と断って、この出来事を語っている。・・・・・」


うん。うまく引用できないので、
中途半端なままで、ここまでにします。



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