和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

祖父(じいじ)の本でも読めば。

2020-04-28 | 産経新聞
文化人放送局の「加藤&阿比留のなんだかなぁ」では、
いつも最初に、阿比留さんが産経新聞の購読お願いを
しています。もう少し楽しそうに営業すればなあ
と毎回思ってニコニコしながら見ている私がいます。

うん。今日4月28日の産経新聞は読み甲斐があります。
なんせ、読書に関する話題で、私の興味をひきました。

一面の産経抄コラムでは、
橋本治著「大不況には本を読む」を引用して

「不況になると、人が以前より
本を読むようになる理由を2つ挙げる。
1つは不景気になると暇になる。確かに読書は、
時間あたりの単価が安くつく娯楽といえる。
もう1つは、不況が収束したらどうすればいいのか、
多くの人が考えるようになるからだ。」

こうして、コラムの最後も引用しておきます。

「今回のコロナ禍にも、そのままあてはまる。
ウイルスの感染はいつかは収束する。
その後の日本と世界はどうなっているだろう。

人の働き方から国の統治のあり方まで、
大きく変わらざるを得なくなる。そのなかで、
どのように生きていくべきなのか。
道しるべを求めて、やはり
『コロナ禍にも本を読む』しかない。」

それに呼応するような文が、載るのが産経新聞。
今日のオピニオン『正論』欄は、平川祐弘氏の文。
題して『コロナ禍の災い転じて読書の福』でした。

はい。引用しなきゃね(笑)。
テキサスにいた孫娘さんが、飛行機が飛ばなくなる前に
帰国していたことから書きはじめております。

「コロナ報道で気が滅入ると、チャンネルを変える。
だがスポーツ番組は前に見たものと同じだ。
テレビは消す。では何をするか。

隔離下は読書にかぎる。少年のころ対米英戦の空襲下、
光が漏れぬよう電灯を遮蔽し、英語教科書を朗読した。すると父が
『昔、ロンドンの下宿で隣の少年の声を聞いた時のようだ』と言った。
戦時下でも英語は一生懸命勉強した。」

具体的な読書計画も入れておられます。

「今度のコロナ禍も、これを機に
日本人の読書習慣を復活させ、持久戦を生き抜きたい。
オンライン授業が無理なら『坊っちゃん』『風と共に去りぬ』
『レ・ミゼラブル』等を読ませる。感想を送らせ、先生は自宅で採点する。

近代史の自習には『福翁自伝』や『坂の上の雲』を読ませる。
コロナ禍の災い転じて読書の福としたい。」

「ただ図書館は閉鎖だ。・・・・・
漱石全集や鴎外全集を読み通すなら、
文学部卒業以上の実力がつく。」


「狭い室内で子供が騒ぐと面倒だ。読書を課すがいい。
スマホのゲームに溺れないかと心配する家内は
『祖父(じいじ)の本でも読めば』と言う。
だが帰国子女は米国の高校の宿題に追われ、馬耳東風、
私の著作集など見向きもしない。」

このあとが、やっと平川祐弘氏の読書指南の本題となります。
二冊。まずは昨年中公文庫再刊の今村均著「幽集回顧録」をあげ
ております。うん。ここではカットして二冊目だけを引用します。

「日本は・・・みな英語の発信が不得手である。
例外は上皇后陛下である。美智子さまは海外で知られない
日本近代詩を英訳し、そのご朗読DVD付き詩集、
『降りつむ』(毎日新聞出版)を出された。
題は永瀬清子の詩で、

 かなしみの国に雪が降りつむ
 失いつくしたものの上に雪が降りつむ
 その山河の上に
 そのうすきシャツの上に
 そのみなし子のみだれた頭髪の上に

これは今村が描くものとは別の国破れた光景で、
戦災孤児は降る雪にふるえている。
陛下の朗読を日英両語で拝聴し、
深い強いお声は詩人の声と驚きつつ感得した。
日本語と英語を通して、悲しみを糧(かて)として
生きた昭和20年代の日本人の感情が立体的に蘇(よみがえ)る。

このご本も意外な光を敗戦後の日本に当てる。
孫にはその気持ちがまだわからない。
だが当時を生きた者にはわかる。そして私は思う。

ウイルスと苦戦する令和の日本もまた
『地に強い草の葉の冬を越すごとく』このさき生きるであろう。

『その下からやがてよき春の立ちあがれと雪が降りつむ』。

Snow falls-Ah,  with what merciless mercy.
On this country of sorrow.

『 非情のやさしさをもって雪が降りつむ
  かなしみの国に雪が降りつむ  』

翻訳は外国語から母国語にするものと私は確信していた。
しかしこの英訳の世界には訳者の解釈に独特な力があり、
原詩が意外な光を浴びて英詩として輝き、
新しい命を帯びている。尊いことである。」


はい。今朝さっそく朗読DVD付き詩集『降りつむ』を
古本で注文しました(笑)。本は読まなくとも朗読なら、
今すぐにでも聴きたい。と思いました。
そして、今村均の文庫。これも古本で注文。

漱石全集や鴎外全集は読めないけれど、そして
「風と共に去りぬ」「レ・ミゼラブル」は読まない私ですが、
朗読のDVDと、陸軍大将・今村均の戦後を読んでみたい。


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1 コメント

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古本 (きさら)
2020-04-28 13:20:08
読む本がなくなったので
自分の若い頃読んだ古本を
取り出してきました。
字が小さくて 字体も読みにくいですが
ないよりマシです。

昨日コメントした
「ナニワイバラ」の咲いているお宅に
散歩がてら歩いて行ってきました。

今日の画像と 昔の画像を合わせて
g00のブログにアップしましたので
また お暇なとき 覗いてくださいね。
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