和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

さて年齢を重ねてみると。

2021-02-07 | 本棚並べ
小林秀雄の本は20代頃に読んだのですが、
はたして、わかっていたのかどうか。
この頃、開こうという気もしないけれど、
本を捨てたわけではないので、小林秀雄はそのまま
本棚にあります。小林秀雄著「考えるヒント」は
短い文でなりたっているので、わからなくても
それなりに、よくひらきました。
はい。そのなかに『青年と老年』という文がある。
青年の時に読んで、今度は、老年の入り口で読むことに。

そのはじまりは、正宗白鳥氏をとりあげておりました。

「・・・・・・・
『つまらん』と言うのは『面白いものはないか』と問う事であろう。
正宗さんという人は、死ぬまでそう問ひつづけた人なので、
老いていよいよ『面白いもの』に関してぜいたくになった人なのである。

私など、過去を顧みると、
面白い事に関し、ぜいたくを言う必要のなかった若年期は、
夢の間に過ぎ、面白いものを、苦労して捜し廻らねばならなくなって、
初めて人生が始ったように思うのだが、さて年齢を重ねてみると、
やはり、次第に物事に好奇心を失い、言わば貧すれば鈍すると言った
惰性的な道を、いつの間にか行くようだ。のみならず、いつの間にか
鈍する道をうかうかと歩きながら、当人は次第に円熟して行くとも
思い込む、そんな事にも成りかねない。」

うん。このあとに、徒然草の引用があって
最後は、堀江謙一著「太平洋ひとりぼっち」に
ふれておわるのでした。その最後の方から、
ちらりと引用。

「断わっておくが、面白いものについてぜいたくになった者は、
面白いものを捜しているのだ。なるほど青年は皆面白い。だが、
自分の力で自分の若さをしっかりつかんでいる青年は、もっと
面白いはずではないか。」

う~ん。
『自分の力で自分の若さをしっかりつかんでいる青年』
でもなかったし、その延長で、
『自分の力で自分の老いをしっかりつかんでいる老年』
でもないのだろうなあ、さてどうしたものか。

この文は5ページほどの短さなので、簡単に読み返せました。

「若年期は、夢の間に過ぎ、面白いものを、苦労して捜し
廻らなければならなくなって、初めて人生が始ったように思う・・」

うん。
『初めて人生が始った』その時期にいるのだと、読むことにします。


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