和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

自分で決めればよさそうなものだが。

2022-02-23 | 本棚並べ
姉妹社「サザエさん うちあけ話 長谷川町子」の本の背が
もろくも、パカッと半分はがれてしまいました。
背文字の「け話 長谷川町子」の部分がとれる。
うん。古くて茶色に変色した背文字でしたから。
しょうがないか(笑)。

何回でも飽きない『サザエさんうちあけ話』の
面白さは、いったいどこからくるのだろうなあ。

そのヒントになりそうな箇所を引用してみることに。
長谷川洋子著「サザエさんの東京物語」(朝日出版社)
のこんな箇所。

「毎日、午後になると、町子姉が原稿の下書きを
 四、五枚持って二階から下りて来る。

 その中から私に一枚を選べと言うのだが、
 二つも三つも面白いときがあり、これも
 あれも面白いわよ、と言っても納得しなかった。

 厳選して一枚だけ選んでよ、と言い、それなら
 自分で決めればよさそうなものだが、
 長時間、考え続けていると頭が熱くなって
 どれが面白いのかわからなくなるのだそうだ。

 面白いと思う案まで丸めて屑籠行きになるときは
 本当に惜しく残念だった。」(p70)

ここで『いじわるばあさん』第5巻に登場してもらいます。
p81は、息子三人の会合

長男『いま漫画ブームなんだろ、オフクロ
                   ちっとは  あずかってくれよ』

次男『オレんとこも ワイフのオヤジが来てるんでネ』

三男『ダメだよ マンガの仕事って
      スゴくしょーもー するんだ』

こうして、三男の家へゆくことになります。
いじわるばあさんですが、ここでp95の四コマ漫画。

①三男『このマンガおもしろい?』と
    ばあさんに、できた原稿を差し出す。

②三男がニコニコしがなら、
 原稿を見いるばあさんの姿を、眺めている

③無反応な顔で、ばあさんが原稿をもどす。
 三男に見えないようにして自分のお尻へ
 あてた「やっとこ」をギュッと握ってる。

④ばあさんは隣の部屋へもどると腹をかかえて
 『オモシロイ』と笑っている。仕事部屋では
 三男が、その原稿をヤブき、落ち込んだ姿が見える。

( ちなみに、「やっとこ」は閻魔さまが
    舌をぬくときに使っている道具  )

はい。ここで、背が半分はがれてしまった
『サザエさんうちあけ話』をひらくことに。

15話『仕事の波』の活字部分から、ひろってみます。

「今もって わからないのが 案の波です。
 こっ苦べん励したからといってオモシロい
 マンガができる わけじゃありません。
 
 といって、むやみに出歩いてみてもムダ
 べつに けんこうも カンケイない

 ある時、むしんに サイホウ箱のせいりをしたりしている。
 フッと案が、うかびます。

 エンピツで下書きをして妹に みせます。
 この間、三分。
 『ゲラ ゲラ ゲラ』と
 笑ったから ヒットです。
  ・・・・・」(p62)

つぎに、忘れられない箇所がでてきます。

「さァ、案の出ない日と きたら、
 きのうから うなりつづけ
 
 努力すれば するほど
 洋子『どーも ムリがあるわネ 
     考えすぎじゃないの?』

 時間ばかりが ようしゃなく せまってきます。
 町子『しかたない、今日はこれで仕上げるか・・・』

p65につながってゆきます。

 こんどこそ、仕上がり。
 フウトウを とり出す。
 気に入らないほうは、
 四つにに引きさく。

 ハッ!! 
 頭がつめたくなる。
 描きなおしの方をやぶったのです。
 
 町子『バカだョ あたしゃ・・・・』


はい。こんな箇所を、わたしは
笑いながら読んでいるのでした。

この本を本棚へもどして、すっかり忘れた頃に、
また、この箇所を、読み直すことがあったなら、
初めての時のように、また笑っているだろうな。
そんな、リアルなカットが続きます(p62~65)。

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