和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

京都の名産?

2019-12-29 | 京都
桑原武夫氏は、ある講座の内容紹介プログラムに
こう書いておられました。
はじまりは、こうです。

「京都には優れた新しい学問がよくそだつ、と言われる。
それは間違っていないようだ。・・・・
公平に見て、京都は学問の名産地だといえるのである。
・・・・」

こうして講座のトップランナーは桑原武夫氏の
講話からはじまっておりました。
それに対する感想を、鶴見俊輔氏がしております。
そこをすこし引用。

「東京では学問をとおして銀時計をもらって
卒業するとかして権威と大きな金に近づくことができる。

京都では不可能です。
日本最高の権力を、京都で勉強して
京都で住みつづけて得ようなんていっても、
それはできない。
それには、もういっぺん王政復古をやる以外にない。
金もそうです。財界的な力ですね。
金力として日本最高の金を京都でつかむ
ということは不可能です。
はじめからその望みは断たれているわけですから、
そのことをあらかじめあきらめたうえで
京都に来て勉強します。

東京の大学出の人たちの間で育って、
それとの比較で京都を見ていますと、
昭和23年以後のことですが、
京都の秀才と東京の秀才とでは、
同じくらいの秀才であるとしても
一つ違いがある。

京都の秀才は欲がない。
欲のある秀才は必ず東京へ行きます。
欲のない秀才は何をするか・・・・」(p22)


もどって、桑原武夫氏の講話から
ちょっと一カ所引用しておきます。

「京都は・・・明治以後、
詩人と小説家はほとんど出ていない。
これは驚くべきことです。
石川啄木、宮沢賢治、萩原朔太郎、
夏目漱石、森鴎外、みな京都でない。
 ・・・・・
なぜそうなったか、これは
私が前から考えているテーマですけれども、
だれも正確に答えた人がいない。
私の考えでは、京都でいちばんのけなしことばは、
『アホ』ということです。
『あれはアホでっせ』という。
そして、詩を書いたり小説を書くというのは、
どこかアホなところがなければ
恥しくて書けないものです。
ところが京都はアホというものを、
全然、尊敬しない(笑)。
そういうことと関係があると思います。」(p14)

うん。面白いのでもう一カ所引用。

「もう少し立ち入っていえば、
これも例外がありますけれども、
京都の学者の多くはヨーロッパだけしか
知らないという人ではありません。

この次やってもらう今西錦司君などは、
京都の新しい学風に大きな刺激を与えた人
でありますけれども、この今西君、
そのお弟子さんの伊谷純一郎君、河合雅雄君、
そういう人たちに見られるアジア・アフリカ体験ですね。

ヨーロッパだけ見ていると地下鉄があり、
物はいくらでもあり、飢え死にする人などいない。
そういうヨーロッパの、しかも文明都市にしか
興味のなかった人が多いのですけれども、それは
私は日本の社会科学の基本的な弱みだと思っています。
・・・・」(p17)

以上は
「創造的市民講座」(小学館・1987年)から、
ちなみに、講座の顔触れは
 桑原武夫
 今西錦司
 福井謙一
 梅原 猛
 伊谷純一郎
 河野健二
 司馬遼太郎
 河合隼雄
 永井道雄
 山崎正和
 広中平祐
 鶴見俊輔

うん。いつもですが、私は最初の箇所しか
読んでおりません(笑)。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日めくりカレンダー。 | トップ | 西陣の織元と下駄屋。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

京都」カテゴリの最新記事