80歳をすでに超えている巨匠シドニー・ルメット監督のすさまじい傑作である。シリアス物ではここ数年のベスト3に入ると思う。キャスティングが適切で、俳優の得意な分野を熟知し選ばれたフィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホンクいずれも良い。題材がかなり強烈な話だが、アメリカでは起きそうな事件。序盤からハラハラさせ、心臓どきどきしながら110分を観きった。感動するというよりジェットコースターのようなアップダウンに揺れ動かされた。
いきなり宝石強盗の場面が出てくる。最初にフィリップ・シーモア・ホフマンの濡れ場シーンが出た後なので、フィリップが強盗したのかと錯覚させる。強盗に対抗して、店を預かる女性がピストルで強盗を撃ちぬく。そして強盗は女性を撃ち返したが、強盗はとどめの一発を女性に撃たれる。それを外で待機していた仲間のイーサンホンクが見てあわてて車で逃げていく。
フィリップとイーサンは兄弟。エリート会計士のフィリップと比較すると、離婚後の慰謝料の支払いも遅れがちのイーサンは明らかに金に困っている。ところが、フィリップも取引先の会計の不正処理が判りそうで、それを埋め合わせるためにお金が必要だ。フィリップはイーサンに強盗を提案する。それはなんと二人の実家が経営する宝石店であった。強盗されても保険が補填するので大丈夫だから、我々は盗んだ宝石を換金してお金を返済すれば良いと。。。。。
時間軸を後ろに前に動かしていく中で、ようやく大筋が見えてくる。最初はどうしたんだろうと思うが、次第に目が慣れてくる。強盗に失敗すると同時に最愛の母親を負傷させたことでフィリップとイーサンはうろたえる。
フィリップ・シーモア・ホフマンは「カポーティ」の演技でオスカー主演賞をもらった。個性派監督の作品の味付け的な存在が完全にメジャー化した。今回は「ミッションインポッシブルⅢ」の悪役ぶりの流れをくんでいる。これからはむしろ悪役的キャラが得意になっていく気がする。
イーサンホンクは、ちょっと気の弱い男を演じさせるとうまい。そのときに対照的なキャラが反対にいると映える。うまくいった例が「トレーニングデイ」のデンゼルワシントンとの対比である。気弱なところがある新米刑事の性格描写が実にうまかった。あの映画ではイーサンホンクの引き立てがあったからワシントンはオスカーを取れたのだと思う。
頑張ったのが、フィリップの妻役マリサ・トメイである。美しい裸体を何回も見せるセックスシーンが再三あるが、この映画の中では重要な位置を示す。調べてみて撮影当時42歳だと確認して驚いたくらいのバランスの良いナイスバディだ。このバディに幻惑されない男はいないであろう。ある意味体当たりでこの映画に取り組んだのであろう。敢闘賞ものである。
それにしても、大ベテランシドニールメット監督の健在ぶりには驚く。「十二人の怒れる男」はもう50年前である。よくもまあ現役でいられるものだ。ただただ感心した。「狼たちの午後」「ネットワーク」「評決」など歴史的に残る彼の作品と比べても引けをとらない映画構成のうまさを感じる。
いきなり宝石強盗の場面が出てくる。最初にフィリップ・シーモア・ホフマンの濡れ場シーンが出た後なので、フィリップが強盗したのかと錯覚させる。強盗に対抗して、店を預かる女性がピストルで強盗を撃ちぬく。そして強盗は女性を撃ち返したが、強盗はとどめの一発を女性に撃たれる。それを外で待機していた仲間のイーサンホンクが見てあわてて車で逃げていく。
フィリップとイーサンは兄弟。エリート会計士のフィリップと比較すると、離婚後の慰謝料の支払いも遅れがちのイーサンは明らかに金に困っている。ところが、フィリップも取引先の会計の不正処理が判りそうで、それを埋め合わせるためにお金が必要だ。フィリップはイーサンに強盗を提案する。それはなんと二人の実家が経営する宝石店であった。強盗されても保険が補填するので大丈夫だから、我々は盗んだ宝石を換金してお金を返済すれば良いと。。。。。
時間軸を後ろに前に動かしていく中で、ようやく大筋が見えてくる。最初はどうしたんだろうと思うが、次第に目が慣れてくる。強盗に失敗すると同時に最愛の母親を負傷させたことでフィリップとイーサンはうろたえる。
フィリップ・シーモア・ホフマンは「カポーティ」の演技でオスカー主演賞をもらった。個性派監督の作品の味付け的な存在が完全にメジャー化した。今回は「ミッションインポッシブルⅢ」の悪役ぶりの流れをくんでいる。これからはむしろ悪役的キャラが得意になっていく気がする。
イーサンホンクは、ちょっと気の弱い男を演じさせるとうまい。そのときに対照的なキャラが反対にいると映える。うまくいった例が「トレーニングデイ」のデンゼルワシントンとの対比である。気弱なところがある新米刑事の性格描写が実にうまかった。あの映画ではイーサンホンクの引き立てがあったからワシントンはオスカーを取れたのだと思う。
頑張ったのが、フィリップの妻役マリサ・トメイである。美しい裸体を何回も見せるセックスシーンが再三あるが、この映画の中では重要な位置を示す。調べてみて撮影当時42歳だと確認して驚いたくらいのバランスの良いナイスバディだ。このバディに幻惑されない男はいないであろう。ある意味体当たりでこの映画に取り組んだのであろう。敢闘賞ものである。
それにしても、大ベテランシドニールメット監督の健在ぶりには驚く。「十二人の怒れる男」はもう50年前である。よくもまあ現役でいられるものだ。ただただ感心した。「狼たちの午後」「ネットワーク」「評決」など歴史的に残る彼の作品と比べても引けをとらない映画構成のうまさを感じる。