映画とライフデザイン

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映画 シャンハイ  

2011-08-28 07:31:24 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「シャンハイ」劇場で見てきました。
映画館には普通の洋画で見かけない70代以上と思われる観客が珍しく目立った。娘に連れてきてもらったヨタヨタの老婦人の姿がいくつもあったのが印象的だった。上海生まれなのであろうか?

ジョンキューザックが主演で、アジアの国際俳優チョウユンファ、コンリー、渡辺謙とスターが並ぶ。1940年前後の国際都市上海を取り上げた映画は多い。戦前の上海にはものすごく興味がある。ここでも当時の上海に基づく大規模なセットがつくられている。ただ、予想したよりは何か物足りないものを感じた。


まずジョンキューザックが日本軍将校こと渡辺謙のところで拷問を受けているシーンが出てくる。何で思わせるあとで、米国諜報員ことジョンキューザックが1941年10月に上海港に到着するシーンが映し出される。当時の中国の都市のほとんどが日本軍に支配されていた中で、上海だけはイギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、日本など列強各国が租界をつくり均衡を保っていた。上海に赴任したばかりの米国諜報員ことジョンキューザックは、同僚・コナーが日本租界で殺されたとの知らせを受ける。コナーにはスミコこと菊池凛子という日本人の愛人がいた。彼は上海マフィアのボスことチョウユンファを調査していた。
ナイトクラブへ行く。主人公がプレイするポーカーのカジノテーブルに、一人の中国人美女ことコンリーが現れる。有り金全部で勝負するがコンリーに負ける。ハンカチを置いた美しい彼女を追うキューザック、ところが何者かに撃退される。その後ドイツ領事館のパーティに向かう。ヒトラー全盛時代である。そのパーティにはマフィアのボスことチョウユンファもいた。日本軍の将校渡辺謙もいた。新聞記者と偽ってチョウに接触したら、なんとその妻はナイトクラブであったコンリーだという。その後調べると、コンリーの父親は日本軍に殺されていて、彼女に抗日の動きがあることが推測されたが。。。。


1941年の上海はすでに洋式の近代建築が建ち並んでいた。川沿いの洋風建物は今も残る。当時もネオンが妖しく輝く、“魔都上海”と呼ぶのにふさわしい都市だ。欧米諸国と日本が上海でにらみ合いをしていた。欧米の血がうまく漢字文化にとけこんだコロニアル文化に似たものがあったかもしれない。ヒトラーの迫害を逃れたユダヤ人も2万人住んでいるというセリフもあった。その魔都の中で、主役4人が駆け引きを繰り広げている。一瞬わかりづらい部分もあるが、徐々にわかってくる。基本に流れているのは抗日である。南京で日本軍が暴れた話も出てくる。日本人から見ると素直に受け入れ出来ないセリフがいくつかあった。

しかも、この映画かなり粗っぽい気がする。
アジア人でなくスウェーデンから監督を招いているが、ディテイルがちょっと違うのではと思わせる。大規模セットであるが、この程度の上海セットはもっとすごい映画があった。ナイトクラブのセットも日本映画の「上海バイスキング」の方がよく見えた。上海の町風景もCGを多用しているので不自然。

日本租界を描くのに、歩いているのは東南アジアの顔をした人たちばかりだ。これはいくらなんでも違うよ。チョウユンファの情婦という女性も東南アジアの顔で、おそらくは戦前ではこんなことはあり得ない。ヨーロッパの人から見たらアジア人はみんな同じに見えるのかもしれないが、我々から見たらおかしい。同様に渡辺謙演じる日本軍将校がバツイチで、妻が男と駆け落ちして逃げられたという設定も戦前の軍人家庭ではありえない話だと思った。時代考証を考えているようで中途半端になっている。

この時代のアジアを描くのはやはり東洋人監督だと思う。基本的な歴史の流れを知っているからだ。同時代を描く「ラストコーション」に比べて相当落ちる気がした。監督の違いだろう。格下映画の「上海の伯爵夫人」と大して変わらない。1941年と言えば映画「カサブランカ」の世界だ。この映画の一部に「カサブランカ」の匂いがあった。それは逆に欧州の監督だからそうなったのかな?

あまり批判めいたことは普段は言わないが、劇場に行って「うーんいまいちだなあ」と思うのも久しぶりだからだ。


一つだけいい発見は、コンリーの表情が柔らかくなっていることだ。性格のきつい中国人女性を演じさせたら天下一品の彼女からビックリするくらいきつさがとれた。45歳になって美貌に磨きがかかった印象を受けた。俳優以外の日常生活の安定を示しているのかもしれない。

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2 コメント

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上海が気になるなのなら (wangchai)
2011-09-14 05:21:12
お久しぶりです。

ここのところ経営戦略の研修があったり、仕事が忙しかったりで全くブログにたどり着きません。

この映画見たいと思って行ってきました。
自分はこの時代の上海にかなり興味がある男です。ここでも最近書きましたが、「太陽の帝国」の印象が強く、それと比べると物足りない印象と言うだけです。いかにもセットという感じが気に入らないだけで、娯楽としてはちゃんとおもしろくできていますよ。
でも優先順位とすれば、あとまわしでは?
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ぜひ観たい!と思っていました。 (paceola)
2011-09-13 17:41:26
・・でも、wangchaiさんがそうおっしゃるのでしたら・・

気勢が殺がれてしまいましたね。

時間は大切ですから有り難いと思って拝見してます。
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