映画「キング・オブ・マンハッタン」は今年公開のアメリカ映画
ニューヨークの大富豪である主人公をリチャードギアが演じる。
投資の失敗でヤバイ状態に陥った大富豪が、浮気相手の女性と車に同乗した時に事故を起こして、彼女を死なせてしまう。
そういう二重苦にあえぐ主人公を描く。
ロバート・ミラー(リチャード・ギア)は、ニューヨーク在住の投資会社の経営者だ。
最初に華やかに妻のエレン(スーザン・サランドン)をはじめとした家族全員から60歳の誕生日を祝ってもらう姿を映し出す。しかし、ディナーが終わると愛人ジュリー(レティシア・カスタ)の家に向う。同じように祝ってもらうのだ。ジュリーは、彼が出資するギャラリーのオーナーだった。
見かけは華やかだったが、ロバートは苦境に立たされていた。監査を通すために用立てしてもらった4億1200万ドルの返済を延期してもらおうと、ジェフリー(ラリー・パイン)のオフィスを訪れる。しかし、ジェフリーは「すぐ返すといったのに話が違う。」と即刻返却するように言われる。ロバートは、ロシアの銅への投資で大きな損失を出したのだ。そのために、自分の会社をある銀行へ売却することを目論んでいた。その夜、金融会社代表のメイフィールドと交渉の席を持っていたが、そこに相手の代表は現れなかった。ロバートは焦っていた。
ロバートは、交渉のためのアポで、彼女の大切なイベントに参加する時間がずれてしまい、ジュリーとケンカしてしまう。それで仲直りに深夜にジュリーを誘って、彼女の車で別荘へ向かう。ところが、行く途中、居眠運転で事故を起こしてしまう。車が転倒し、気づくとジュリーは即死していた。そのあと車は爆発炎上。間一髪、脱出したロバートは、近くの公衆電話から黒人の若者ジミー(ネイト・パーカー)を迎えにくるように頼んだ。ジミーに口止めした後、何もなかったような顔をして自分のベッドに戻る。
事件が発覚した後、担当刑事のブライヤー(ティム・ロス)は、彼女の事業の出資者であるロバートに当日のアリバイを聞く。自宅にずっといたとロバートは答える。刑事はジュリーとの関係を問い質すが、無罪を主張するロバートに何かキナ臭さを感じる。ブライヤーは現場周辺の公衆電話の通信記録に注目する。そこで浮かび上がったのが一本のコレクトコールだ。その受信者を探り、ジミーにも接近した。
いったん出頭を要請されるが、敏腕弁護士がついていったん釈放された。黙秘する彼に、司法妨害で起訴される可能性があると迫る。一方で会社の投資責任者である娘のブルック(ブリット・マーリング)は4億ドルを超える不明金と二重帳簿に気づき、ロバートに訴えるのだが。。。
映画が始まり、題名が映し出させる。「arbitrage」(アービトラージ;裁定取引)だ。いかにも金融相場のプロが仕掛ける取引だ。全くイメージが違う。日本題は安易に付けられている。
割安を買い、割高を売る。そのポジションをそのままにして、割安で買ったポジションを売って、割高で売ったポジションを買い戻すのだ。相場の上昇下落に関わらず、そこで利益が出る。これは2つの商品の値幅が広がった時、狭まった時あるいは価格が逆転した時に仕掛ける。
日本市場でもっとも有名なのは、日経平均の現物と日経平均先物との裁定取引だろう。一日に何回もその瞬間が来て、利幅が少ないが確実に利益が出る。ただ、日経平均の現物については225採用銘柄の現物を大量に所有したり、取引しなければならず、証券会社や機関投資家レベルのプロでないと普通はできない。いずれにせよ、プロの手法だ。arbitrageが原題とすればウォール街関係者にとっては、一応見ておこうと思うのではないか?逆に「キングオブマンハッタン」の日本題では日本の金融関係者は「半沢直樹」は見ても、これは見ないだろう。
ロシアの銅相場への投資の詳細は触れられていないが、損失の穴埋めに顧客の出資金に手をだしたとなっている。おそらくはレバレッジの効いた証拠金取引で反対の動きが出て追証がでたのであろう。
いずれにせよ、お金を返す必要があるのだ。
しかも、彼女を乗せた車が横転して死んでしまう。普通であれば、警察に届けたらいい話のはずだが、こういうトラブルを起こしたことが判明したら、自社の売却話も難しくなると考えて警察に届けない。
逃げ回るのである。ここでは、主人公を徹底的に追い込むという構図になっている。最後の最後まで決着の道筋はよくわからない。昔であればこういう場合の決着は映倫の指導で必ず正義が勝つようになっていたけど、そうならないことも多いので息をつけない。
同じマンハッタンの投資家を描いた「コスモポリス」という映画を最近見たが、難しいせりふが続いて何がなんだかよくわからなかった。それに比べたらマシだが、映画自体は普通の映画という印象を受けた。
(参考作品)
ニューヨークの大富豪である主人公をリチャードギアが演じる。
投資の失敗でヤバイ状態に陥った大富豪が、浮気相手の女性と車に同乗した時に事故を起こして、彼女を死なせてしまう。
そういう二重苦にあえぐ主人公を描く。
ロバート・ミラー(リチャード・ギア)は、ニューヨーク在住の投資会社の経営者だ。
最初に華やかに妻のエレン(スーザン・サランドン)をはじめとした家族全員から60歳の誕生日を祝ってもらう姿を映し出す。しかし、ディナーが終わると愛人ジュリー(レティシア・カスタ)の家に向う。同じように祝ってもらうのだ。ジュリーは、彼が出資するギャラリーのオーナーだった。
見かけは華やかだったが、ロバートは苦境に立たされていた。監査を通すために用立てしてもらった4億1200万ドルの返済を延期してもらおうと、ジェフリー(ラリー・パイン)のオフィスを訪れる。しかし、ジェフリーは「すぐ返すといったのに話が違う。」と即刻返却するように言われる。ロバートは、ロシアの銅への投資で大きな損失を出したのだ。そのために、自分の会社をある銀行へ売却することを目論んでいた。その夜、金融会社代表のメイフィールドと交渉の席を持っていたが、そこに相手の代表は現れなかった。ロバートは焦っていた。
ロバートは、交渉のためのアポで、彼女の大切なイベントに参加する時間がずれてしまい、ジュリーとケンカしてしまう。それで仲直りに深夜にジュリーを誘って、彼女の車で別荘へ向かう。ところが、行く途中、居眠運転で事故を起こしてしまう。車が転倒し、気づくとジュリーは即死していた。そのあと車は爆発炎上。間一髪、脱出したロバートは、近くの公衆電話から黒人の若者ジミー(ネイト・パーカー)を迎えにくるように頼んだ。ジミーに口止めした後、何もなかったような顔をして自分のベッドに戻る。
事件が発覚した後、担当刑事のブライヤー(ティム・ロス)は、彼女の事業の出資者であるロバートに当日のアリバイを聞く。自宅にずっといたとロバートは答える。刑事はジュリーとの関係を問い質すが、無罪を主張するロバートに何かキナ臭さを感じる。ブライヤーは現場周辺の公衆電話の通信記録に注目する。そこで浮かび上がったのが一本のコレクトコールだ。その受信者を探り、ジミーにも接近した。
いったん出頭を要請されるが、敏腕弁護士がついていったん釈放された。黙秘する彼に、司法妨害で起訴される可能性があると迫る。一方で会社の投資責任者である娘のブルック(ブリット・マーリング)は4億ドルを超える不明金と二重帳簿に気づき、ロバートに訴えるのだが。。。
映画が始まり、題名が映し出させる。「arbitrage」(アービトラージ;裁定取引)だ。いかにも金融相場のプロが仕掛ける取引だ。全くイメージが違う。日本題は安易に付けられている。
割安を買い、割高を売る。そのポジションをそのままにして、割安で買ったポジションを売って、割高で売ったポジションを買い戻すのだ。相場の上昇下落に関わらず、そこで利益が出る。これは2つの商品の値幅が広がった時、狭まった時あるいは価格が逆転した時に仕掛ける。
日本市場でもっとも有名なのは、日経平均の現物と日経平均先物との裁定取引だろう。一日に何回もその瞬間が来て、利幅が少ないが確実に利益が出る。ただ、日経平均の現物については225採用銘柄の現物を大量に所有したり、取引しなければならず、証券会社や機関投資家レベルのプロでないと普通はできない。いずれにせよ、プロの手法だ。arbitrageが原題とすればウォール街関係者にとっては、一応見ておこうと思うのではないか?逆に「キングオブマンハッタン」の日本題では日本の金融関係者は「半沢直樹」は見ても、これは見ないだろう。
ロシアの銅相場への投資の詳細は触れられていないが、損失の穴埋めに顧客の出資金に手をだしたとなっている。おそらくはレバレッジの効いた証拠金取引で反対の動きが出て追証がでたのであろう。
いずれにせよ、お金を返す必要があるのだ。
しかも、彼女を乗せた車が横転して死んでしまう。普通であれば、警察に届けたらいい話のはずだが、こういうトラブルを起こしたことが判明したら、自社の売却話も難しくなると考えて警察に届けない。
逃げ回るのである。ここでは、主人公を徹底的に追い込むという構図になっている。最後の最後まで決着の道筋はよくわからない。昔であればこういう場合の決着は映倫の指導で必ず正義が勝つようになっていたけど、そうならないことも多いので息をつけない。
同じマンハッタンの投資家を描いた「コスモポリス」という映画を最近見たが、難しいせりふが続いて何がなんだかよくわからなかった。それに比べたらマシだが、映画自体は普通の映画という印象を受けた。
(参考作品)
キング・オブ・マンハッタン -危険な賭け- | |
窮地に陥るニューヨーカー | |
アービトラージ入門 裁定理論からマーケットが見える | |
裁定取引を知る | |