映画「砂漠でサーモンフィッシング」は2012年末公開のヒューマンコメディ
冴えない水産学者が、砂漠の国イエメンで鮭釣りがしたいという大富豪の夢物語に巻き込まれるという話だ。終始のんびりしたムードで進んでいく。監督のラッセ・ハルストレムがつくる「ギルバート・グレイプ」や「サイダーハウス・ルール」はいずれもすがすがしい物語だ。
ちょっと覗いてみようという好奇心で見た。
英国の水産所轄省庁に勤務している水産学者のアルフレッド・ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)にメールが届く。「イエメンの川にサーモンを放流させ、サーモンフィッシングを紹介したい。ついては、プロジェクトの展開について相談をしたい」と書いてある。差出人は、投資コンサルタント会社に勤めるハリエット・チェトウォド=タルボット(エミリー・ブラント)からであった。彼女に依頼したのはイエメンの大富豪シャイフ(アマール・ワケド)である。
ジョーンズはハリエットへ実現は難しいとの返答をした。「回遊性の鮭は、産卵のため、酸素の多い冷たい水が必要。幼魚が生きていくためには、ヨーロッパ北部にいるハエがエサとして必要。紅海はヨーロッパから遠すぎる。このプロジェクトは実行不可能」であると断る。
そんな時中東情勢が悪化する。外交上英国の立場はよくない。やり手の女性首相広報官のパトリシア・マクスウェル(クリスティン・スコット・トーマス)は、政府への批判をかわすために、中東関係のいいニュースを探せ、と部下たちに命じる。ネットから選んだニュースが、イエメンに鮭釣りを紹介するプロジェクトだった。英国政府がこの話に飛びつきゴーサインが出る。パトリシアは、すぐに取りかかるように水産所轄省庁のサグデン(コンリース・ヒル)に電話で命令する。ジョーンズは、上司のサグデンから、鮭プロジェクトの窓口になるハリエットに会うよう命令される。ジョーンズは、渋々ながらもハリエットと協力してプロジェクトを進めていくことになるのだが。。。
発想が奇抜だ。
「砂漠でサーモンフィッシング?」いったい何なんだろう?
無理そうな話であるが、ちゃんと理屈も語られている。
魚には水が必要と言えば、雨期の雨量は月200ミリ。乾期は石油の調査で帯水層が発見されているのでダムで水を補給できる。ダムは完成している。山岳地帯の夜は20℃以下だし、不可能ではなさそうだ。美人コンサルタントがきっちり調べている。それでもジョーンズはのらない。
無理を承知で中国の三峡ダムをつくった技術者チームや英国酸素会社のチームにも会いたいなんてジョーンズがいうと、すぐに面談を手配する。しかも、富豪に必要経費5000万ポンド要求したら振り込まれてくるのだ。ジョーンズは逃げようにも逃げられなくなった。そんな経緯を見ているのは楽しい。
省に戻ったジョーンズは上司にも脅かされ、本気になっていくのだ。
この映画はそういうプロジェクトが成就するのを楽しむ要素も大きいのだが、基本に流れるのはラブストーリーだ。主人公のジョーンズとコンサルタント会社のハリエットの関係が少しづつ恋愛関係に代わってくる。もともとは単なるビジネスパートナーにすぎないのに身近な存在に代わってくる。
ジョーンズには奥さんがいる。仕事についてはやり手で、ジュネーブに長期滞在することになる。「妻の栄転を喜べないの?」なんて言われながら彼女を送り出す。ハリエットにも付き合いは短い軍人の恋人がいる。でも彼は出征してしばらくたった後に行方不明になってしまう。
2人とも身近に相手がいない状態だ。余計な外野もいない2人はイエメンで懸命にサーモンフィッシングができるように頑張っている。2人があっている時間は一日の大部分を占める。
これで情が移らないはずはないだろう。こんな話、世間一般にいくらでも転がっているかもしれない。
そんなときにハリエットの恋人が戻ってくる。そこからの展開がおもしろい。
エミリー・ブラントのインテリ女性ぶりも悪くない。途中で見せたドレス姿が絶品の美しさだ。
あとはクリスティン・スコット・トーマスのキャリアレディぶりがコメディ的でいい感じだ。
イエメンでサーモンのプロジェクト着手を首相に説得する際に、英国には200万人の釣りマニアがいるからうまくいくと票につながるなんてばかげた話をもちかける。釣りマニアがみんな票を入れるわけがないのにと笑わせる。
イングリッシュペイシェントのころに比べると、最近はきつめの女性役が板についてきた。首相直属の外交関係の官僚といった役だ。現代英国キャリアレディの実像を示しているのかもしれない。家庭や男の部下への対処法が面白おかしく語られる。自分はこんな上司が来るのはごめんだなあ。
映画としてはまあまあという感じかな?
冴えない水産学者が、砂漠の国イエメンで鮭釣りがしたいという大富豪の夢物語に巻き込まれるという話だ。終始のんびりしたムードで進んでいく。監督のラッセ・ハルストレムがつくる「ギルバート・グレイプ」や「サイダーハウス・ルール」はいずれもすがすがしい物語だ。
ちょっと覗いてみようという好奇心で見た。
英国の水産所轄省庁に勤務している水産学者のアルフレッド・ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)にメールが届く。「イエメンの川にサーモンを放流させ、サーモンフィッシングを紹介したい。ついては、プロジェクトの展開について相談をしたい」と書いてある。差出人は、投資コンサルタント会社に勤めるハリエット・チェトウォド=タルボット(エミリー・ブラント)からであった。彼女に依頼したのはイエメンの大富豪シャイフ(アマール・ワケド)である。
ジョーンズはハリエットへ実現は難しいとの返答をした。「回遊性の鮭は、産卵のため、酸素の多い冷たい水が必要。幼魚が生きていくためには、ヨーロッパ北部にいるハエがエサとして必要。紅海はヨーロッパから遠すぎる。このプロジェクトは実行不可能」であると断る。
そんな時中東情勢が悪化する。外交上英国の立場はよくない。やり手の女性首相広報官のパトリシア・マクスウェル(クリスティン・スコット・トーマス)は、政府への批判をかわすために、中東関係のいいニュースを探せ、と部下たちに命じる。ネットから選んだニュースが、イエメンに鮭釣りを紹介するプロジェクトだった。英国政府がこの話に飛びつきゴーサインが出る。パトリシアは、すぐに取りかかるように水産所轄省庁のサグデン(コンリース・ヒル)に電話で命令する。ジョーンズは、上司のサグデンから、鮭プロジェクトの窓口になるハリエットに会うよう命令される。ジョーンズは、渋々ながらもハリエットと協力してプロジェクトを進めていくことになるのだが。。。
発想が奇抜だ。
「砂漠でサーモンフィッシング?」いったい何なんだろう?
無理そうな話であるが、ちゃんと理屈も語られている。
魚には水が必要と言えば、雨期の雨量は月200ミリ。乾期は石油の調査で帯水層が発見されているのでダムで水を補給できる。ダムは完成している。山岳地帯の夜は20℃以下だし、不可能ではなさそうだ。美人コンサルタントがきっちり調べている。それでもジョーンズはのらない。
無理を承知で中国の三峡ダムをつくった技術者チームや英国酸素会社のチームにも会いたいなんてジョーンズがいうと、すぐに面談を手配する。しかも、富豪に必要経費5000万ポンド要求したら振り込まれてくるのだ。ジョーンズは逃げようにも逃げられなくなった。そんな経緯を見ているのは楽しい。
省に戻ったジョーンズは上司にも脅かされ、本気になっていくのだ。
この映画はそういうプロジェクトが成就するのを楽しむ要素も大きいのだが、基本に流れるのはラブストーリーだ。主人公のジョーンズとコンサルタント会社のハリエットの関係が少しづつ恋愛関係に代わってくる。もともとは単なるビジネスパートナーにすぎないのに身近な存在に代わってくる。
ジョーンズには奥さんがいる。仕事についてはやり手で、ジュネーブに長期滞在することになる。「妻の栄転を喜べないの?」なんて言われながら彼女を送り出す。ハリエットにも付き合いは短い軍人の恋人がいる。でも彼は出征してしばらくたった後に行方不明になってしまう。
2人とも身近に相手がいない状態だ。余計な外野もいない2人はイエメンで懸命にサーモンフィッシングができるように頑張っている。2人があっている時間は一日の大部分を占める。
これで情が移らないはずはないだろう。こんな話、世間一般にいくらでも転がっているかもしれない。
そんなときにハリエットの恋人が戻ってくる。そこからの展開がおもしろい。
エミリー・ブラントのインテリ女性ぶりも悪くない。途中で見せたドレス姿が絶品の美しさだ。
あとはクリスティン・スコット・トーマスのキャリアレディぶりがコメディ的でいい感じだ。
イエメンでサーモンのプロジェクト着手を首相に説得する際に、英国には200万人の釣りマニアがいるからうまくいくと票につながるなんてばかげた話をもちかける。釣りマニアがみんな票を入れるわけがないのにと笑わせる。
イングリッシュペイシェントのころに比べると、最近はきつめの女性役が板についてきた。首相直属の外交関係の官僚といった役だ。現代英国キャリアレディの実像を示しているのかもしれない。家庭や男の部下への対処法が面白おかしく語られる。自分はこんな上司が来るのはごめんだなあ。
映画としてはまあまあという感じかな?